
[Q] タイヤにはチューブ入りとチューブレスがありますよね。スポークホイールが好みなのですが、パンクすると大変だと言われました。この2種類の大きな違いはをどんなところにありますか?
●文:ライドハイ編集部(根本健)
[A] リムの裏側にスポークが貫通しているホイールにはチューブが必要
ご存知のとおり、バイク用のタイヤにはおもにチューブ入りとチューブレスの2種類があります。
チューブ入りはホイールとタイヤの間にゴム製チューブを入れて空気圧を保ち、チューブレスはホイールリムとタイヤが密着することで空気圧を保つ、という構造上の違いがあります。
スポークホイール(ワイヤーホイールとも呼ばれる)は、36〜40本ものスポークがホイールリムに組み付けられていますが、1本1本のスポークがリムを貫通する構造となっており、この状態ではタイヤとリムが密閉されません。
そのため、鋳造や鍛造によって一体で成形されるアルミやマグネシウム製のキャストホイールのように、タイヤの空気圧を保つチューブが不要になるチューブレスタイヤを装着できません。正確にはスポークホイールにもチューブレスタイヤを装着することはできるのですが、昔ながらのチューブが必要になるわけです。
【昔ながらのスポークホイールには基本的にチューブが必要】現代においてもトラディショナルなスタイルのバイクに欠かせないスポークホイール。各スポークをホイールのリムに裏側に貫通させて組み付ける構造のため、そのままではリムとタイヤの気密性を保つことができず、タイヤの中にチューブを入れる必要がある。バイクのホイールは「スポークじゃなきゃ」というライダーもまだ多い!
チューブ入りタイヤは、パンクすると空気が一気に抜けて厄介なことに
では、チューブ入りタイヤはチューブレスタイヤと比べて何が違うのでしょう? いろいろありますが、何よりもパンクしたときの差に尽きるといえるでしょう。
たとえばクギが刺さってパンクしてしまったとき、チューブレスタイヤだと空気漏れを抑える柔らかいフィルムのような膜(インナーライナー)がタイヤの内側に貼ってあるため、クギが刺さった穴を塞ぐ効果で徐々にエアが抜けていきます。タイヤに違和感を感じて、空気が減っているのを発見してから。パンク修理できるガソリンスタンドやバイクショップまでゆっくり自走できる可能性を残しています。
対して、従来からのチューブが入った構造の場合、刺さったクギがチューブまで達して穴が開いた時点で、走行中であれば外側のタイヤとチューブの位置がズレ、空気漏れを起こしている穴が切り裂かれて、一気に空気圧がなくなります……
※本記事は2021年9月9日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
20年ものロングランは、ライバルに気をとられない孤高を貫く開発があったからこそ! カワサキは1972年、DOHCで900ccと先行する初の量産4気筒のCB750フォアを上回るハイクオリティなZ1を投入[…]
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
本格オフロードモデルDT系を原付のちょうど良いサイズでリリース! ヤマハは1968年、250ccの大きな排気量で初のオフロード用2ストローク単気筒エンジンを搭載した画期的なDT1をリリース、以来125[…]
2ストGPマシン開発を決断、その僅か9ヶ月後にプロトは走り出した! ホンダは1967年に50cc、125cc、250cc、350cc、そして500ccクラスの5クラスでメーカータイトル全制覇の後、FI[…]
最新の関連記事(教えてネモケン)
[A] 猛暑日はライダーへの負担がハンパなく大きい。自分で絶対守る何箇条かを決める覚悟が必須 避けるべきシチュエーション 真夏にバイクに乗る経験がまだ少ない方は、照りつける直射日光と照り返すアスファル[…]
[A] より剛性を高め、スムーズな動きを追求るために開発された フロントのサスペンション機構、“フロントフォーク”には正立タイプと倒立タイプがある…と聞いて、何のこと? と思われた方は、まず写真を見て[…]
[A] 軽いことにデメリットはありません。ただ…好みのバイクに出会えるか? 正直に言って、ボクも大きくて重いバイクの扱いには腰が引けています。乗って走り出してしまえば気になりませんが、停車時の押したり[…]
[A] スポーツ性を追求するなら1本ショック。2本ショックはルックス重視 昔ながらのネイキッド系のバイクの多くが今も2本ショックユニット仕様ですが、これはオートバイらしい伝統的なルックスを重視している[…]
グリップ感はライダーが操作して得るもの 「グリップ感」や「接地感」という言葉をよく耳にするものの、体感としてはどういう感じであるのか、なかなかわからないものですよね。最初から難しく考える前に、グリップ[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
夏場は100℃超えも珍しくないけれど… いまやバイクのエンジンは“水冷”が主流。安定した冷却性能によってエンジンパワーを確実に引き出すだけでなく、排出ガス/燃費/静粛性の面でも水冷の方が空冷より有利な[…]
LEDのメリット「長寿命、省電力、コンパクト化が可能」 バイクやクルマといったモビリティに限らず、家庭で利用する照明器具や信号機といった身近な電気製品まで、光を発する機能部分にはLEDを使うのが当たり[…]
ケーヒン/ショーワ/ニッシン/日立を統合した“日立Astemo(アステモ)”が4月より“Astemo”へ 自動車業界で「100年に一度」と言われる変革期を迎えるなか、キャブレターや電子制御スロットル、[…]
【冒頭解説】ECUをサスペンションに一体化、フロントフォークに自動車高調整を初採用 2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して誕生した日立Astemo(ア[…]
ヤマハ発動機と三菱重工業は、200kgの貨物を搭載可能な中型マルチコプター型無人機(以下、中型無人機)の開発に向けた共同研究を行っていることを発表した。 パワーユニットには、ヤマハが2023年にコンセ[…]
人気記事ランキング(全体)
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
カスタムスピリットから生まれた英国ブランド まずMUTT Motorcyclesというブランドについておさらいしておこう。2016年、英国バーミンガムでカスタムビルダーのWill RiggとBenny[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
最新の投稿記事(全体)
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
エンデュランス バイクETCケース 汎用 EK395HANA1の概要 エンデュランスのETCケース EK395HANA1は、材質にSUS304を採用した黒塗装仕上げで耐久性と防錆性に配慮された製品です[…]
FLHXSE CVOストリートグライド:CVOでは唯一となるバットウイングフェアリング フラッグシップモデルを象徴するバットウイングフェアリング。そのアイコンを持つ最上級仕様が「CVOストリートグライ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]