
バイクやクルマ、自転車などのモビリティに用いられるパーツは数あれど、タイヤは車両の重量を支え、地面に動力を伝え進行方向へ曲げるなど、とくに役割が大きい存在です。
大きさや太さ、形状など様々ですが、どのタイヤも共通しているのが「丸くて黒い」こと。
直進時やカーブでも安定したグリップを維持し、旋回できるよう丸い形状のタイヤが採用されているわけですが、改めて考えてみると、なぜ黒色なのでしょうか?
当たり前すぎて疑問に感じない方もいるでしょうが、タイヤが黒色なのにはきちんとした理由がありました。
●レポート&写真:手束 毅 ●写真提供:タイヤフィッティングサービス株式会社/株式会社フクナガエンジニアリング ●編集:モーサイ編集部(小泉元暉)
タイヤが進化を遂げたのはコロンブスのおかげ
その理由を述べる前に、まずタイヤの歴史をおさらいしてみましょう。
紀元前から木の板をつなぎ合わせた車輪は、古代文明を築いたシュメール人などが物を運搬するために利用していました。
18世紀に入り、馬車などで用いられていた鉄の車輪の周りを天然ゴムで覆った「ソリッドタイヤ」が誕生。
天然ゴムの存在が世に知れ渡るようになったのは、アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスが、14世紀後半に西インド諸島で見つけた天然ゴムを西欧に伝えたことがきっかけです。
18世紀後半にはタイヤメーカー「ミシュラン」を大いに発展させたミシュラン兄弟も自転車用の空気入りタイヤを普及させましたが、当時のタイヤは天然ゴム特有の色味だったといいます。
つまり天然ゴムを用いた初期のゴムタイヤは黒色ではなかったのです!
しかし、空気入りゴムタイヤが広がっていくなかで大きな課題となったのはタイヤの強度や耐久性でした。
強度や耐久性を増すために様々な工夫がなされていくなか、1912年からアメリカではゴムの補強材としてカーボンブラック(炭素)を用いることが実用化されました。
タイヤの補強材としても、カーボンブラックはトレッド面に用いる最適な素材だったのです。
少々突っ込んだ話になりますが、ゴムには「変形する」「変形しても元の形状に戻る」「硬さを調整できる」などの特徴を持ちますが、これらはゴムの分子同士が結合することで起こるもの。
ゴムの分子同士の結合を強くするために硫黄が使用されているのですが、硫黄とゴムを混ぜて加熱し、そこにカーボンブラックを配合することで分子同士が強く結び付けられることにより、なかでも強度が飛躍的に向上するのです。
長々と説明してきましたが、カーボンブラックを補強材として練り込んだことこそタイヤが黒くなった理由。
現在に至るまで「タイヤ=黒色」になったのは、タイヤを丈夫にするために工夫されたことだったのです。
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