
[Q] ひさしぶりにバイクに乗ろうと思い、いろいろ勉強中です。バイク関連の情報を調べていて気になっているのが、エンジン形式や気筒数が異なるバイクでも、昔ほど違いを感じない? ということです。今となっては、エンジンの個性などは希薄になってしまっているのでしょうか?
●文:ライドハイ編集部(根本健)
[A] “最新”のほうが際立つ個性を感じるはず。気筒数の多い/少ないでは特性の違いを語れなくなりつつある
お話をお聞きするかぎり、おそらく1980年代のバイクブームを過ごされた世代の方だと拝察します。そうしたリターンされた方にも、ぜひ最新バイクの醍醐味を堪能してほしいと思います。
当時のバイクではあり得なかったことが、現実のこととなって表れています。きっと驚かれることばかりだと思いますが、乗りやすくなったから個性が失われて面白くない…ということは絶対にありませんから、ご安心ください。
エンジン形式による違いが昔ほどなくなっているのでは? というご質問ですが、かつては気筒数が少ないほど低回転域のトルクがあって、気筒数が増えると低い回転域はチカラがなく高回転域の伸びが魅力だと言われてきました。ところが現在は、こうした特性が際立つ違いではなくなりつつあるのです。
それは今や、単に絶対性能を追求することより、乗って楽しい、もしくはコーナーで曲がれるトラクションを得られるよう、自ずと低い回転域から中速域まで発生するトルクが豊かになり、スロットルレスポンスもより扱いやすく進化してきたからです。
とはいっても、エンジンの気筒数による爆発回数の違いが消えることはありません。
2気筒も並列ツインでは180度や270度クランク、狭角Vツインに90度VのLツインなど、爆発間隔を均等にしないことでエンジンの駆動と後輪へ伝わる脈動を際立たせており、路面を蹴る感覚は1970年代以前のバイクより明確に伝わるようになっています。
3気筒も、120度クランクのスムーズさとチカラが加わったときのピストン往復振動など、4気筒にはない感性で魅了されます。
そして4気筒も、クランク位相をアンバランスにすることでトルク変動を生じさせ、低回転域から中速域までの路面グリップを高めたり、燃料噴射の特性を急加速レスポンスに的を絞るなど、各メーカーも独自の特性を与えているのです。以前のように、どれも同じフィーリングになるということがなくなっているのです。
1980年代とは異なる次元で進化している
そこで、まずは気になっているモデルに試乗されることをお薦めします。ただ、エンジン回転を中速域以上まで回してしまうと、そこはただ絶対性能が発揮される領域。あり余るパワーに圧倒され、思わずスロットルを戻してしまうはずです。
それに、まだ慣れていないバイクで急激なダッシュを試みるのはリスクが高すぎます……
※本記事は2021年8月18日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ライドハイの最新記事
使わないのは「どうせ利かない」もしくは「踏んでもよくわからない」…… リヤブレーキをかけているライダーは、驚くほど少ない。 ブレーキペダルを踏んでも利いているかわからない、すぐABS(アンチロック)が[…]
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
ホンダのVFやNRの影もカタチもない1977年の東京モーターショーにYZR1000デビュー! 1977年の第22回東京モーターショーのヤマハ・ブースに、白に赤ストライプのワークスマシンカラーの謎のマシ[…]
車体色が圧倒的に黒が主流の中に、ひとり華麗な光を放っていたヤマハ! このYDS1は1959年のヤマハ初のスーパースポーツ。パイプフレームに2ストローク250cc2気筒を搭載した、創成期のレースから生ま[…]
2005年に新しいフラッグシップとして東京モーターショーに出現! 2005年の東京モーターショーに、スズキは突如6気筒のコンセプトモデルをリリースした。 その名はSTRATOSPHERE(ストラトスフ[…]
最新の関連記事(Q&A)
A.クラッチを切らずにギヤチェンジできるクイックシフターは便利なはずですが、確かに操作するときの状況によっては仰るようにギクシャクしたりショックがあって怖い思いをするかも知れません。加速(増速)側の場[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
A.慣れたコーナーには先が見えている安心感で、そこそこアベレージ高くコーナリングできる満足感を楽しめます。でも慣れているからこそ潜んでいるリスクも考えましょう。知らない道のほうが楽しいといえる走り方こ[…]
Q.ツーリングへ出かけるとバイクのすぐ前の路面ばかり見てしまいます。そのため先のほうの様子に気づくのが遅れ、カーブの手前で慌てます。「遠くを見ろ」とよく言われますが、先を見ていると手前の路面が心配にな[…]
Q.猛暑も過ぎようやくツーリングへと出かけたのですが、曲がり角やカーブのたびにハンドルを重く感じて、内側に切れるのを左手で支え疲れ果てました。これまで快適に乗れていた愛車が、わずか2ヶ月乗らずにいたら[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
ファクトリーマシンが進化して帰ってきた! スズキは東京モーターサイクルショーのプレスカンファレンスで、2025年の『Team SUZUKI CN CHALLENGE』の体制発表を行った。メーカーとして[…]
実燃費の計測でおなじみだった「満タン法」だが…… エンジンを使った乗り物における経済性を示す指標のひとつが燃費(燃料消費率)だ。 「km/L」という単位は、「1リットルの燃料で何キロメートル走行できる[…]
1983年の登場当時、各雑誌媒体向けに紹介されたスズキRG250Γの全部品の分解写真。こうした写真をわざわざ撮影したことからも、同車に賭けたスズキの意気込みが感じられる。 フューエルインジェクション([…]
6段変速ミッション:スズキ T20(1965) 戦前はGPレーサーも4段変速までだったが、戦後の1952年にモトグッツィが5段変速を、1953年にドイツのNSUのレーサーが6段変速を採用した。そして国[…]
そもそもボア×ストロークって? 最近ロングストロークという表現をみる。エンジンのピストン往復が長いタイプのことで、バイクのキャラクターを左右する象徴として使われることが多い。 これはエンジン性能で高い[…]
人気記事ランキング(全体)
使わないのは「どうせ利かない」もしくは「踏んでもよくわからない」…… リヤブレーキをかけているライダーは、驚くほど少ない。 ブレーキペダルを踏んでも利いているかわからない、すぐABS(アンチロック)が[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
足着きがいい! クルーザーは上半身が直立したライディングポジションのものが主流で、シート高は700mmを切るケースも。アドベンチャーモデルでは片足ツンツンでも、クルーザーなら両足がカカトまでベタ付きと[…]
ホンダ新型「CB400」 偉い人も“公認”済み ホンダ2輪の総責任者である二輪・パワープロダクツ事業本部長が、ホンダ新ヨンヒャクの存在をすでに認めている。発言があったのは、2024年7月2日にホンダが[…]
一回の違反で免許取消になる違反 交通違反が点数制度となっているのは、よく知られている。交通違反や交通事故に対して一定の基礎点数が設定されており、3年間の累積に応じて免許停止や取消などの処分が課せられる[…]
最新の投稿記事(全体)
片手で食べられるハンバーガーはバイク乗りにおすすめ いよいよ始まるゴールデンウィーク。気候も暖かくなり、梅雨や猛暑を迎える前のこの時期はツーリングにうってつけだ。 ちょっとバイクで遠出しようか…そんな[…]
1位:スズキ『MotoGP復帰』&『850ccで復活』の可能性あり?! スズキを一躍、世界的メーカーに押し上げたカリスマ経営者、鈴木修氏が94歳で死去し騒然となったのは、2024年12月27日のこと。[…]
1105点の応募から8点の入賞作品を選出 株式会社モリタホールディングスは、このたび「第20回 未来の消防車アイデアコンテスト」を実施、受賞作品が決定となりました。 全国の小学生から集まった、1105[…]
「ETC専用化等のロードマップ」の現状 2020年に国土交通省が発表した「ETC専用化等のロードマップ」。その名の通り、高速道路の料金所をETC専用化にするための計画書だ。これによると、ETC専用化は[…]
一大ブームが巻き起こった1986年 滑走路で戦闘機と加速競争する姿、美人教官とのタンデム、苦悩を抱えて丘の上に佇む夕暮れ──。数々の印象的なシーンに初代ニンジャ=GPZ900Rがいた。 1986年に公[…]