MotoGPへのブレーキローター供給とともに、絶版車用のパーツ開発も精力的に行っているアドバンテージ。性能と品質に間違いのないMADE IN JAPANの製品作りにこだわる同社にも、克服できない課題が増えつつある近年、開発と製造を自社で行う製品が登場しはじめた。総削り出しのカタナ用プレッシャープレートを皮切りに、フットワークのプロフェショナルのノウハウを活用したパーツ開発にも期待が集まる。
●文/写真:栗田晃(モトメカニック編集部) ●外部リンク:アドバンテージ
削り出しプレッシャープレートを初採用。絶版車のクラッチ延命に積極果敢なアドバンテージ
絶版車ユーザーにとって純正部品の販売終了の多さは大きな問題だが、アドバンテージもまた同じ課題に直面している。
FCC/SHOWA/KYB/NISSINとともに製品開発を行うと同時に、鍛造ホイールのEXACTやダイレクトドライブレーシングディスクといったオリジナル製品の開発製造を行うアドバンテージでは、最新スーパースポーツモデルと並び、絶版車も重要なターゲットとなっているからだ。
クラッチパーツを例に取れば、30数年前にアドバンテージが創業した頃、カワサキZ1は製造終了から20年ほどで、スズキGSX1100/750カタナはまだ10年ほどしか経過していなかった。しかしそれから30年が過ぎた現在、Z1が50年、カタナも40年選手となり、30年前と同じ感覚で部品を手に入れるのは難しくなった。
ひとりひとりのオーナーにとってはかけがえのない1台であっても、次々と新しい機種の純正パーツを製造するメーカーにとっては、ごくわずかしか売れない部品を30年前と同様に管理し、販売することは現実問題として難しいことなのだ。
たとえばクラッチ構成パーツで厄介なのは、鋳造で製造されるプレッシャープレートやクラッチハブだ。
SX1100Sカタナ用については、すでにずいぶん前から廃番となっており、ユーザーからは復刻のリクエストが数多く届いていたそうだ。そこでアドバンテージでは、サイズや寸法は純正を踏襲した上でアルミ削り出しプレートを製作し、FCCトラクションコントロールクラッチキットをリニューアルした。
新作したプレッシャープレートはクラッチカバーの奥に隠れてしまうものの、オリジナリティにあふれたデザインを採用し、ダークオレンジのアルマイトで表面処理を行っている。
GSX1100シリーズは生産年数が長いため、年式によって異なるものの、削り出しプレッシャープレートを採用したキット全体で約300〜500gの軽量化を実現し、アドバンテージが得意とするバルブスプリング材を使用したクラッチスプリングを組み合わせることで、純正よりレバー操作力が軽くなるのも特徴だ。
フリクションディスク/スチールプレート/クラッチスプリングで構成されるタイプAに追加された純正タイプは、ハイパフォーマンス版よりリーズナブルで、年式によって純正クラッチより約300〜500g軽量、レバー操作力の軽減を実現でき、リペアパーツとしても魅力的。
純正パーツの廃番は深刻な問題で、場合によっては存亡問題にもつながりかねない。だからこそ、アドバンテージのクラッチキットは頼れる存在になるはずだ。
プレッシャープレートとクラッチハブは単品でも購入可能
プレッシャープレートとクラッチハブはそれぞれ単品で購入することも可能。プレッシャープレートプレートはアルマイト、クラッチハブはハードアルマイトで表面処理されている。
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