2018年6月15日発売する新型トレーサー900GTが編集部にやってきた。従来よりデザインを刷新し、細部を煮詰めた新型にはどんな特徴があるのか? 従来型のMT-09トレーサーと比較試乗してみた。当WEB執筆メンバーの「いち」がレポートする。
新型はツアラー方向のレンジを広げる進化
ぱっと見新型になったことに気づきにくい新型のトレーサー900。まずは、MT-09トレーサー→トレーサー900というネーミングの変更がトピックと言える。MT-09の派生モデルという位置づけから、独立した存在として歩みを進めていく意思が込められていそうだ。そして乗った印象ではツアラーとしての進化を主眼に置いていると感じた。どこでそれを最初に感じるかというと、跨って感じるお尻の感触だ。これは直接乗り比べないと分からない部分だが、新型はクッションが柔らかくて快適。一方従来型は硬めのスポーティなタイプで、俊敏なNKで知られるMTブランドの名残だったのかも知れない。足着きは身長172cm、体重65㎏で両足のつま先がしっかりと接地するくらいで新旧ほぼ同じだ。
走り出すとハンドル回りが大きく異なっているのに気づく。新型はハンドルの幅が狭められていて、ブラッシュガードが小ぶりなものになった。どのくらい狭められたか後でメジャーで測ってみると従来が約900mmに対し新型は約800mmと100mmもコンパクトに。諸元上でも全幅が従来型950mm→新型850mmに変更されているくらいだ。新型のハンドルは一般的なネイキッドに近い印象で、幅の広い従来型はアドベンチャーモデルのそれ。悪路などを走る際は抑えが効く幅広のハンドルが好まれるが、新型トレーサー900は完全なオンロードツアラーに割り切ったのだろう。これに加え、新型の調整可能なスクリーンを最上段に移動すると明らかにウインドプロテクション性能が向上。さらにハンドル幅がコンパクトでブラッシュガードも小型化された新型は高速域でより振られにくいはずだ。
GTならではの装備でより本格ツアラーに
より高速走行に対応した空力性能を獲得した新型トレーサー900は、従来型から60mm延長したスイングアームにより安定性も確保して万全としている。そして、上級仕様のGTはさらにフルアジャスタブルのフロントフォークにリモートでプリロード調整が可能なリヤショックを装備した。これで、即座に二人乗りや重積載に対応できる本格ツアラーに近づいた。また、グリップヒーターやクルーズコントロールで快適性をアップし、情報量豊富なフルカラー液晶ディスプレイとダイヤル状のスイッチで各部の調整もやりやすかった。
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