ブレーキの専門家を目指す「リケジョ=理系女子」

ヤマハの「ブレーキ女子」は自然科学系の出身だった

「女性の感性を製品開発に反映させたい」と渡邊さん

ヤマハの次世代を背負って立つ? そんなリケジョ=理系女子が『ヤマハ発動機ニュースレター』でインタビューされ、記事になっていたので紹介したい。愛車はYZF-R25、TT-R125、そしてMT-10 SPという、バイク愛に一直線な渡邊さんである。

ABSの台上実験からブレーキシステム全般へ

ブレーキという重要保安部品は、いざというとき確実に止まれなくてはならないだけでなく、スピードのコントロールや、思い通りに操って曲げるためにも使われる、走りの要となるパーツのひとつ。そのパーツ開発において安全性への責任はもちろん重大だが、人機官能のヤマハであるからにはもちろんそれだけではなく、ライダーがいかに思い通りに操れるかという点にも重点が置かれる。

そんな開発の現場には、入社3年目のバイク好きスタッフがいる。理系の大学出身であることからリケジョ=理系女子とも呼ばれるが、そのまなざしはブレーキへの探求心に溢れている。

以下、『ヤマハ発動機ニュースレター』より引用―――

まずはブレーキのスペシャリストに

入社3年目の渡邊真帆さん(PF車両ユニット車両実験部)は、主にアセアン市場向け二輪車のブレーキシステムを担当する若手エンジニア。「リケジョ」と呼ばれる理系女子の一人です。

「ブレーキは、お客様の安全に直結する重要な装置。そうした責任をしっかり背負いながら、ヤマハならではの人間感覚のフィーリングを織り込んでお客様に安心と感動をお届けしたい」と、男性中心の開発現場でいきいきと仕事に取り組んでいます。

昨年までは、測定機器を用いたABS(アンチロック・ブレーキ・システム)の台上実験が主な仕事。しかし、今年からはブレーキシステム全般を任され、その責任領域が大きく広がりました。さらに社内制度の走行ライセンスを取得したことから活躍の場をテストコースにも広げ、自ら走行実験を行うようにもなっています。「まずはブレーキのスペシャリストを目指して知識と経験を積み重ね、それが成し遂げられたら、次はオートバイを丸ごと一台見渡すことのできるジェネラリストを目指したい」と、エンジニアとしてのキャリアをイメージしています。

「疑問を解き明かした時の達成感が喜び」と渡邊さん。

トラックのブレーキ音にも反応

意外なことに、渡邊さんは工学系の出身ではありません。「大学時代の専攻は自然科学です。自然豊かな土地でムシを追いかけて育ったので、生きものや植物がいまも大好き。将来は自然保護や農業に貢献できるような、そんな仕事に就きたいと考えていた」そうです。

オートバイとの出会いは大学生の頃。先輩のタンデムシートに乗せてもらったことをきっかけに二輪免許を取得し、「YZF-R25」(250㏄)を購入。オイル交換やクラッチレバーの交換といった簡単な整備に取り組んだことで、機械に対する興味や愛着を広げていったそうです。

「3年生の時に、インターンシップでこの会社にお世話になり、ブレーキ実験を経験させてもらいました。まず、机の上で複雑な計算をして制動距離を割り出してから、台上での走行再現で実測する。すると、机上の計算通りにはならない。『え、なんで?』と。その疑問を解き明かすことができた時の感覚というか、『なるほど!わかった!』という喜びと達成感を味わって、この会社で、この仕事をしたいと思いました」

入社以来、オートバイへの想いは一気に加速し、オフロードモデル「TT-R125」、大型の「MT-10SP」を相次いで購入。「愛車のブレーキの挙動はもちろんですが、休日に町を歩いていてもトラックのブレーキ音などについ反応してしまいます。今まで聞こえていなかったはずなのに…」。そう言って笑う、探求心に溢れた「ブレーキ女子」なのでした。

3台のオートバイを所有。写真は1000ccの「MT-10SP」

情報提供:ヤマハ発動機

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