
現在の国産車で当たり前になったメカニズムは数多いが、そのいずれにも「初めて」がある。戦後から目覚ましい成長を遂げ世界に羽ばたいた日本の2輪メーカーは、海外メーカーの技術に倣う一方、独自の技術も生み出した。ここでは今や当たり前となった機構の中で、ハンドルまわりにまつわる国産量産車の「お初」をご紹介。
●記事提供:モーサイ編集部 ●レポート:小関和夫 ●写真:ホンダ/ヤマハ/スズキ/八重洲出版 ●編集:阪本一史
キーロック付きタンクキャップ:スズキGT380(1972)
バイクの燃料キャップは、そもそもは転倒時の漏れ防止の安全対策からキーロック式が採用されるようになったが、その最初は1972年のスズキGT380などのフタ付きリッド式から始まった。また、キャップ部自体にキーボックスを加えた方式は、カワサキ車に使われた。
なおキーロック式の給油口は、今日ではいたずら防止やガソリンの盗難から守るためのものに、意味合いが変わってきている。
2スト並列3気筒の快速スプリンターとして注目を集めたGT380(1972)。
タンク開口部横にキーロックが付くキャップは、カタログに「2重ロック方式」と紹介。そして利点の説明に「転倒時の燃料の流失防止」とある。当時は盗難やいたずら防止ではなかったわけだ。
■スズキ GT380主要諸元
エンジン:空冷2ストローク並列3気筒ピストンリードバルブ ボア・ストローク54.0×54.0mm 総排気量371cc
性能:最高出力38ps/7500rpm 最大トルク3.8kgm/6500rpm
変速機:6段リターン
車重:183kg
発売当時価格:24万5000円
イグニッションキー一体型ハンドルロック:ホンダ CB400Four(1974)etc.
ハンドルロック自体は戦前から存在した。BMWなどはシリンダーキーをトリプルクランプ部からステアリングヘッド部に差し込む上部操作方式。国産車の多くは三ツ又下側からステアリングヘッド部に向かって固定したり、ステアリングヘッドパイプ部から内部ステアリングシャフトの穴に差し込む方式があったが、いずれも操作しにくかった。
そこで開発されたのがメインスイッチとハンドルロックがー体式になったもので、最初のマシンは1974年発売のCB400FourとCB500Tの2車からだった。
1974年12月発売のCB400Four。当初408ccで登場したものの、自動二輪中型限定免許に対応して1976年3月にエンジンを398cc化してモデルチェンジ。同時にセミフラットハンドル仕様をI、スタンダードなアップハンドルのIIとして2機種展開とした。
1970年代半ばころのホンダモデルに、よく採用されたメーター中央のインジケーターパネルが特徴的。もちろんハンドルロック兼用メインスイッチもセールスポイントだった。
■ホンダ CB400Four(初期型)主要諸元
エンジン:空冷4ストローク並列4気筒OHC2バルブ ボア・ストローク51.0×50.0mm 総排気量408cc
性能:最高出力37ps/8500rpm 最大トルク3.2kgm/7500rpm
変速機:6段リターン
車重:183kg
発売当時価格:32万7000円
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