2009年、再燃するスーパーバイク戦国時代に新生GSX-Rを投入!
2009年以来8年ぶりのフルモデルチェンジとなるGSX-R1000が登場。ライバル車としてヤマハは2015年にフルモデルチェンジで電子デバイスも満載したYZF-R1をリリースしており、カワサキは2013年にワールドスーパーバイクでZX-10Rでチャンピオンを獲得し、2015年からタイトルを連取。そのなかでGSX-R1000は満を持しての登場だった。
完全刷新したエンジンには、MotoGP前期のワークスマシンGSV-Rで開発した油圧や電気を必要としない可変バルブタイミング機構(SR-VVT)や、現代の高性能エンジンには欠かせない動弁機構のフィンガーフォロワーはMotoGP復帰時のワークスマシンGSX-RRのパーツをベースに設計(スズキレーシングフィンガーフォロワーバルブトレイン)。さらにインテークファンネル上部に取り付けたトップフィードインジェクター(S-TFI)や、エキゾーストパイプの気筒間の連結部の開閉コントロール(SET-A)を組み合わせることで、GSX-R史上最強の197psのパワーを実現。
電子デバイスは車体姿勢を検知するIMU(慣性計測装置)やライド・バイ・ワイヤをはじめ、3種の走行モードを持つS-DMSと10モードのトラクションコントロールで計30通りの組み合わせから好みの乗り味の選択が可能。双方向クイックシフターやローンチコントロールも装備する。
アルミフレームはいっそうコンパクト化を図り従来より10%軽量化。サスペンションはフロントにショーワ製BFF(バランスフリー・フロント・フォーク)、リヤにショーワ製BFRC liteを装備し、ブレンボ製のフローティングピン&Tドライブのディスクローターやモノブロックラジアルマウントキャリパーなど足まわりもレーシングライク。
このモデルからGSX-R1000シリーズで初めて国内モデルが用意され、最高出力も欧州モデルと同じだった。ちなみに輸出モデルは標準仕様と足まわりなどが充実したR、そしてABS仕様をラインナップしたが、国内モデルはすべてが備わるGSX-R1000Rとなり、ETC車載器も標準装備している。
MotoGP技術を投入した新型エンジン
新生GSX-R1000Rの全カラーを見てみよう!
2017年から販売されるGSX-R1000Rは、19年のマイナーチェンジの他はカラーチェンジのみ。ワークスマシンを彷彿させるトリトンブルーのエクスターカラーはほぼ毎年ラインナップするが、グラフィックの入り方やアンダーカウルの色などが全車で微妙に異なっている。
2019年にマイナーチェンジ
スイングアームピボットが可変タイプになり、フロントブレーキにステンレスメッシュホースを採用。サイレンサーボディがブラックになりヒートガードを追加。標準装着タイヤがブリヂストンのバトラックス・レーシング・ストリートRS10からRS11に変更。標準装備のETC車載器がETC2.0にバージョンアップした。
2022年に発表されたGSX-R1000Rの生産終了(国内および欧州モデル。排出ガス規制の異なる北米は販売を継続中)のニュースは、多くのライダーに衝撃を与えた。時代はSDGsを唱えバイクを取り巻く状況も変化。なかでも厳しさを増す排出ガス規制により存続が危ぶまれるスポーツバイクも数多く、GSX-R1000Rもその中に含まれていた……。
とはいえ新時代に対応した「新型GSX-R1000」が登場する可能性はゼロではない。かつて油冷エンジンやアルミフレームで大排気量レーサーレプリカを築いたGSX-R750が登場した時のように、ライダーに歓びの衝撃を与えてくれることを願って止まない。
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