2019年軽二輪ベストセラーバイクがアップデート

’20ホンダ レブル250試乗インプレ【気楽さそのままに仕様充実で魅力アップ】

’17年に復活したレブル250が、灯火類を全LED化するなど早くもモデルチェンジ。前後サスの仕様変更やアシストスリッパークラッチも採用。さらに豪華装備の「S」も新たに加わった。

シリーズ展開しているレブル500のユーロ5対応に伴い、灯火類のLED化やメーターの変更などを同時に実施したレブル250。国内4メーカーで唯一の250ccクルーザーであり、2019年は約8100台を販売した軽二輪のベストセラーだ。

【’20 HONDA REBEL250】主要諸元([ ]内はSエディション) ■全長2205 全幅820 全高1090 軸距1490 シート高690(各mm) 車重170[171]kg ■水冷4スト並列単気筒DOHC4バルブ 249cc 26ps/9500rpm 2.2㎏-m/7750rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11L ■ブレーキF/R=ディスク ■タイヤF=130/90-16 R=150/80-16 ●価格:59万9500円[63万8000円] ●色:青 銀 茶

CBR250Rに端を発する249cc水冷シングルは仕様変更なし。フロント130、リヤ150のファットなタイヤや、230mmというワイドスパンのフロントフォークなど、基本的な構成は’17年モデルから変わっていない。

’17年のデビュー時に書いた私の試乗レポートには、「サスの動きにコストダウンを感じるものの、エアボリュームのある前後タイヤとしなやかなフレームがそれをフォロー」という一文がある。同様の指摘がユーザーからあったのだろうか、新型レブルのプレスリリースには「前後サスの仕様を変更」と書かれている。 

その効果は想像以上だった。特にフロントフォークは動き始めからスムーズで、スロットルのオンオフによって発生するピッチングがよりスムーズに。リヤショックも高速巡航時の不快な突き上げ感がなく、過去の印象と比べると乗り心地はワンランクアップしている。メーカーによると前後ともバネレートから見直したとのことで、実は灯火類の変更より大ごとだったのではと推察する。 

基本的なハンドリングの印象は従来型と同様だ。スランテッドアングルによってトレール量を最適化しており、速度の高低に関わらず舵角の付き方はナチュラルだ。加えてシート高は低いのにバンク角は十分にあるので、スポーティな走りを楽しむことも可能。ブレーキは前後ともコントロール性が高く、街中ならリヤだけでも十分に事足りるほどだ。 

やや遠く感じるハンドルと膝の真下にあるステップにより、積極的なコントロールが可能。足着き性はご覧のとおり抜群に優秀だ(身長175cm/体重65kg)。

φ41mm正立式フォークはオイル&ダストシールを低フリクション化し、オイルを倒立式と同じグレードに。リヤショックはガス封入式として減衰力を安定化。さらに前後ともバネレートを上げるなどして作動性を向上させている。

最高出力26psを発揮する水冷シングルは、トップ6速40km/hからでもスルスルと加速するほど低回転域で粘り強く、またスロットルを大きく開ければ歯切れのいい排気音とともに気持ちの良い加速フィールが楽しめる。非常に実用域の広いエンジン特性であり、少々シフト操作をサボっても乗り手を慌てさせず、またむやみに回してしまっても不快な振動はなし。クルーザーはツインでなければという既成概念を、シングルならではの軽さという特徴で改めさせたのがレブル250であり、それが多くのユーザーに受け入れられたことは販売実績からも明らかだ。

【灯火は全LED化。印象が近代的に】φ135mmガラスレンズ+アルミダイキャストステーだったヘッドライトは、φ175mmのアウターレンズ+4眼インナーレンズ式LEDに。テールランプは薄型楕円形状となり、ウインカーはクリアレンズの丸型となった。

クラッチレバーの形状を変更して操作フィーリングを向上。インチサイズのハンドルバーやスイッチボックスなどは変更なし。

φ100mm小型LCDメーターはギヤ段数表示を追加し、ウインカーインジケーターを左右独立点滅に。ボタンの位置は上面→側面へ。

タンデムシートはネジ1本で着脱でき、シンプルなスタイルを楽しめる。テールランプ変更でさらに低く構えたリヤビューに。

車載工具はライダーシート裏面と右サイドカバー内(この六角レンチでシートを外す)に分けて収納。マニア心をくすぐる演出だ。

Sエディションは純正アクセサリーを標準装着
純正アクセサリーのヘッドライトカウルやフォークブーツ、ブラウンのシートを標準装着した「Sエディション」。色は専用のマットアクシスグレーメタリックのみ。

【’20 HONDA REBEL250 S EDITION】●価格:63万9000円

[△] ABSレス仕様は廃止

ABSのない仕様が’20年モデルから廃止になった。

ちなみに、’19年までのABS仕様と’20年モデルの税抜き価格は同じであり、これだけ仕様変更したことを考えると、消費税アップ分を相殺して余りあるほどだ。今年も販売台数上位は間違いないだろう。

[こんな人におすすめ] 地を這うような走行感が楽しい軽快クルーザー

軽くなったクラッチレバーや便利なギヤ段数表示など、従来型オーナーが悔しがりそうな変更がほかにも。足替わりに使えるほどに扱いやすく、ロングツーリングも苦にならない。付き合うほどに良さを実感できる稀有なモデルだ。


●まとめ:大屋雄一 ●写真:真弓悟史 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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