
ヤマハは、並列3気筒888ccエンジンを搭載する新型クロスオーバーツアラーモデル「トレーサー9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると発表した。先行発売の「トレーサー9 GT」に加え、ミリ波レーダーによるACCや各種警告システム、自動変速Y-AMTなどの専用装備を誇る。価格は198万円だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:ヤマハ
GT+にはY-AMTを標準装備
ヤマハは、今夏発売と予告していた新型「TRACER9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると正式発表。今世代のトレーサー9 GTシリーズでモーターサイクルとして世界初採用のアダプティブマトリックスLEDヘッドライトや7インチTFTディスプレイのシリーズ全体が強化(標準仕様の無印トレーサー9は日本導入なし)されている。
888cc並列3気筒エンジンはこれまで通りリニアな低中速トルクを備え、アシスト&スリッパークラッチや各種ライディングモードで武装。これを軽量なCFアルミダイキャストによるデルタボックススタイルフレームに搭載し、足元はリム厚が変更された軽量スピンフォージドホイールで固めている。
4月15日に先行発売の「トレーサー9 GT」は、電子制御サスペンションやスマートフォン接続機能など装備が充実した中核モデルだが、さらに「トレーサー9 GT+」はレーダー機能を軸にライダー支援システムを拡充。自動変速機構のY-AMTはGT+にのみ標準装備される。
マトリックスLEDヘッドランプによってイカツめの表情に。7インチTFTメーターは各種コントロールのほか電動ウインドスクリーンの操作なども行える。
GTと共通のモデルチェンジ内容と採用技術は下記リンク参照。
“つながる”機能搭載新の7インチTFTディスプレイほか変更多数 ヤマハが新型「トレーサー9 GT」を発表した。これまで上位グレード『GT+』の専用装備だった7インチTFTディスプレイを採用したほか、先[…]
Y-AMT(Yamaha Automated Manual Transmission)
トレーサー9 GT+ Y-AMTが標準装備するY-AMTは、昨年から発売が続くMT-09 Y-AMT、新型MT-07 Y-AMTに続く採用だ。
アクチュエータで駆動されるシフト機構と電子制御の自動クラッチに指で操作するマニュアルシフトスイッチを備え、快適な走りも、シフト操作から解き放たれたスポーティな走りも思うがまま。クラッチレバーもシフトペダルも装備しないので、走行ラインやブレーキング、その他のコントロールに集中力を割くことができ、ツーリングであれば景色を楽しむ余裕もできる。
完全なオートマチックとして走ることができる一方で、指でシーソー式のスイッチを操作することでいつでもマニュアルシフトが可能。また、オートマチックにはDおよびD+の2モードがある。もちろんMTモードとATモードも簡単に切り替えることができる。
これとは別に5つのライドモード(プリセット3つとカスタマイズ可能な2つ)を持ち、6軸IMUとの連動によってパワーモードやトラクションコントロールシステムなどの各種電子制御を統合してコントロール。クルーズコントロールや電子制御サスペンション(GT/GT+に装備)、Y-AMTもこれに統合制御される。
Y-AMT仕様はスイッチギアも専用で、指で操作できるシフトレバースイッチを備える。クラッチレバーはないので大型二輪AT限定免許で運転できる。右手側のスイッチはモード切替やACCの距離設定のボタンがある。
ちなみに、マニュアルトランスミッション仕様のGTは第3世代クイックシフターを標準装備している。
ミリ波レーダーベースのライダー支援システム
トレーサー9 GT+ Y-AMTは前後にレーダーユニットを備え、前走車に一定の車間距離で追従することができるアダプティブクルーズコントロール(ACC)、状況に合わせて前後ブレーキの入力をアシストしつつ前後サスペンションの減衰力も調整するユニファイドブレーキシステム(UBS)、前方衝突警告、後方死角検知といったライダー支援システムを実装する。
ACCは4段階の車間距離を選択でき、速度は30km/h~160km/hに設定可能。1速/2速では30km/hから、3速/4速では40km/hから、5速/6速では50km/hから作動する。これらに合わせて前車に追従して走行するが、近付きつぎた場合は警告を発してライダーにブレーキなどのアクションを促す。
ACCは追い越しアシストも備えており、ウインカーをオンの状態で追い越し操作を行っていると検知すると、通常よりもスムーズに加速する。また、エンジン、ブレーキ、電子制御サスペンションも統合しており、前方の車両との距離を維持するためにエンジンブレーキ→ブレーキの順で作動して減速。電子制御サスペンションによってピッチングを軽減する。
死角にいる車両を検知するとミラーに組み込まれたインジケーターでライダーに知らせる。
コーナリングを検知した際にも、速度やスロットル開度、エンジンブレーキ、ブレーキ、サスペンションを自動的に調整して介入し、自然でシームレスなライディングを提供するという。
従来型でも搭載していたレーダー連携ユニファイドブレーキシステム(UBS)は、ミリ波レーダーと6軸IMUからのデータを使用して前後ブレーク力を支援&調整するシステム。油圧ユニットはボッシュ製だ。
このUBSは前車に近付きすぎたとき、ライダーのブレーキ入力が衝突を避けるのに不十分だと判断した場合に液圧を補助する形で作動。また、前後ブレーキの制動力の配分を調整したり、コーナリングでのスリップを抑制する制御も行う。この機能はオン/オフ可能だが、これとは別に必要な場面ではABSや坂道発進を用意にするビークルホールド機能も作動する。
ブラインドスポットディテクション=死角検知機能は、バックミラーに内蔵したインジケーターで死角に存在する車両を知らせるというものだ。
このほか、GTとGT+には集中ロックが可能なスマートキーを採用。これによりイグニッション、燃料キャップ、ハンドルロックをキーレス操作可能で、さらに標準装備のサイドケース/トップケースのロックシステムも制御可能。ケースの取り外しもワイヤレス操作で簡単に行うことができる。
トレーサー9 GT の車体色バリエーションとスペック
| 車名 | TRACER9 GT+ Y-AMT ABS |
| 認定型式/原動機打刻型式 | 8BL-RNA1J/N722E |
| 全長×全幅×全高 | 2175×900 ×1440mm(スクリーン最高位置の全高は1530mm) |
| 軸距 | 1500mm |
| 最低地上高 | 135mm |
| シート高 | 845/860mm |
| キャスター/トレール | 24°25′/106mm |
| 装備重量 | 232kg |
| エンジン型式 | 水冷4ストローク並列3気筒DOHC4バルブ |
| 総排気量 | 888cc |
| 内径×行程 | 78.0×62.0mm |
| 圧縮比 | 11.5:1 |
| 最高出力 | 120ps/10000rpm |
| 最大トルク | 9.5kg-m/7000rpm |
| 始動方式 | セルフスターター |
| 変速機 | 常時噛合式6段リターン(自動変速Y-AMT) |
| 燃料タンク容量 | 19L(無鉛プレミアムガソリン指定) |
| WMTCモード燃費 | 21.1km/L(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時) |
| タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 |
| タイヤサイズ後 | 180/55ZR17 |
| ブレーキ前 | φ298mmダブルディスク+4ポットキャリパー |
| ブレーキ後 | φ267mmディスク+1ポットキャリパー |
| 価格 | 198万円 |
| 車体色 | 黒×青、暗青 |
| 発売日 | 2025年5月28日 |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
MCショーで公開された「オフロードカスタマイズコンセプト」の回答か ヤマハは、今春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示[…]
その姿、まるでハンターカブ×ミニトレ?! タイ仕様は新型に切り替わるとともにカラーバリエーション変更&グラフィックが変更された。 一方ベトナム仕様は、従来モデルを標準仕様として併売。この標準モデルはカ[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたヤマハ「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
総合力を高めたスポーツツーリング 欧州でのみ販売される「TRACER 7」および「TRACER 7 GT」の2025年モデルが登場した。マイナーチェンジを受け、心臓部を共有する最新MT-07と同様に電[…]
GT+にはY-AMTを標準装備 ヤマハは、今夏発売と予告していた新型「TRACER9 GT+ Y-AMT」を2025年5月28日に発売すると正式発表。今世代のトレーサー9 GTシリーズでモーターサイク[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA] | 新型大型二輪 [751〜1000cc])
ヤマハの3気筒スーパースポーツがついに国内登場! ヤマハは国内向けモデルのYZF-R9をついに正式発表。鈴鹿8耐などで展示して注目を集めてきたが、ファンが待たされた甲斐はある150万円切り(149万6[…]
欧州仕様に準じた仕様でKYB製フロントフォーク、ウイングレット、ブレンボキャリパーなどを採用するR1 2026年シーズンをヤマハ車で戦うライダーに向け、サーキット走行専用モデルの新型「YZF-R1 レ[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
“Neo Retro”ロードスポーツ:2016年モデル 発売は2016年4月15日。現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロ[…]
150万円切りはほぼ確実と思われるが…… ヤマハは台湾で、欧州および北米などで発表済みのスーパースポーツモデル「YZF-R9」の導入価格を発表。日本国内にも2025年春以降の導入が案内されており、正式[…]
人気記事ランキング(全体)
「特殊ボルト」で困ったこと、ありませんか? 今回は「でかい六角穴のボルト」を特殊工具なしで外してみようというお話。 バイクを整備していると時々変なボルトに出会うことがあります。今回は古い原付オフロード[…]
コンパクトで取り付けが簡単なスマートモニター タナックス(TANAX)の「スマートライドモニター AIO‑5 Play (SRS‑015)」は、本体サイズ78.8(H)×136.2(W)×26.8(D[…]
X-ADVの兄弟車として欧州で販売される「フォルツァ750」 ホンダは欧州でフォルツァ750(FORZA 750)の2026年モデルを発表した。主要諸元に変更はなくカラーバリエーションの一部変更でイリ[…]
過激な初代からフレンドリーな後継モデルへ カワサキのビッグバイクと言えば、優れた資質を備える初期型をベースにして、2代目以降で徐々に動力性能を高めていくのが通例だ。だがマッハシリーズの場合は、初期型が[…]
90年代の魂を注入! アールズギア×TSR「ネオクラシック・レベリオン」 CB1000Fコンセプトを大胆にカスタムした「Neo-Classic Rebellion CB1000F Concept Mo[…]
最新の投稿記事(全体)
セールは全商品が対象! この「秋の大感謝祭」は、2025年10月28日(火)までの期間限定で開催される。対象となる購入先はAKEEYO公式オンラインストア。車載ドライブレコーダー、バイク/自転車用ドラ[…]
現在に続くミドルクラスの基盤は日本メーカーが作った ’70年代の2輪業界における最大のトピックと言ったら、日欧のメーカーが歩調を合わせるかのように、ナナハン以上のビッグバイクを発売したことだろう。もっ[…]
これぞCBだ! そう直感的に思えるライダーの視界 跨った瞬間に「CBだ!」と思えた。視界に入る燃料タンクの大きな面積や両腿の内側に感じる存在感、そして昔で言う“殿様乗り”が似合う大きくアップライトなラ[…]
フリーマーケットやフードコンテンツも楽しめる名物イベント 群馬県を代表するSUBARUの工場脇の公園には、バイクとテントで埋め尽くされている。初めてこのイベントを訪れた人は、その規模感に驚くのでないだ[…]
TRICKSTAR初のTRIUMPHマフラー、登場 SPEED400/SCRAMBLER400X 政府認証スリップオンマフラー 外観は、取り付け角度やサイレンサーの上がり具合まで徹底的に検証[…]
- 1
- 2







































