二輪車利用環境改善部会レポート#11

電動バイク(EVスクーター)普及に取り組む東京都の施策とは?【二輪車利用環境改善を考える】

東京都道路整備保全公社が2か所のバイク用駐車場に充電設備を備えた。家庭用と同じ100Vのコンセントがバイク用駐車場で使えるというだけのことだが、その背景には大きな課題が存在している。


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2018年7月に始まった普及促進事業だが、約1年半での申請件数はたったの32台(2019年末日まで)に留まっている。その要因はいくつもあるが、最たるものは、電動バイク(EVスクーター)という乗り物の使い方や価値(ベネフィット)が正しく認知されておらず、消費者マインドがまったく醸成されていないこと、さらには、本来はさしたる性能(ヤマハのE-ビーノで十分)やインフラ整備(100Vコンセントで十分)も必要ないはずなのに、やれ航続距離だ、動力性能だ、と要求性能ばかりを無駄に高められ、国産新車がほとんど出てこないことも要因。

しかも、某バラエティ番組では、E-ビーノが通常の使用では想定されないようなロングツーリングに使われ、「ヤバイよヤバイよ」とバッテリーが切れてから押して歩く様子を面白おかしく放送されてしまい、ネガティブな面ばかりが周知されているありさま。バイク乗りであればわかっているだろうが、どんなバイクにだって想定された使い方というものがあるのに、だ。

E-ビーノ(税抜21万9000円)は国(2.6万円)と東京都(8万円)の補助金を併用すれば、税抜11万3000円となり、ガソリンエンジンのビーノ(税抜18万5000円)よりも断然安く買える。自宅と駅の往復などラストワンマイルモビリティという本来の使い方であれば十分な価値があり、原付一種だから駅前の自転車等駐車場にも停められる(法律上は)。

EVスクーターが抱える現状と課題

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