欧州で試乗会が開催

2018新型トレーサー900/GTのインプレと解説

従来のMT-09トレーサーが2018年型でモデルチェンジするとともに名称をTRACER=トレーサー900ABSに変更。さらにトレーサー900GT ABSという上級グレードもラインナップに加わった。すでにSTDモデルは発売されているが、GTの発売は約1ヵ月先。それに先駆けて、欧州で試乗会が開催されたのでインプレや新情報をお届けしよう。

ポジションはコンパクト&快適に

トレーサー900は1000cc未満のスポーツツアラーの代表格で、欧州では3年間で3万5000台以上が販売されたモデル。ヤマハはこの人気を維持するために更なるアップデートを図ってきた。 もちろん、欧州でも賞賛された並列3気筒エンジン=CP3はまだ最高のセールスポイントの1つであり、新型トレーサー900/GTに今でも輝きをえている。

新型は、写真でも分かるように新しい外装や豪華なレッグガードなど細部までよりスタイリッシュでコンパクトになった。ハンドルバーは幅が狭められよりライダーに近くなり、姿勢は直立となる快適なライディングポジションだ。シートは改良されより多くのクッション(5mm)が盛られたが、シート高は15mm増の850mmとなっている。スクリーンは従来より幾分広く防風性能が向上。スクリーンの高さは手動で50mmまで調整できるが、最上段では風で若干走行に影響を受けるようだ。シャーシは、スイングアームを60mm伸ばして安定性が向上。また、新しいシートレールを採用して179㎏の有効搭載量を確保している。※「SOLO MOTO」(スペイン)より

【YAMAHA TRACER900 ABS 2018年型 国内価格:111万2400円 国内発売日:4月20日】写真は欧州仕様だが、国内仕様も基本は同じ。カラバリはマットダークグレーメタリック6 (マットダークグレー) 、ブルーイッシュグレーソリッド4 (グレー)の2色だ。

GTの価値は2倍という印象

ハイグレードな装備の数々はトレーサー900とGTバージョンの賭け金を2倍にする印象だ。GTには22リットルのパニアケース(日本仕様は標準装備せず)、クルーズコントロール、グリップヒーター、クイックシフター、カラーのTFT液晶メーターディスプレー、ゴールドに装飾されたフルアジャスタブルFフォーク、リモートでプリロード調整可能なリヤショックなどを標準装備しているのだ。より装備が充実したトレーサー900GTは完全な長距離ツアラー仕様と言えるだろう。

結局、トレーサーがなぜ1000cc未満のスポーツツアラーの代表格となったのか。これはスポーツとツーリングという、以前は相容れなかった2つの要素を完全に組み合わせているからだ。 それが今、改良されたエアロダイナミクスでより快適になり、1500mmのホイールベースで安定性も高められた。エンジンは十分な低速と中速に加え、パンチの効いたスポーティな高回転域があり付加価値が高い。さらに、3つのパワーモードやABS、トラクションコントロールは常にあなたの助けになるだろう。※「SOLO MOTO」(スペイン)より

【YAMAHA TRACER900GT ABS 2018年型 国内価格:119万8800円 国内発売日:6月15日】写真は欧州仕様だが、国内仕様も基本は同じ。カラバリは、ブラックメタリックX (ブラック) 、ブルーイッシュグレーソリッド4 (グレー) 、マットダークパープリッシュブルーメタリック1 (マットダークブルー)の3色だ。
トレーサー900/GTのライディングポジション。真っすぐ自然な姿勢でライディングできる上、調整可能なスクリーンで身長や速度域によって微調整ができる。足つきは身長172cm、体重65㎏のライダーで両かかとが大きく浮く。ただし両ゆびの付け根は接地しているので、不安はない。

パニアケースは片側7万4520円で発売

欧州仕様のトレーサー900 GTに標準装備されるパニアケース(サイドケース)は国内ではオプションとしてワイズギアから発売される。価格は片側7万4520円なので、左右合わせると14万9040円となる。装着はタンデムステップステーと共締めするサイドケースステー(1万9440円)の増設が前提だ。このサイドケースはSTDにも装着可能だが、キーシリンダーが付属していないためスペアキーセットが追加で必要となる。

片側22リットル/5㎏の容量を確保するサイドケース。数泊のツーリングに重宝しそうだ。試してみたがフルフェイスヘルメットを収納することはできなかった。右下の写真はサイドケースステーで、ケース下側はここで固定する。尚、このケースは~’17までの従来モデルにも周辺パーツを揃えれば装着できる。
GTのサスペンション。フロントフォークは右が伸び側、左が圧側の減衰力調整となる現行MT-09と同じタイプ。リヤの伸び側の減衰力調整はショック下にダイヤルを設置しプリロードは車体左側で工具なしで調整可能だ。日本仕様はヘルメットホルダーも装備している。
ハンドルまわりはGTとSTDで違いはメーターのみでカラー液晶がGTだ。スクリーンはメーター上のつまみを掴んで上下に動かすことができる。調整幅は50mmだ。

ニュース提供:「SOLO MOTO」(スペイン)
「2018新型トレーサー900GTは120万円で6/15発売」記事はこちら