●文:ライドハイ編集部(根本健)
ネイキッドと呼ばせた元祖ゼファー(400)。大型ではゼファー750に続いて1100が登場
カワサキには反骨精神の塊のようなバイクが多い。そのひとつが1989年に登場したゼファー。ひと世代前に主力だったGPz400Fベースの空冷2バルブ4気筒を搭載し、1980年代のパワー競争で自主規制59PSの上限スペックが常識だったのに対し、46PSと穏やかさをアピールしていた。
カウル付きがスポーツバイクの象徴だった時代に、このマイノリティなカウルのない出で立ちを、あえてネイキッドと呼ばせるようになった元祖でもある。
そもそもこのゼファー系列は、レーサーレプリカ一辺倒な世相を憂いたZ1/Z2の開発に関わったエンジニアからの発想だった。
それだけに、400が成功するとみるや、大型クラスにも引いていた矢を放つようにゼファー750、そしてゼファー1100を続けざまに投入したのだ。
搭載エンジンの生い立ちがまったく異なる750と1100
1990年にデビューしたゼファー750は、かつてのZ650~GPz750で培われた空冷2バルブエンジンがベース。738cc/68PS/9,500rpm/ホイールベース1450mm/200kgの車重と、Z1~ザッパー(Z650)のノウハウを注ぎ込んだ、乗りやすいハンドリングも魅力だった。
次いで1991年の東京モーターショーで展示され、翌1992年から発売されたゼファー1100は、750版とは違ってアメリカ向け大型ツアラーのボイジャー1200に搭載された水冷4気筒エンジンがベース。これをシリンダーから上をわざわざ空冷仕様に設計し直すという、特異な素性のパワーユニットだ。
1,062cc/93PS/8,000rpmと、ツアラーベースだけに中速域以下が逞しいトルキーな特性。フレームは400ゼファーに近いパイプの取り回しで、ザッパー系を源流とした750とは大きく異なっている。
ただ車重も243kg(装備で263kg)とヘビー級。威風堂々とした走りを味わえる反面、取り回しには体力を消耗する超弩級のビッグバイク然としていた。
この750と1100の、同じゼファーといえどキャラクターのまったく異なる素性に、トラディショナルなバイク好きは、完全に2分されることとなったのだ……
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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