海外向けに’70年代に誕生したホンダCG125。今なお中国の五羊ホンダでは生産が続いており、FI(フューエルインジェクション)を採用するなど近代化が進んでいる。果たして現代日本の交通事情に合うのか、じっくりテストしてみた。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:富樫秀明 ●取材協力:バイク館SOX 川口店 ※本内容は記事公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
[◯]実用的な空冷シングル。シャーシも不満なし
誕生は’75年なのでヤマハのSRよりも古く、基本的なスタイルを変えずに日本をはじめ世界各国で生産されてきたCG125。本物の昭和の香りを色濃く残しており、昨今のネオクラシックブームなぞどこ吹く風という雰囲気だ。これがバイク館SOXを通じて今も買うことができ、しかも13万9000円という電動アシスト自転車並みの価格は驚くしかない。
CB125JX(懐かしい!)の動弁系をOHV化して誕生したという125cc空冷シングルエンジンは、近年FI化されて最高出力が10psへと引き上げられた。吹け上がりのフィーリングはクランクマスの重さを感じさせるもので、街中で多用する低〜中回転域に実用的なトルクがある。そして、開ければレッドゾーンの始まる9500rpmまでしっかりと伸びるのだ。10%を超える上り坂では最新の125ccモデルよりも早めに失速するなど、非力さを感じる場面はあるが、基本的な動力性能としては及第点であり、’70年代に設計されたエンジンが今も通用することに感心した。なお、シフトパターンはスーパーカブと同じ上にクラッチは遠心ではなく手動なので、慣れるまでは戸惑うかも。実際、何度も間違えて後輪をロックさせてしまった。
トップ5速、60km/hでの回転数は約5000rpmで、本国の取扱説明書には「最高速:93km/h」と記載されている。実際にもそれぐらい出せそうな雰囲気があり、さらに微振動が多くないのも好印象だ。
ハンドリングは、前後18インチホイールで安定性を稼ぎつつ、1200mmという軸距の短さで旋回力を高めるという独特なタイプだ。微速域ではわずかにフロントタイヤが左右へ切れたがるものの、20km/hを超えればスッと安定する。左右へのバンキングは非常に軽く、標準装着タイヤはウェット路面でも接地感を失わない。前後サスの動きはボヨンとしたものだが、それでも混雑した都内で不安なく走れたのは、フレームを含む全体のバランスが優秀だからだろう。生産国の中国では大量の荷物を積むのが前提の働くバイクであり、それを許容することはゴツいリヤキャリアからも想像できよう。
[△]前後ともドラムブレーキなので、減速レベルはそれなり
フロントのドラムブレーキはワイヤー引きなので、ブレーキシューがブレーキドラムに触れてからもレバーを握り込めてしまう。長い下り坂や飛び出しの多い街中では十分に注意を。また、昨今の明るいヘッドライトに慣れていると、照度がやや暗く感じるかも。
[こんな人におすすめ]実用的であり、カスタムにも最適な1台だ
過酷な環境の新興国向けに開発されたモデルだけあり、実用レベルは高い。インスタのハッシュタグで検索すると、これをベースとしたカスタム車がたくさんヒットし、どれも個性的だ。シンプルだからこそ楽しみ方は無限大だ。
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