春と秋の年に2回、鈴鹿ツインサーキットで開催されている「アストライド」。2023年のROUND1には、70台のマシンが集まった。年式や市販車やレーサーといったカテゴリーに関係なく、思う存分サーキット走行を楽しめるイベントとして定着したこのイベントは、モータースポーツの入り口としての役割とともに、歴史的に貴重なバイクの動態確認の場としても重要な役目を担っている。レースだから、サーキットだからと身構えず、信号も制限速度もないコースでスロットルを全開にすれば、新たな発見もあるはずだ。
●文/写真:モトメカニック編集部(栗田晃) ●外部リンク:オーヴァーレーシングプロジェクツ
戦前に製造されたクラシックも2023年モデルも一緒! さまざまな年代のライダーが気軽に交流できるのも魅力
絶版車や旧車で気兼ねなくサーキット走行ができる場として、またモータースポーツの入り口=サーキットを体験できる場として存在感を確立しているのが、オーヴァーレーシングプロジェクツの主催する「アストライド」だ。
サーキットライセンスを取得したり、レースレギュレーションに合わせてマシンを製作する必要がなく、クラシックレーサーなら当時の仕様で、普段は街乗りやツーリングで使用している愛車も、そのままのスタイルで参加できるハードルの低さが特長。
その一方で、4回のフリー走行と模擬レースで思う存分走行できるタイムスケジュールには、単なるフリー走行やスポーツ走行と異なる競技性の高さがある。その上で、順位を競うだけでない自由で緩めの空気感がアストライドの特徴であり、多数の参加者が集まる要因となっている。
1980年代からオリジナルフレームのレーサーでレース活動を行ってきたオーヴァーホールディングス佐藤会長は、当時のTT-F3やTT-F1レーサー、それ以前のクラシックレーサーに対する思い入れが人一倍強い。ヨーロッパでのクラシックレース参戦も豊富な佐藤会長にとって、ガレージの隅で置物になっているマシンを1台でも多くサーキットという晴れの舞台に呼び戻したいというのは、長年の希望でもある。
有名な旧車レースとしてLOC(LEGEND OF CLASSIC)があるが、クラブマンロードレースの1カテゴリーという性格上、競技性への比重が高いのが現実。それも悪くないが、アストライドは、車両のレギュレーションやクラス分けなどあらゆる面でサーキットイベントに対するハードルを下げているのが、特徴であり魅力でもある。
現行車でエントリーするライダーが、パドックに並ぶ1970年代やそれ以前のヒストリックレーサーを間近で見られることも新鮮な体験になるはず。サーキットを舞台とした参加型イベントとして、間口の広さと奥深さを兼ね備えたアストライド。サーキット走行を体験してみたいライダーにとって、絶好の機会となるだろう。
アストライドの一大勢力。着実に増え続けるGB400/500
Aクラス/Bクラスに分かれて計5台がエントリーする、ホンダGB400/500。SNSを通じて知り合った5人のオーナーは、それぞれ自分のやり方でGBと接してきたベテランばかり。パドックで賑やかに過ごす様子は今や恒例で、ツーリングを兼ねて応援に訪れるGB400ライダーもいるほど。さらに次戦からエントリーを決めたライダーもいたりと、GB旋風が巻き起こっている。
速いかどうかは関係ない! どんなマシンも自分のペースで走って楽しいのがアストライド
トランポもマシンも用意して、モータースポーツの楽しさを満喫
オーヴァーレーシングプロジェクツの耐久レースやラパラなど、鈴鹿ツインサーキットの他のイベントへの参加経験はあるが、アストライドはともに初エントリーという、Oさん(YZF-R6)とKさん(ニンジャ250R)。堂々とした走りがパドックの話題となったが、バイク歴は6年ほどで、奥村さんが本格的にサーキット走行に通い出したのは2022年から、近藤さんも初めてフルコースを走ったのは1年前というから、驚きの成長ぶり!!
クラシックマシンにとっても貴重なイベント
アストライドは、A〜Dの4クラスで走行を行い、クラス分けは主催者により柔軟に変更されることもある。1972年以前に製造されたクラシックモデル主体のDクラスには、今回はTT-F1/F3クラスのマシンも組み込まれて、観客の目をの楽しませた。純粋なレースとなれば、1980年代のTT-F1/F3 が速いのが当然だが、さまざまな年代のレーサーが一気に走行する光景は壮観。4回の走行時間を自分のペースで使えるのも、クラシックマシンには最適なのだ。
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