
ボロボロな外装を見るたびにサビシサを感じてしまう、我が家のヤマハBW’S125。普段の足として活躍しているので、気軽に乗れるように、ガレージがありながらも青空駐車。ますます色褪せてしまったカウル類だが、手軽かつお気軽に水性塗料を“刷毛”で塗って、イメージチェンジにチャレンジ!!
●文/写真:モトメカニック編集部(Miyasinoミヤシーノ宮下豊史)
扱いやすくて失敗しにくい水性塗料でイメチェン敢行
ことの発端は、友人カメラマンS氏が自分の自動車を刷毛で塗装したことからでした。その仕上がりがなかなか良く、いつか自分もトライしてみたくなるほど。さっそく塗料と刷毛を買い込んだのですが、そのままガレージの隅に3年も放置してしまいました。今回の企画がなければ、さらに熟成期間を経るところだったのかも…。危ない危ない。
今回使った塗料の一番の特徴は、水性という点。匂いがほとんどなく、水で粘度調整が可能。塗料が床にたれたり、手についても、すぐに拭き取ればOK。ツヤ消しの塗料なので、仕上がりにムラが出にくくて、塗装面を何度も重ね塗りをしても失敗しにくく、とにかく扱いやすい。
スプレー塗装に比べ、マスキングも最低限で済みます。その手軽さと準備が楽な点、さらにその行為自体に“日曜大工をやってる感”があって、面白いのです。
【今回使用した車両】友人の息子さんが就職するのを機に不要となったBW’S125。最低限のメンテナンスしかされていなかった個体でしたが、駆動系や消耗品を交換したことで愛着が湧きました。だからこそボロボロの外装が残念でならず…。
【刷毛塗り後のBW’S 125】ボロボロの外装が見違えるほどキレイに仕上がりました。それでは手順を見ていきましょう!
用意した水性塗料はコレ
【非鉄バインダーα(左)】特殊エポキシ樹脂及び特殊アクリル樹脂(対応:FRP/PP/アルミニウム/アルマイト/硬質クロームメッキ/トタン/ドブ付け亜鉛メッキ/真鍮/アクリル板/ABS/ガラス/焼き付け塗装) ●価格:2710円(1L) 【Aqueous Metal-Coated Silicon 水性(右)】スモーキーブルーグレー&マットブラック ●価格:6400円(1L ※カラーにより価格変更) ※問:株式会社タカラ塗料
まずは下準備で作業環境確保
下準備。まずはデカールをヒートガン(今回のためにアストロプロダクツで購入)で温めスクレッパーで剥がす。再利用はしないので、破れようが気にしない。
最初は分解せずに塗ろうと考えていたが、ライトまわりの複雑なマスキングに挫折。分解した方が簡単で、しかも綺麗に仕上がりそうな感じだった。
耐水ペーパーで外装を研いでいく。転倒時にできた深い傷を粗めの#180で削り、平坦に。パテ盛りは面倒なのでしない。細かい番手に徐々に変えていき、最終的に青いカウルをすべて#800で足付け。
足付けの研磨時に出た削りカスを水で洗い流す。しっかりと乾燥させた後、シリコンオフで丁寧に脱脂。これはカー用品店で購入したスプレータイプ。
慌てず焦らず塗り重ねよう!!
水性塗料を塗る前に、下地材として非鉄バインダー(プライマー)を塗る。このおかげで塗料の乗りがよくなり、剥がれにくくなる。こいつは油性なので匂いがきつい。
一方で水性塗料は匂いがほとんど気にならない。色/粘度が均一になるように徹底的に攪拌した後、カップに取り分け、水を10%ほど加える。
刷毛でバイクを塗るという非日常行為に興奮を覚えつつ、ペタペタと。たれないように薄く塗り広げていく。少し手応えのある粘度の方が塗りやすい。
「薄く塗って少し乾かす」これを繰り返す。写真は2回目を塗り終えたところ。ムラになっているが気にしない。一度に厚く塗るとたれやすいので注意。
4回重ね塗りをしたところ。ムラがほとんど消え、下地の青色もグレー色で覆われた。室温15度/およそ1時間弱で、表面は触れるほどに硬化する。
遠目ならば良いのだが、間近で見ると刷毛目がしっかりと残ってしまった。いろいろ試してみたが、刷毛よりもタミヤ模型製のプラモデル用平筆の方が、良い結果に仕上がる(仕上がった!!)。
純正では塗装されていない黒いPP樹脂も、プライマーを塗った後だと水性塗料を塗ることができる。日に焼けて白く変色してしまったパーツも、綺麗な黒色に。
スチール製のハンドガードが真っ赤に錆びていたので、BAN-ZI社のサビ転換塗料「サビキラーPRO」でサビ止め兼お色直し。
ミリタリー調にするために、ステンシルシートで文字入れ。スポンジに黒色の水性塗料を少量含ませて、トントンと押しつける。手軽にスプレーで塗装したかのように仕上がるのでおすすめだ。塗料が余ったので、次はディオバハの外装塗装に挑戦したい。
アクセント入りで仕上がり良好!!
塗装の模様を動画で撮影
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
初期型チャピィ用燃調キットがないのでキースターにお願いした 井上ボーリングで注文したTKRJピストンで腰上は新品同様となったものの、新車発売時のスペックどおりピッタリ50km /hで頭打ちとなる、初期[…]
ボルトオンで取り付けできる機種別開発が特徴。CB-F/CBX用ピックアップASSYが新登場 絶版車に共通する弱点のひとつが点火系。ポイント点火車の場合、接点の消耗や点火タイミングのズレがエンジン性能に[…]
妥協することなく繰り返される設計変更で進化を続けるMADE IN JAPANホイール オリジナルホイール開発当初から、一貫して鍛造製法を採用し続けているアドバンテージ。溶かした素材を鋳型に流し込む鋳造[…]
きめ細かい泡を連続噴射できる電源不要のポンプ式フォームガンとカーシャンプー ここ最近、各方面で話題となり人気上昇中なのが、洗車用シャンプーなどを手動ポンプで加圧して泡状に吹き付けるフォームガン。バケツ[…]
脚もとの輝き具合は意外と目立つので要注意!! フルレストア進行で一気に仕上げると、当たり前のようにすべての部品は輝いている。一方で、今週はホイール、来週はサスペンション、といったように、パートごとに仕[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
タイヤの内圧規定ってなんだ? 今シーズン、MotoGPクラスでたびたび話題になっているタイヤの「内圧規定」。MotoGPをTV観戦しているファンの方なら、この言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ときに[…]
シュアラスターの「バイク洗車図鑑」 バイクが違えば洗い方も変わる! 車種別の洗車情報をお届けするシュアラスターの「バイク洗車図鑑」、今回はホンダCL250を洗車します。 洗車ポイントは“黒い部分をしっ[…]
燃料キット開発時は現物確認と現物採寸が大前提 キースターでは、原付からオーバー1000ccモデルまで、500車種以上のキャブレターに対応した燃調キットを開発してきました。現在でもコンスタントに新製品を[…]
軍手は洗車道具たりえるのか みなさんバイクってどうやって洗ってますか? スポンジ? ブラシ? それとも高圧洗浄でしょうか。実は筆者は最近「軍手で洗車」に目覚めたのです。 きっかけは使ってたスポンジがボ[…]
カブの乗車時にできる”ブーツ傷”から守る! どんなに気を付けていても、できてしまいがちな”またがり傷”。カブ乗りの悩みのひとつを解消してくれるアイテムが登場しました。ハンターカブ/クロスカブ/C125[…]
人気記事ランキング(全体)
ファン+ペルチェでダブル冷却 山善のペルチェ ベストは、外径約100mmの大型ファン(厚み約38mm)で風を取り込み、さらに内蔵のペルチェデバイスで空気やウェア表面を冷やす仕組みを採用。保冷剤用メッシ[…]
コンパクトながら高出力のペルチェ冷暖ベスト おたふく手袋の「冷暖ペルチェベスト JW-699」は、USB PD対応の2万mAhバッテリーを標準付属。psEマーク取得のバッテリーで、最大連続使用は冷却の[…]
MotoGPライダーのポテンシャルが剝き出しになったトップ10トライアル 今年の鈴鹿8耐で注目を集めたのは、MotoGPおよびスーパーバイク世界選手権(SBK)ライダーの参戦だ。Honda HRCはM[…]
最外層にカーボンファイバーを使ったX-Fifteenの最高峰モデルが登場! 積層させた炭素繊維を樹脂で固めたカーボンファイバー(CFRP)は、軽くて強い素材だ。そのため航空機やレーシングマシンに使われ[…]
派生機種を生んだ素性の良さ GS750/Eの実質的な生産期間は約3年。とはいえ、派生機種として登場したGS750G/GL、排気量拡大版のGS850Gは’80年代半ばまで生産を継続。この点については兄貴[…]
最新の投稿記事(全体)
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
ワークマン公式アプリから先行予約、店頭受け取り限定で販売 まずはイージス防水防寒スーツの「リミテッドブラック」が欲しくてソワソワしている人のために、その予約方法をお伝えしよう。 ワークマンは9月1日([…]
ドゥカティを王者へと導くマシンを開発するピッロ選手のシグネチャーモデル 『F-17 Mips MICHELE PIRRO』は、MotoGPに参戦中の『ドゥカティ レノボ チーム』のテストライダーを務め[…]
タイヤの内圧規定ってなんだ? 今シーズン、MotoGPクラスでたびたび話題になっているタイヤの「内圧規定」。MotoGPをTV観戦しているファンの方なら、この言葉を耳にしたことがあるでしょう。 ときに[…]
ジョアン・ミル選手が今季着用中のシグネチャーモデルが登場! 『F-17 Mips JOAN MIR』は、’23年からレプソル・ホンダと契約してMotoGPを戦っているレーシングライダー、ジョアン・ミル[…]
- 1
- 2