
重曹を使用する吹き付け研磨「EZブラスト」で使用する「マジックパウダー」と呼ばれるブラストメディアは、高い洗浄能力を持ちながら、お湯に触れるとガス化するという大きな特徴を持つ。その特徴を最大級の威力を発揮するのはクロームメッキのサビ処理!! というわけで本記事では、モトグッツィ850ルマンIII[’85]のサビついたクロームパーツに使ってみた結果を報告しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:EZブラストジャパン
クロームメッキ部品のサビに効果絶大なEZブラスト
クロームメッキ部品の処理や、ブラストメディアを部品に残したくないキャブレターの処理などで、素晴らしい威力を発揮するEZブラスト。一般家庭の清掃用洗剤としても知られる重曹をベースにもつ「マジックパウダー」と呼ばれるブラストメディアは、高い洗浄能力を持ちながらも、お湯に触れるとガス化するという大きな特徴を持っている。
これまでにモトメカニック編集部では、分解したエンジンの燃焼室にこびり付いたカーボン汚れや、吸排気バルブの傘に堆積したカーボン汚れをEZブラストで直接洗浄し、好結果を得てきた。
砂やガラスなどの固形メディアは、部品表面に突き刺さって残留してしまうことがあるため、どんなにエアーブローしても、メディアを落としきれない。その証拠に、その後、超音波洗浄機で洗浄処理すると、驚くほどの量のメディアが洗浄層の底に沈殿していることに気が付く。
ところが、重曹由来のメディアなら、処理後の部品内に滞留したとしても、お湯を流すことでメディアは溶けてガス化してしまう。そんな特性があるため、状況を理解することによって、様々な場面でEZブラストならではの高性能や特性を発揮してくれるのだ。
クロームメッキ部品のサビに処理してこそ、最大級の威力を発揮すると考えた編集部は、見た目仕上げのために、分解したルマンIIIのメッキ部品をEZブラストジャパンのラボに持ち込んだ。
その結果は“効果絶大”。作業前と後ではその差は歴然だ。リアサスペンションのスプリング/マフラー/ペダルなどのメッキパーツに浮いたサビをほぼ除去でき、メッキの美しさを損なわない綺麗な仕上がりとなった。下記写真で見比べてほしい。
各部クロームメッキのサビをEZブラストした結果
硬いバネ鋼材に発生したサビは、意外なほどよく落ちてくれた。特に、バネの内側を美しく仕上げるのは大変な作業だが、EZブラストならご覧のとおり。サビで薄汚れていたリアショックスプリングが、新品部品並みの輝きに復活!!
この手の鋳物部品のクロームメッキ仕上げは、熱によってサビが発生しやすいことで知られている。こんな鋳物部品は、ワイヤーブラシやワイヤーバフではなく、EZブラスト処理に限る。想像した通りの輝き復活に大満足だ。
マフラー固定用の接続バンドなどは、漏れた排ガスなどで黒くススけてしまいがちだが、サビや排ガスによるカーボン汚れなども、ブラッシングによるクリーニングではなく、フラット仕上げが美しいEZブラストに軍配が上がる。
今回のブラスト処理でキレイになったパーツ群。
果たして美しく仕上がるものか!? これまでの経験から、このモトグッツィのメッキ部品に発生したサビなら、EZブラスト施工で相当に美しくなると判断した。しかしながら、マフラー本体のブツブツサビの根源は、黒い点となってポツポツ残ってしまう結果だった。
チェンジペダルやブレーキペダルは鋳造部品を溶接し、バフ処理後にクロームメッキを施すことでピカピカ仕上げになっている。このようなクロームメッキ部品で大きな威力を発揮するのが、EZブラスト最大の特徴と言えるだろう。とにかく美しい!!
※本記事は“モトメカニック”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
“とことん整備”が魅力の絶版車販売 「“Z1の代わり”というより、これが欲しいという方が多いです」と米倉マネージャーが語るように、20代のライダーにも人気が高いゼファー750。販売前にエンジン本体/サ[…]
ラチェットやソケットが小さくなるほど、使い勝手の良さが分かるクイックスピンナー コーケン製クイックスピンナーは、スピンディスク(ローレットが刻まれた円盤外周)の仕上げが丁寧で、素手の指先で回しても当た[…]
レーサーレプリカ由来の高回転型エンジンはエンジンオイルのメンテナンスが重要 率直に言えば、中古車で“安くて良い物”はよほどの奇跡でもないかぎりあり得ない。『モトメカニック』読者のようなサンデーメカニッ[…]
ツイストソケット:螺旋状の刃が食い込む。ラチェット/メガネのどちらでも使える 六角部がなめたボルトやナットはもちろん、十字穴が潰れたナベ小ネジを緩める際にも使えるツイストソケットは、螺旋形状の刃がボル[…]
パウディーシステムライン:金属部品に電気的に付着させるパウダーコーティングの連続作業が可能に 焼付塗料の乾燥器やパウダーコーティング用のコロナガンなど、従来であれば工業系ユーザーをターゲットとしていた[…]
人気記事ランキング(全体)
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
シリーズ累計で約3万台を生産したW1の系譜 約9年に及んだ販売期間の中で、W1シリーズの人気が最高潮に達したのは、ペダルの配置が左:シフト/右:リヤブレーキに改められたW1SA。それに次ぐのはツインキ[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の記事
- Z400RS/セロー200etc。ヤングマシン的新型バイク予測記事ランキングTOP5【2025年上半期版】
- 「GSX-Rエンジン搭載の派生車」1989スズキ バンディット400:GSX-R250R譲りの250も【ニッポン旧車列伝】
- 最新相場もわかる! 人気バイク歴代モデル図鑑:カワサキZ900【アグレッシブカラーの2024年モデル】
- ヤマハ「TW200」の2026年モデルが登場! 姿をほとんど変えずに生き残る極太タイヤの空冷オフロード車【北米】
- 「ワークスマシンは初代TT-F3チャンプ」1984ヤマハFZ400R:XJ400Z系水冷直4を改良【ニッポン旧車列伝】
- 1
- 2