
登場以来、賛否両論の声が渦巻くハーレーダビッドソンX350。「そんなのハーレーじゃない」「認めない」「やめておいた方がいい」と、懐疑的な声もあるなか、ウィズハーレー編集部はX350の新車をすぐに購入。仲間たちが集まり、サンデーレースに参戦した。いま、青木タカオ編集長がその熱き想いをぶちまける!
●文:青木タカオ(ウィズハーレー編集部) ●写真:赤松孝、栗田晃、オレンジワークス
X350の実力を証明した瞬間!
ウィズハーレーレーシングのメンバー。左からポポちゃん、抹茶いぬ、宮下豊史、宮中洋樹、青木タカオ。
こんなに嬉しいことはない。表彰台の真ん中に立つのは「ウィズハーレーレーシング」のエース宮中洋樹さん(RSYライダーズサロン横浜所属)だ。
ボクたち「ウィズハーレーレーシング」はライダーは5名で、宮中さんをはじめ、プライベートビルダーの抹茶いぬ(現・ハーレーダビッドソン高崎)、紅一点ポポちゃん、そして編集部のミヤシこと宮下豊史とボク(青木タカオ)。4人がX350で、ボクがX500という布陣となった。
X350&X500でサーキットを走り、まさかレースにまで出るなんて…。数ヶ月前までは想像すらしていなかったが、現実のものになった。
「名ばかりでしょ!?」と、冗談めかして立ち上げたウィズハーレーレーシング。しかし、誰もが心の奥底では本気だった。スポーツライディングを思いきりエンジョイするために、目指すべき何かを求めていたのだ。
経験豊富な仲間たちがピットクルーを引き受けてくれ、筑波サーキットで開催されたMCFAJ クラブマンロードレース第1戦 MAX10Jr.(2025年4月20日)にエントリーした。
ライダー5名のうち、ロードレースの経験者はたったの2名。つまり、完全なる素人たち。右も左もわからぬまま、すべてが手探りの挑戦であった。
「いいじゃないか」と直感した
ハーレーダビッドソンX350/X500デビュー時の報道記者会見。宮中洋樹さんがメディアを前にプレゼンテーションした。
レースに出るつもりなどなかったが、大きなきっかけ、いや目標となったのが宮中さんだ。
2023年10月、東京・原宿に出現した期間限定のポップアップストア『ハーレーダビッドソンXカフェ』。メディア向けのオープニングイベントには、多くの報道陣が詰めかけた。
「中免(普通二輪免許)で乗れるハーレーが出る」という噂でもちきりとなっていたから、バイク専門誌だけでなく、テレビや新聞など大手マスコミも報じようと、会場は記者たちで賑わった。
注目が集まるなか、ハーレーダビッドソンの新型「X350」および「X500」をプレゼンテーションしたのが、ハーレーダビッドソンジャパンの宮中さんだった。
「従来にはなかったアーバンスタイルの次世代モデルで、スポーティなライディングが楽しめます」と、胸を張る。
その言葉に、思わず心が動いた。
「うん、すごくいい!」
宮中さんの説明を聞いた瞬間から、すでに迷いはなかった。ウィズハーレー編集部の宮下が、すぐさま購入を決意。70万円を切る価格も魅力だった。
誰が何と言おうと、おもしろそう!! その直感を、ボクたちは信じて疑わなかった。そして今、その選択が間違いではなかったと確信している。
憧れるライダーが出現した!
ライダーズサロン横浜(RSY)からハーレーX350で、筑波ツーリスト・トロフィー(2024年4月)に参戦した宮中洋樹さん。この姿にウィズハーレー編集部は憧れた。
さらにボクたちはX350だけでなく、宮中さんのファンとなっていく。翌年4月、その姿はサーキットにあった。なんとX350にて、筑波ツーリスト・トロフィーを走ってみせた。
ロードレース世界選手権Moto2を闘う佐々木歩夢選手も輩出した名門「ライダーズサロン横浜(RSY)」から、CBR250RRでJP250筑波ロードレース選手権に参戦し、2023年にはシリーズチャンピオンに輝くほどの実績を持つ宮中さん。
しかし、ハーレーダビッドソンジャパンの社内でも、みんながそれを知っているわけではなかった。つまり趣味として、社会人ライダーとしてレースやサーキットを楽しんできた。
「X350ならやれると思いました。まずは第1弾、サーキットでレースも楽しめることを証明してみせました」
レース後、宮中さんはこう言った。これを聞いてボクはひどく興奮し、きっと羨望の眼差しを向けたままだったに違いない。
X350でのサーキット走行やレース参戦は未知なるもので、まさに前人未到であったが、宮中さんはレース経験を活かしてマシンをセットアップしていった。
ライディングポジションをより前傾にし、リヤ寄りの着座位置を得るためにシートカウルを製作。シフトペダルやステップ、エキゾーストシステムに至るまで、ほぼすべてがワンオフでつくり上げられた。
前例も見本もない中でのマシンづくりは、暗闇の中を手探りで進むような作業であり、それは今もなお進行形で続いている。
筑波ツーリスト・トロフィー参戦時の動画はこちらだ。コーナーで前を走るライダーと距離を縮めていくものの、ストレートで苦戦する様子がわかる。マシンの詳細を宮中さんご自身に解説してもらった。
強力な欧州車勢を相手に見事優勝!
そして、この日を迎えた。X350に乗る宮中さんは、安定した走りでチェッカーフラッグを受ける。輸入車アンダー400ccでスピードを競うMAX10Jrクラスにて見事優勝を果たした。欧州ブランドの高性能マシンを相手に、X350のポテンシャルの高さを証明してみせたのだ。
さらに抹茶いぬ、ポポちゃん、ミヤシ、そしてボク、みんなが無事にゴールした。少し大袈裟かもしれないけれど、5人は抱き合って喜んだ。支えてくれたピットクルーへの感謝を胸に、みんなが互いを称え合っている。
まるで、学生時代に戻ったみたいだ。こんなにも素晴らしい経験ができるなんて。X350/X500を買って、本当によかった。ハーレーのおかげで、またひとつ違う景色を見ることができた。
■ゼッケン28 X350 宮中洋樹選手
※MCFAJ クラブマンロードレース第1戦 MAX10Jr.(2025年4月20日)
Fフォーク:ストロークを確保するためにカラーを製作し延長
フォークオイル:SUNOCO BRILL エンジンオイル17.5W-50
Fブレーキパッド:抹茶いぬプロデュースENDLESSレーシングパッド
トリプルツリー:ノーマルにハンドルストッパー追加
Fブレーキレバー:加工
F/Rブレーキホース:ACTIVEステンレスメッシュ
ABS:キャンセル(ユニット取り外し2kg軽量化)
F/Rホイール:ホイールベアリングフリクション低減
Fアクスルシャフト:TRIJYA×KOODクロモリ
ハンドル:バーハンドル上下逆に装着
ライザー:前後逆に装着
スロットル:ハイスロ化
ステップ:ノーマルフートプレートにレーシングステップねじ込み
(ノーマル比5cmUP、逆シフト化)
シフトレバー:アルミブロックから切り出しワンオフ
シリンダーヘッド:バルブシートリングカット、バルブクリアランス最小
エンジンオイル:SUNOCO RED FOX 10W-40
吸気系:2次空気供給システム、蒸発燃料還元装置すべてキャンセル
ECUチューニング:LIRICA(リリカ)後輪30→34PS、レブリミット12,000rpm
エアクリーナーBOX:左右の壁を開けてパワーフィルター装着
Rサス:トライジャ+YSSエマルジョン式
(ノーマル比サス長+18mm、イニシャル10mm)
シート:ヤマハTZ125用
シートカウル:50ccクラス用トラッカーシート
マフラー:RSY製作ステンレスエキパイ+自作アルミサイレンサー50.8パイ
GPSラップタイマー:QSTARZ LT-8000GT
ドライブチェーン:DID520ERSV(525→520小加工)
スプロケット:サンスター 16/46
冷却系:ファン、サーモスタット撤去、水温計追加
タイヤ:PIRELLI DIABLO SUPERCORSA SC V4 SC1
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