ヨシムラらしい昔ながらのストレート管の外観を維持しつつ、性能向上と消音を両立するDuplex Shooter(デュプレックス シューター)構造を導入したZ900RS/CAFE用 手曲ストレートサイクロン。この排気系、どんな資質を備えているのだろうか?
マイナス点は存在しない!? どこでも速く、音もいい
サーキット用のT-SPECをベースにしながら、排気ガス・騒音の数値を現代の規制に適合させ、パワーダウンを最低限に抑えること。それがZ900RS/CAFEに対応する、公道用ストレートマフラーの開発目標だったという。この表現だと、デチューン的な印象を抱く人がいそうだが……。
実際にDuplex Shooter構造を体感して、そんな印象を持つ人はいないはずだ。何と言ってもこのフルエキは、STDとは趣が異なる、ヨシムラならではの爽快なフィーリングを、存分に堪能させてくれるのだから。
もっとも、試乗前にデータを見た段階では、ピークは出ていても、ミッドレンジはSTDに及ばないのか……と、僕は思っていたのである。でも実際のDuplex Shooter装着車は、スロットル操作に対する反応が素晴らしくリニアになっているから、どんな領域でもパワフルさが感じられるし、回転上昇の速度はSTDの3割増しという印象。中でも7000rpm以上の吹け上がりは圧巻で、ハイカム投入を思わせるほどの感触だった。
しかもこのフルエキは、音も感動的なのだ。音質が全域でほぼ一定のSTDに対して、ヨシムラ製はメリハリが利いていて、低回転では重低音(音量はSTDより控え目)、中高回転では弾けるようなカン高い音が満喫できる。
それでいてマイナス要素が一切ナシというのが、Duplex Shooterの恐ろしいところ。今回の試乗を通して、僕はヨシムラの技術力に、改めて感心することになったのだった。
手曲ストレートサイクロン Duplex Shooter[政府認証]
マフラー以外にもZ900RS/CAFE用パーツが続々登場中!
STDに感じるカスタムの可能性
試乗&撮影にはSTDも同行。単体で乗っているぶんには、コレといった不満を感じないSTDだが、ヨシムラのデモ車と交互に走らせると、パワーユニットにも車体にも、カスタムの余地があったことに気づかされる。
好評発売中のレース管
昨年夏から発売が始まったT-SPECはサーキット専用。構造は昔ながらの4-1式でサブサイレンサーは装備しない。集合部以降のパイプ径はφ80mm(政府認証マフラーはφ89.1mm)。
※価格は特記がない限り8%税込み価格
●文:中村友彦 ●写真:真弓悟史
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