二輪車利用環境改善部会レポート#06

バイク通学可、山梨の実情と課題【二輪車利用環境改善を考える】

  • 2019/11/19

二輪車の利用環境には課題が多い。特に、さまざまな課題の根本ともなっている「三ない運動」「駐車できない」という2つの問題について考える連載です。今回は、昔からバイク通学OKとされてきた山梨県における事故対策について取り上げたい。

●文:田中淳磨(輪)

バイクラブフォーラムで議論された山梨県のバイク通学

【概 要】9月20日(金)に開催された「第7回 バイクラブフォーラムinやまなし」のパネルディスカッション「やまなしを楽しくセーフティーライディング」の模様をお伝えしたい。山梨県では高校が山の中腹にあることも多く、昔からバイク通学が慣例として行われており、高校生の原付免許保有率も日本一となっている。

しかし、近年は事故が増加傾向にあり、その対策が課題となっていること、また、国道413号線(道志みち)や富士山などツーリングエリアとしての魅力も高く、圏外ライダーの事故が増えていることから、日常的なバイク通学と週末のツーリングライダーの2つの視点から、現状や課題、対策について議論された。

バイク通学が多くの高校で認められている山梨県。母数が多いということもあるが、全体の28%が原付一種による事故というのは衝撃的だ。交通安全教育・講習をどのように展開するか。課題は多い。

【現 状】山梨県リニア交通局交通政策課の前野克典課長補佐は、県内高校生の昨年の交通事故が236件もあり、県内高校生2万8千人のうち120人に1人の割合で事故に関わっている状況を説明した。また、「二輪車には特に力を入れて一年間を通して事故防止、啓発を行っている」としながらも、原付一種による事故が65件もあり、全体の28%も占めていたことを指摘した。事故の形態では、一位が出会い頭事故、二位が右左折時衝突となっており、車体の小さなバイクは実際の距離より遠くに見えるという目の錯覚も要因に挙げた。

【課 題】高校生に安全運転講習を実施している山梨県二輪車安全運転推進委員会特別指導員の鶴田治彦氏は、県内の高校生が高校や最寄りの駅までバイクを利用している現状を踏まえ、それに適した講習内容としているが、講習時に借用しているコースの老朽化やコース敷地にトイレが無いといった設備面の課題を挙げた。

山梨県の高校生に安全運転講習を実施している山梨県二輪車安全運転推進委員会特別指導員の鶴田治彦氏(左)。そして山梨県交通政策課の前野克典課長補佐(中央)とファシリテーターを務めた稲垣具志氏(右)。

ファシリテーターを務めた日本大学理工学部交通システム工学科助教の稲垣具志氏は、「日常利用における高校生に対する交通安全教育が自ずとツーリングライダーに対する交通安全対策にもつながっていく」という観点を挙げつつ、教育行政が主体となって検討委員会が設置され、三ない運動の廃止につながった埼玉県の事例を挙げ、関係機関の連携の重要性を提唱した。今年から二輪車関係団体や警察行政との連携により、安全運転教育・講習が行われていることを引き合いにし、そのまま他県に当てはまるかどうかはさておき、山梨県の安全運転教育でもこうした連携が進むことを期待した。特に、埼玉県の講習会にて女性白バイ隊員の挨拶で生徒のテンションが上がったことを例にし、生徒が交通安全教育に向いたその瞬間に「何をインストールするか」が重要と提言した。

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