
2019年にEICMAで発表されたカワサキとビモータのタッグには本当に驚かされた。正直、カワサキエンジン以外のビモータが今後登場しないことは残念だが、夢が広がったのも事実。その際のEICMAでは、ニンジャH2のスーパーチャージドエンジンを搭載したハブセンターステアリングのテージH2を発表し、その時から噂されていたニンジャ1000SXのエンジンを搭載したKB4もようやく完成。日本にも少しずつ導入が始まろうとしている。
●文:ミリオーレ編集部(小川勤) ●写真:ビモータ、編集部 ●外部リンク:カワサキモータースジャパン
新時代のカフェレーサー。現代のニーズにフィットする気品とポテンシャル
本当に1000ccなんだろうか? 写真からは想像がつかなかったけれど、目の前のBIMOTA(ビモータ)KB4は、とにかく短くコンパクトだ。そしてディテールは信じられないほど作り込まれている。ドライカーボンパーツやアルミ削り出しパーツが集結し、まるで工芸品のような美しさを放っている。大阪&東京モーターサイクルショーで釘付けになった方も多いだろう。
現代の最高の技術と発想でつくられたライトウエイトカフェレーサーは、今の時代にとてもマッチしていると思う。
KB4(およびKB4 RC)のコンセプトは「Vintage Inspired(ヴィンテージ・インスパイアード)」。1970年代の象徴的なビモータのクラシックなスタイルと、ビモータが考える現代的なバイクを高い次元で融合させている。特徴的なのがサイドビューで、テールカウルに収めたラジエターに空気を導くためのダクトを装備
ラジエターはシート下、スイングアームはアルミ削り出し
穴が開くほど見つめていると、スイングアームの裏側に目がいく。スイングアームはアルミ削り出しで、信じられないほど丁寧に削り込まれている。ドライカーボンの外装パーツはどれも一つひとつが大きく、シートカウルは一体いくらするんだろうと、オーナーでもないのに思わず転倒時の部品代が心配になってしまう……。
そのカーボンモノコックシートの下にはラジエターを配置。本来エンジンの前にマウントされているラジエターがこの位置にあるため、KB4は前輪とエンジンのクリアランスが極端に少ない。これがホイールベースを短くできている最大の理由だ。各部にカワサキの純正部品も使用されているが、そんなパーツたちもまるで違和感なくなじみ、イタリアンな雰囲気に溶け込んでいる。
ハイプレッシャー・クーリング・システムと呼ぶラジエターの配置方法を採用。車体サイドのエアダクトから、テールカウル内に備えたラジエターに空気を送り、電動ファンで吸い出す冷却システム。ラジエターをエンジン前から移設したことで、ホイールベースを大幅に短縮。走りの醍醐味を追求している。
こちらはビモータ公式YouTubeのKB4のPVからのキャプチャー画面。フレームは、スチールパイプで構成されたコンパクトな設計。パーツリストと思われる図面を見ると、エンジンを完全にフレーム剛体として使用していることがよくわかる。
ヘッド周辺のフロントフレームとクランクケース後方にスイングアームピボットとなるプレートを連結。スイングアームピボットとステップホルダーを兼用。こういったパーツはすべてアルミ削り出し。