「工具セット」といえば、入れ物であるツールチェストと中身である工具を一体として捉えるのが一般的だろう。ツールチェストを単体で購入する場合、ある程度の工具を所有していることが前提となるはずだ。ところがストレートでは、そうした固定観念にとらわれない販売形態を採用している。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:ツールカンパニーストレート
87ピースツールキットを“箱ナシ”で販売
下のトレイ入り工具が何故むき出し状態なのかといえば、ストレートでは87ピースツールキットをこの状態、つまり“箱ナシ”で販売しているからだ。セット工具はビギナー向けの商品と思われがちだが、このキットは既に工具箱や収納機器を所有しているユーザーの追加用、あるいは入れ替え用としてのニーズにも応えているのだ。
収納用の“器”を持たないユーザー向けに、トレイがぴったり収まるツールチェストも別途用意されている。「それなら最初から一緒にすれば良いのに」となりそうだが、このチェストにも引き出しが2段タイプと3段タイプがある。2段を選べばトップ収納と引き出しで帳尻が合い、3段タイプにすれば1段分の引き出しをフリーにできる。
また、このキットのレンチやソケットはミリサイズだが、別の商品としてハーレーダビッドソンを念頭に置いた1トレイ組みのインチ工具セットもあり、これを空いた引き出しにセットすれば、ミリ/インチのマルチツールセットとなる拡張性の高さも注目すべきポイントである。
ツールキットのトレイがぴったり収まるチェストは、シリンダーキー付きでセキュリティ対策もバッチリ
レンチ類はシンプルなコンビネーションのみ
ツールキットにメガネレンチはなく、レンチ類はコンビネーションのみというシンプルな内容。表面仕上げはツヤを押さえたハーフマット調で、サイズ表記はプリント仕様。
メガネ部分にラチェット機構を持たないベーシックレンチを採用するのは、早回しはラチェットハンドルで行うことを前提としているため。ストレートにはラチェットコンビやラチェットメガネレンチもあるので、必要に応じて追加するのが良いだろう。
セット工具では異色の1/4/3/8/1/2ハンドル
5〜21mmまでの21サイズのソケットを駆動するため、差込角1/4/3/8/1/2インチのハンドルを使い分けるのが大きな特徴。
1/4/3/8インチのラチェットハンドルのギヤ歯数は108と超多歯で、ハンドル振り角が十分に確保できない狭い場所でも、僅か3.33°の送り角でソケットを回すことができる。一方1/2インチのハンドルは全長380mmのスピンナータイプで、固く締まったボルトやナットに対して強いトルクを加えることができる。
差込角3/8ソケットはアクセス性の良い12ポイント
ラチェットハンドルの差込角によるソケットサイズのラインナップは下の表の通りで、サイズによっては2種類の差込角が選択できるものもある。
ラチェットハンドルの差込角によってソケット側の差し込み寸法が決まるため、1/4と3/8インチ用では同じ10mm用ソケットでもボリューム感に大きな違いが生じる。さらにラチェットハンドルのヘッド部分のサイズ差もあるため、作業内容によっては複数の差込角が用意されている恩恵を実感できるのだ。
手にフィットして回しやすい樹脂柄ドライバー
ドライバーはグリップ色を変えることでプラスとマイナスの違いを一目で判断できる。樹脂製のグリップは硬めの心材と握りやすく滑りにくいソフトな素材を重ねることで、強い回転トルクを効果的に伝達することができる。
またラウンド形状のグリップエンドは押して回す動作で力を加えやすい。プラスドライバーはNo.1サイズよりさらに細いNo.0が含まれており、キーレスエントリーリモコンのバッテリー交換など精密ドライバー並みの作業が可能。プラス/マイナスのいずれも軸は非貫通タイプだ。
ドライバーでもラチェットハンドルでも使えるビット類
樹脂ホルダーにセットされた2面幅1/4インチのヘックスビットは、ドライバーハンドルにビットホルダーソケットを差し込んでセットする。
ドライバービット/ヘックスキービットはドライバーやヘックスレンチとオーバーラップするが、いじり止め付きヘクサロビュラ(トルクス)はビットセットだけのアイテムとなる。
ビットホルダーソケットとソケットアダプタービットを組み合わせると、先端が1/4角の凸になるので、1/4ソケットをドライバーハンドルで回せるようになる。
オーソドックスなモンキーに加えてカッターナイフも付属
ボールポイント仕様のL型ヘックスレンチは短軸側を本締め/緩め作業に使用し、ある程度傾いた状態でも回転するボールポイント側で早回しすると作業効率がアップする。
逆にボールポイント側に強いトルクを加えると、くびれ部分から頭が折れてしまうことがあるので要注意。2面幅21mm以上のボルトやナットを回す際にモンキーレンチを使う場合、開口部との間に遊びが出ないようウォームギヤを確実に締め付けることが重要。
カッターナイフは刃を折らず鈍ったら交換するタイプで、カット作業時にチカラを入れやすい頑丈なボディだ。
ウォーターポンププライヤーは掴み作業に重宝
全長160mmのニッパー/ラジオペンチ/スリップジョイントプライヤーは、セット工具の掴み系としてポピュラーだが、注目すべきはウォーターポンププライヤー。
このプライヤーは有名ブランド品と同様にジョイント部分が3枚構造で、グリップ部分をひねっても先端のズレが少なく、相手をしっかり掴むことができる。ボールピンハンマーの柄は、強度が高く衝撃にも強い伝統的なヒッコリー材を使用している。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
明確な個性を持つ30種類のラチェットハンドル デザインや製品番号を変えることなく、ラチェットハンドルの要点であるギヤ数を36→72歯に倍増させたコーケンZ-EALの3/8インチシリーズがデビューしたの[…]
ショールームとワークスペースのセットにレンタルバイクが加わり、さらにパワーアップ 「以前の店舗もここから10分程度の近所ですが、中央道路に出てきたら『こんなにお客さんがいるの!?』という感じです」と語[…]
ホイール/エンジンカバー/金属部品への施工に特化。熱硬化性一液ペイントの決定版「アレックスコート」 ディープなサンデーメカニックの中には、DIYペイント作業にこだわり、焼き付け乾燥が可能な高温乾燥機を[…]
入手困難な旧車のパーツをクラウドファンディング 「群衆/Crowd×資金調達/Funding」という言葉を組み合わせた造語が「クラウドファンディング」。インターネットやSNSを通じて、不特定の賛同者に[…]
サンメカ御用達高性能ケミカルに注目 クロームメッキは樹脂や塗装より硬い金属だが、想像以上に簡単に傷が付くことがある。またメッキ面は平滑なように見えるが、目に見えない極小サイズの穴やクラックが無数に存在[…]
最新の関連記事(工具)
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
KTCが中核ツールチェストのニューモデルをリリース KTCではこれまで、長きにわたってSKX0213がツールチェストの中核を担ってきたが、およそ20年ぶりにデザインと機能を一新したニューモデルを202[…]
ラチェットハンドル:1/4ビットとソケットの二刀流で狭い場所でも扱いやすいラチェット工具 最初に紹介するのは、9段階のフレックヘッドの一方を差込角1/4インチのラチェットハンドルで、もう一方を1/4イ[…]
バイクに常備しておきたい最低限の車載工具とは? バイクは振動によってボルトが緩みやすく、ボルトが1本外れただけでも部品が保持できず、安全な走行が困難になります。 加えて、ミラーのネジが緩んだだけでも安[…]
ナットツイスター:ツイスト形状がガッチリ食いつけばボルト/ナット/なべ小ネジにも使える 開口部から底部に向かって内径が狭まる特殊なツイストが食い込むことで、角が潰れたボルトやナットをしっかり捉えて緩め[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
スイングアームにスプールを装着できれば、アドベンチャーやオフ車でもガレージREVOが使える スーパースポーツモデルやビッグバイクユーザーのみなさんからご好評をいただいているガレージREVOは、バイク置[…]
現在の高性能ドライブチェーンに交換決定。サビに関係なく旧ドライブチェーンは怖い モトメカニック編集部の友人が個人売買で購入してきたヤマハXT250。走行距離が少なく保管状態も悪くなく、未再生原型車とし[…]
アクセルワイヤーが長すぎた!というトラブル ハンドルを交換して長さが合わなくなってしまったり、はたまたケーブルそのものが痛んでしまったり。こうしたアクセルワイヤー(スロットルケーブル)を交換する際、「[…]
ラチェットハンドル:1/4ビットとソケットの二刀流で狭い場所でも扱いやすいラチェット工具 最初に紹介するのは、9段階のフレックヘッドの一方を差込角1/4インチのラチェットハンドルで、もう一方を1/4イ[…]
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
最新の投稿記事(全体)
振動、路面を蹴飛ばす感じ、エンジンで走らせる気持ちよさ バイクはエンジンを懐に抱えて走るような乗り物だ。単純にライダーとエンジンの距離が近いことがエンジンの存在感を大きく感じさせるだけではなく、エンジ[…]
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
ベテランカメラマンに「これはアートだ」と言わしめる流麗なフォルム リヤタイヤが路面を蹴り飛ばすかのような、豪快で胸の空く加速フィールはスタートダッシュだけではなく、速度レンジが上がってからもまだまだ続[…]
Screenshot 未塗装樹脂の白化 バイクのミラーや泥除け(フェンダー)、樹脂製リアボックスなどに使われている黒い未塗装樹脂部品。ここに使われている素材の多くは「ポリプロピレン」という軽くて丈夫な[…]
スイングアームにスプールを装着できれば、アドベンチャーやオフ車でもガレージREVOが使える スーパースポーツモデルやビッグバイクユーザーのみなさんからご好評をいただいているガレージREVOは、バイク置[…]
- 1
- 2