日本車の絶頂期だった’80年代の名車たちに“高騰”の波が押し寄せている。超プレミアマシンと化した’70年代車のような状況ではまだないものの、現実的な価格で入手できる時間的猶予はそう長くないだろう。本記事では’80年代バイクデザインの金字塔・スズキ旧カタナの状況についてレポートする。
※本記事に掲載されている車両価格等は、取り扱い店舗における’20年6月時点の情報です(関連写真提供:グーバイク)。
このフォルムはたとえ不動であっても価値あり
抜き身の日本刀をモチーフに、ドイツのターゲットデザインが仕上げた意匠をGSX1100Eベースの車体に融合。セパハンや独自のスクリーンなど細部も斬新だったが、何より流麗なスタイリングこそがカタナの真骨頂だ。
当初は輸出仕様として1100(一部で1000と750も)、国内仕様としては750のみが発売され、1100は逆輸入で国内750の3倍近い160〜180万円で流通。’94年には国内仕様1100が登場し、パワーアシストクラッチやリザーバータンク付きリヤショックなどを採用。その姿を大きく変えることなく’00年のファイナルエディションまで走り切った。
国内仕様750は3型でリトラクタブルライトに角パイプフレームなどを採用。F16インチホイールも見所だ。
バイク漫画「バリバリ伝説」では主人公のライバル・聖秀吉がGSX750Sを愛車としていたほか、「キリン」でも主人公が1100を駆った。
復刻が繰り返されたため、1100はタマ数が豊富。記念モデルなどの準国宝級を除けば、まだ手に入れられる重要文化財級に収まっている。しかしながら750はここにきて価格が上昇傾向。特に希少モデルには100万円を超える値札が付く場合もある。
GSX1100S KATANA 各年式のポイント
1. 初期モデル:世界最速のフラッグシップ
ケルンショーで展示されたプロトタイプの姿そのままに市販された。GSX1100EをベースにANDF採用の足まわりや105→111psとしたエンジンを搭載。2年目以降も各部の変更や新色の展開で完成度を高めていった。スタイル優先でも機能は譲らない。
レース向けの特殊仕様も
SPレースと思われるスポークホイール仕様や1000ccモデルも2年間のみ販売された。豪州などは1100、北米等で1000をラインナップした模様。
2. 復刻モデル:人気が続き何度も復刻
日本への逆輸入を意識しながら、初代SZの雰囲気を再現したSAE、日本のディーラー独自企画の赤いSBE、スズキ70周年記念車のSLなどが復刻モデルとして発売された。SL系は実質的に日本市場専用車と言われている。基本スペックは不変だった。
3. 国内仕様改良モデル
111psから95psへ
国内のオーバー750解禁にともない、装備を近代化しつつ日本仕様が登場。NDFを撤廃し、パワーアシストクラッチやリザーバータンク付きリヤショックを採用した。
弱点強化の理想型
当時価格99万円で1100台を限定販売。タイヤのチューブレス化やブレーキの性能アップ、フレーム補強で弱点を克服し、最終型にふさわしい走りを手に入れた。
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