’04年にZ750がデビュー。’13年にZ800へと進化したZシリーズのミドルモデルが、昨年Z900へとフルチェンジ。そして今年4月に国内販売がスタートした。カワサキ伝統のマジック9の走りやいかに。 ※ヤングマシン2018年8月号(6月23日発売)より
【〇】コンパクトかつ高出力、日常と興奮が共存する
Z1000よりもコンパクトで御しやすく、どんなシチュエーションでもオールマイティに楽しめる。これがカワサキのZ750やZ800に感じられた共通イメージだ。今回試乗したZ900はこのシリーズの最新モデルで、昨年デビューし、今年の4月に国内でも発売された。
搭載される水冷並列4気筒エンジンはZ750時代からZ1000をベースとしており、Z800まではストローク量が50.9mmだった。新しいZ900はZ1000と同じ56mmストロークとし、ボアを73.4mmとして排気量を948ccに設定している。これをベースに作られたZ900RSは圧縮比を下げるなどして最高出力を111psとするのに対して、Z900は125psを発揮。2次バランサーを採用しながらもあえて心地良い振動を残したというそのエンジンは、低回転域からトルクフルかつ直4らしいスムーズな伸び上がりを見せる。兄貴分のZ1000ほどの豪快さはないが、それでも210㎏の軽量な車体に125psものパワーは相当にパワフルだ。その一方で、スロットルレスポンスはどの回転域でも忠実で、さらにアシスト&スリッパークラッチの採用によって左レバーの操作力も非常に軽いなど、日常的な扱いやすさも持ち合わせている。ライダーの感性に訴えてくる吸排気音もポイントだ。
【〇】自然で扱いやすく、スポーティさも内包
ハンドリングもいい。スタイリング的にはストリートファイターに属するが、舵角の付き方やそこからの旋回力は非常に自然で、大型バイクビギナーでも扱いやすいもの。エンジンを剛性部材として積極的に活用するトレリスフレームは、しなりを感じさせるものの高速コーナーでも不安はなし。さらに足回りについては、Z900RSに対してフロントフォークの調整機構が簡略化されているとはいえ、動き自体にまったく不満はなく、スポーティな方向でうまくまとめられていると感じた。なお、ブレーキは前後ともコントローラブルで、フロントキャリパーはRSが採用するラジアルマウントではないものの、絶対制動力に不足なし。ABSの作動も良好だった。
【×】シートカウルが小さく積載性にやや難アリか
前下がりな座面によりライポジがややクラウチング気味に。攻めたい時にはしっくりくるが、街乗りやツーリングでは疲れやすいかも。それと、シートカウルがコンパクトゆえに、大きめのシートバッグやサイドバッグの装着は困難な可能性も。
【結論】RSより30万以上安く、走りは同等に刺激的だ
直接のライバルとなりそうなのがヤマハのMT-09(100万4400円)だが、トラコンなど電子デバイスや足回りに差があり、やや分が悪そう。とはいえ、直4らしい加速フィールを求めるならZ900一択だ。純正アクセサリーも魅力的。
撮影:飛澤慎
ニュース提供:ヤングマシン2018年8月号(6月23日発売)