
[Q] 私がバイクに熱中していた頃のスーパースポーツは、シートカウルの下にサイレンサーがあるタイプが主流でした。しかし、最近のバイクはエンジンの下から短いサイレンサーが出ているものが大半です。マフラーが短くても長かった頃のように性能を出せる技術ができたということなのでしょうか?
●文:ライドハイ編集部(根本健)
[A] 前後左右のピッチングの動きを最小限に抑えられるからです
たしかに最新のスーパースポーツは、エンジン下から斜め横へサイレンサーが顔を出すスタイルが主流になっていますよネ。
20年ほど前はシートカウル下にサイレンサーを収めるスタイル、さらにもっと前は後輪の両側へ跳ね上がっていたり、4into1のように1本マフラーに集合したタイプも高性能の象徴でした。
それ以前の初期の4気筒、CB750FourやZ1などは誇らしげに4本のマフラーを見せていましたね。
基本的に排気系は長さと容量が必要です。しかし集合させるようになってから、クルマのマフラーと同じ途中に中で仕切板を設け、この部屋の中で迷路のように蛇行させることで、長さと容量を確保できるようになりました。
それを超コンパクトになったエンジンの下に置いたのが最新の仕様です。
しかし、最後のサイレンサー部分をどこに配置するか、これまでの歴史にスーパースポーツの車体設計が何を優先してきたかを垣間見ることができます。
ご存じのシートカウル下に収めたスタイルは、ドゥカティの916が最初でした。設計したイタリアの天才、マッシモ・タンブリーニ氏は、カジバの2ストロークGPマシン設計で学んだ結果だと説明していましたが、マフラーのカタチから違う4ストロークでまさかこの方法を採り入れるとは誰も想像していませんでした。
【求めるものに合わせたレイアウトのマフラー】排気系は、長さと容量が必要なだけでなく、大物パーツであるために、その配置はマシンの動きに大きな影響を与える。各時代でさまざまなトレンドが生まれたが、1990年代のスーパースポーツで世界的インパクトを与えたのが、ドゥカティ916だった。この後、スズキ以外の国産メーカーがこのスタイルを追従した。
当時は、車体の両側へ振り分けて後ろへ向かって跳ね上げるカタチのサイレンサーが主流でしたが、GPマシンは左右へバンクする車体の動きに対し、左右へ張り出したサイレンサーを車体の中心に配置する進化を遂げていました…
※本記事は2021年6月24日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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