
樹脂素材の普及/コスト削減/環境対策などの観点から、クロームメッキパーツは減少しつつある。金属ならではの重厚感とゴージャスな見た目に憧れたサンデーメカニックにとっては寂しいかぎりだが、だからこそ今あるメッキは大切に扱いたいものだ。メッキのプロ・NAKARAIが開発した「サビトリキング/ミガキング/メッキング」は、絶版車や旧車ユーザーから高く評価されている、クロームメッキのメンテナンスに特化したケミカルだ。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:NAKARAI
クロームメッキの輝きを持続させるには、ケミカルの適切な使い分けが肝心
光沢があり表面が硬く耐食性にも優れたクロームメッキは、かつては塗装と並ぶ定番の表面処理だった。だが1970年代以降に多く採用されるようになった樹脂パーツや、メッキ液に含まれる有害物質による環境汚染問題などにより、劣勢に立たされているのが現状だ。
そんなクロームメッキをできるだけ長く、美しく輝かせるために開発されたのがNAKARAIの「キングシリーズ」だ。同社は元々メッキ業者として創業した歴史があり、クロームメッキの長所だけでなく弱点も知り尽くしている。
先に耐食性の良さがクロームメッキの強みと書いたが、それは金属としてのクロムの特性であり、メッキとなると必ずしも正しくはない。クロームメッキの表面には顕微鏡レベルの孔やクラックがあり、そこから浸入した水分によってメッキ内部でサビが発生するからだ。
そこでNAKARAIでは、特殊シリコーンを主成分としたコーティング剤のメッキング開発し、それと並行して汚れを落とすミガキングとサビを落とすサビトリキングを商品化。
磨きやコーティングに関するケミカルは数多く存在するが、キングシリーズはクロームメッキのメンテナンスに特化しているのが最大の特徴。貴重な輝きを持続させるため、ぜひ活用してもらいたい。
デカキング(260g・2980円) / ミガキング(180ml・2780円) / メッキング(100ml・5980円)
樹脂メッキの汚れはミガキングで一発除去してメッキングで光沢アップ
金属ボディと樹脂ボディの違いがあっても、トラディショナルモデルではクロームメッキ仕上げのメーターケースが多い。樹脂ボディでも、手入れを怠ると通常の洗車では落ちない汚れが付着する。目の粗い金属磨きなどで擦ると、傷だらけになるので丁寧なケアが必要。ここで最適なのが超微粒子コンパウンドを主成分とした「ミガキング」だ。写真のメーターはホンダGB250クラブマン。かなりの年月放置された車両なので、腐食がひどい。
ミガキング付属の史上“最鏡”クロスは、とてもきめ細かく、ミガキングが落とした汚れをからめ取る性能が高い。メーターケースの表面を軽く擦るとクロス側に汚れが移り、見る間にメッキが輝き出す。
メッキの光沢を維持するため、ミガキングの後はメッキングでコーティングするのが最善策。厚塗り厳禁で、薄く塗り広げるのがコツ。
深い光沢がよみがえり、左右の差は歴然。一度メッキングを施工すると、その後も汚れにくくなる。
サビトリキングで優しく擦るとメッキマフラーの点サビが落ちる
最近はめっきり数が減ってしまったクロームメッキ仕上げのマフラー。雨水が滴り地面からの湿気の影響を受けやすい下面が錆びやすい。こちらも同じく放置されていたGB250クラブマンのマフラーだ。
サビトリキングはクロームメッキ特有の点サビを取り除く。付属の汚れ拭きクロスはフェルト状で柔らかく、厚みがあるのでメッキ表面を傷つけにくいのが特徴。
サビトリキングは研磨剤成分に加えて、点サビを溶かして浮き上がらせる成分も含んでいる。物理的に擦るだけでなく化学的に反応することでサビを取り除くのだ。
サビがひどくなるとクローム被膜自体が剥がれることもある。それを修復するには再メッキするしかないので、そうなる前の手入れが重要。
クローム被膜の欠損は少なかったので、サビの進行を抑えるためメッキングでコーティングする。この場合も薄く塗るのが鉄則。
史上“最鏡”クロスで塗布するメッキングには、メッキ表面だけでなくメッキの孔から内部に浸透して水分の通り道を埋める機能がある。
サビトリキング/ミガキング/メッキングの3段階で見違える仕上がりに
ホーンケースには汚れやくすみに加えて点サビがあるため、最初にサビトリキングを使用する。
強く擦ると曇るので、汚れ拭きクロスで“優しく”磨く。
点サビが落ちたら、残ったくすみをミガキングで取り除く。粒子が細かく、滑るような手触りだ。
メッキングには、特殊シリコーン被膜により細かいスクラッチを目立たなくする効果もある。また含有される光沢剤により、完全硬化後はメッキの深みがアップする。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
モトメカニックの最新記事
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
車種別専用パーツのラインナップも豊富なキジマ バイクメーカーが開発するニューモデルは、ビギナーからベテランに至る幅広いニーズに応えるべく仕様を決定しているが、それでもすべてのライダーの希望を叶えられる[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむホンダのモンキー&ゴリラ シフトアップ製88ccキットを組み込み、ノーマルキャブのままでセッティング変更せずに普通に走ることができた、6ボルト仕様の初期型黄色ゴリ[…]
ネットで注文できる1サイズ&1プライスガレージ。完成状態で運搬されてクレーンで据え置きされる サンデーメカニックなら誰もが知る工具ショップ・アストロプロダクツのホームページ上に「BIKE小屋」という商[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
スマートフォン連携でバッテリー管理が劇的に進化! 名古屋市に本社を置く株式会社SECONDが、LEADMAX-JAPANとの販売代理店契約を締結。2025年7月1日より、日本初上陸となるモーターサイク[…]
収納しやすく持ち運びやすいカード型くもり止めスプレー これからの時期、急に雨に降られて走行する際にシールドが曇りやすくなる。雨の中でシールドが曇ると余計に視界がなくなり、安全運転を阻害する要因となりか[…]
論より証拠! 試して実感、その効果!! 1947年カリフォルニア州ロングビーチで創業し、これまでにカーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた「シュアラスター」。幅広いラインアッ[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
最新の関連記事(オイル/ケミカル)
収納しやすく持ち運びやすいカード型くもり止めスプレー これからの時期、急に雨に降られて走行する際にシールドが曇りやすくなる。雨の中でシールドが曇ると余計に視界がなくなり、安全運転を阻害する要因となりか[…]
論より証拠! 試して実感、その効果!! 1947年カリフォルニア州ロングビーチで創業し、これまでにカーシャンプーやワックスをはじめ、さまざまなカー用品を手がけてきた「シュアラスター」。幅広いラインアッ[…]
“機械遺産”のコンディションをどう維持するか 電気自動車や電動バイクの普及が進めば進むほど、旧車や絶版車ムーブメントは一段と熱くなりそうだ。内燃機関に対する注目度が高まるのと同時に、ユーザー自身は“機[…]
擦らず拭くだけでOK。デリケートな素材も傷つけることなく赤サビを除去できる バイクや自動車の部品はもちろん、橋梁/建築物/工具/アウトドア用品の材料として当たり前のように使われている鉄素材。豊富な埋蔵[…]
オイルひとつでエンジン特性が激変!! ヤマハ純正オイル「ヤマルーブ」。4ストロークエンジン用のオイルだけでもさまざまなグレードが用意されているが、いったいナニがどう違うのだろうか? はたして一般ライダ[…]
人気記事ランキング(全体)
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
スズキが鈴鹿8時間耐久ロードレースの参戦体制を発表! スズキは2025年8月1日(金)から3日(日)に鈴鹿サーキットで開催される「2025 FIM 世界耐久選手権 鈴鹿8 時間耐久ロードレース」に「チ[…]
高評価の2気筒エンジンや電子制御はそのままにスタイリングを大胆チェンジ! スズキは、新世代ネオクラシックモデル「GSX-8T」および「GSX-8TT」を発表。2025年夏頃より、欧州、北米を中心に世界[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
最新の投稿記事(全体)
【モリワキエンジニアリング取締役名誉会長・森脇護氏】1944年、高知県生まれ。愛車だったホンダCB72のチューニングをヨシムラに依頼し、それをきっかけにPOPこと吉村秀雄氏に師事し、チューニングを学ぶ[…]
北海道という「ハードルの高さ」 ライダーにとってのひとつのあこがれ、北海道ツーリング。しかしフェリーの予約が面倒だったり、北海道までの移動で疲れてしまったり。 そういったライダーの悩みを解決し、「手ぶ[…]
カワサキ「エリミネーター」2026年モデルへ!! カワサキが人気ミドルクルーザー「エリミネーター」シリーズの2026年モデルを発表。2025年7月15日に発売予定だ。主要諸元に変更はなく、カラーリング[…]
フリュガンの展示会に行ってきました! どうも、2輪ジャーナリスト兼動画クリエイターの相京です。 フランスのバイク用品メーカー・フリュガンの展示会に行ってきました。 この日はゲストスピーカーとして呼んで[…]
ホンダ CB1300スーパーボルドール(2018)試乗レビュー この記事では、平成28年度排ガス規制に対応しモデルチェンジを行った2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月公開時の内[…]
- 1
- 2