地球温暖化が進む昨今。とはいえライダーにとって、やっぱり冬は寒い。とくに手元の冷えはカラダに堪えるもの。そこでグリップヒーターの出番なのだが、標準装備されている車両はまだ少なく、後付けせざるをえないのが実情だろう。でも大丈夫。ビギナーやDIYが得意ではない方でもなんとかなる、グリップヒーターの取り付け方を紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部(カサ) ●外部リンク:エンデュランス
初心者でも自分でグリップヒーターを取り付けられるのか?→無事にできた
今回のDIYは、数あるグリップ交換型の選択肢から、エンデュランスの「汎用グリップヒーター HG120M」をチョイス。電圧計機能はもちろん、電圧の上下によって通電量を自動調整する“レギュレート機能”や、エンジン始動時にだけ加熱設定を高くしておける“スタートアシスト機能”などが備わったモデルだ。
初心者にとって、グリップヒーター取り付けのハードルは2つあるだろう。
- そもそも電源をどこからどう引っ張ればいいのか?
- 元のグリップをうまく取り外せるのか?
ハードル1:グリップヒーター取り付けの前に、電源をどうするか問題
電源はヒューズボックスから取るのが無難
電源の取り方についてはいろいろなやり方があると思うが、筆者はわかりやすく“ヒューズホックスから電源を取る”ことに。結果、ヒューズボックスからハンドルまで配線を延ばす必要が生じるが、それはそれで良しとした。
とりあえずこれだけは用意しておきたい工具類
- プラスドライバー:家庭の工具箱に入っているレベルでOK
- ラチェットレンチ:安物でもいいからソケットレンチセットを持っとくべし
- 電工ペンチ:配線コードをつなぐギボシ端子を加工するため
- ラジオペンチ:ギボシ端子加工のサブとして
- 検電テスター:どの配線に電気が通っているかをチェック
今回、電源取り回しに調達したパーツ類
- ヒューズ電源:電流(A)とヒューズ形状(平型/ミニ平型/低背)の違いあり
- 配線コード:ヒューズ電源からグリップヒーターへの配線。
- ギボシ端子:配線コードをオス/メスで繋ぐ金具。塩ビカバーとセットで。
- クワ型端子:マイナス配線取り付け用
- 結束バンド:配線コードの取り回し固定用
(念のため)電気取り扱い上の基礎知識
- 電力(W)=電圧(V)×電流(A)
- 配線を繋ぐときはプラス極から、外すときはマイナス極から
さて、電源取り回しの手順
- ヒューズボックス内、ヒューズ電源を差し込むスロットを決める
- 対象のヒューズを取り外し、ヒューズ電源を差し込む
- ヒューズ電源に配線コードを繋ぐ
- 配線コードをハンドル側に取り回す
- 配線コードとグリップヒーター側の配線を繋ぐ
手順1:ヒューズボックス内、ヒューズ電源を差し込むスロットを決める
手順2:対象のヒューズを取り外し、ヒューズ電源を差し込む
手順3:ヒューズ電源と配線コードを繋ぐ
手順4:配線コードをハンドル側に取り回す
手順5:配線コードとグリップヒーター側の配線を繋ぐ
ハードル2:続いてグリップの付け替え。簡単に抜けるのか??
結果:恐れるに足らず
電源取り回しの課題をクリアして、お次はグリップの付け替え作業。ざっと見たかぎりでは、黄色い接着剤が一部はみ出ているなど、びったり張り付いて簡単には剥がれないんじゃないかと思っていたのだが…。
結果から言うと、あっさり抜くことができてしまった。
だがその後、ハンドルバー全面に塗りたくられた接着剤をきれいに取り除くことに意外にも時間がかかってしまったのは予想外だった(上手い方法がきっとあるんだろうが、今回は地道にこそげ取った)。
バーをキレイなカラダにしてあげた後、新グリップをぐいと差し込む。細かい調整を施して、全工程終了と相成った。
ここで使った工具類
- マイナスドライバー:家庭の工具箱に入っているレベルでOK
- パーツクリーナー:スロットル側が樹脂製なので、プラスチックセーフタイプを使用
- カッターナイフ:こびりついた接着剤を地道にこそげ取る
作業手順(と言ってもごくあっさり)
全工程終了:これで冬ツーリングも怖くない!
すべての作業を終えて、試走タイムへ。走り出し直後にレベル5に設定しておくと、みるみる間に発熱。しかも巻き付け型とは異なりグリップ全体が温まることもあって、手元全体を包み込むような“ぬくぬく感”に浸る。
始める前はどうなることかと不安もあったが、終わってしまえばそれほど大変な作業でもなく、またその後に得られる満足度の高さと合わせると、グリップヒーター換装DIYは、バイクいじり初心者が取り組む課題としてうってつけだと言えるだろう。
手元の寒さをどうにかしたいビギナー諸氏、どうぞお試しあれ!
後日談:じつは冬以外でもけっこう使うことアリ
グリップヒーター取り付けから1年が経過。スイッチを入れるのは真冬だけだと思っていたのだが、意外にもオールシーズン使えることがわかった。
春秋シーズンでもロングツーリング中に手先が冷えてくることは普通にあるし、夏でも雨に降られてグローブがびしょびしょ、なんて時に重宝した。
日本の気候を考えると、新車にはひととおり標準装備されてもおかしくないような気がするのだが…。
今回使用したパーツ等、まとめてポチるならこちら↓
※本記事は2022年12月6日公開記事を再編集したものです。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
唱えてますか?「ネンオシャチエブクトウバシメ」 突然ですが、愛車の点検していますか? 「車検パスしてるから問題なし」「普通にエンジンかかって走っているから大丈夫」・・・と思っている、そんな貴方にこそぜ[…]
C型フックと貫通シャフトを標準装備するガレージREVOは、サーキットでも便利 サーキットのスポーツ走行は、それぞれのサーキットや走行会などのルールや走るクラスにもよりますが、バックミラーを外してヘッド[…]
ビスを緩めるドライバー、電動ツールやショックドライバーも欲しい フロートチャンバーやトップカバーなど、キャブレターボディ外部に取り付けられた部品の多くはプラスまたはマイナスのビスで固定されており、ビス[…]
どうも! バイク好きの映画監督、ナカモトユウです。賃貸ガレージユーザーの僕は、自宅でバイクのカスタムや整備をすることが多いのですが、ここ最近願望がありまして…。それは…エアコンを設置したい!!! 9月[…]
エアクリーナーエレメントがエンジンをぶっ壊す可能性 これはつい先日、筆者が実際に体験したノンフィクションです。 これはスズキRG400ガンマ。1985年製、すっかりレトロになってしまった2ストロークマ[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
みなさんこんにちは、靴磨きしながら愛車のヤマハボルトで日本一周中のいとです! まだ暑さが残る日も続いていますが、涼しい日も多くなり、ツーリングシーズン到来となりました。この時期のおすすめは、なんといっ[…]
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
日本で唯一の砂浜公道である、千里浜なぎさドライブウェイ。約8kmにわたる砂浜がまるで天然の道路のように広がり、車やバイクで波打ち際を駆け抜ける、珍しい爽快な体験ができるスポットです。ライダーにとっても[…]
1分でわかる記事ダイジェスト アクセル開けてもエンジンが回らない恐怖体験 ツーリング先で遭遇したら、絶望してしまうトラブル…ガス欠。走っていてパワーがなくなったと思ったら、アクセルを開けても回転数が上[…]
1分でわかる記事ダイジェスト 愛車のNinja ZX-25Rにつけて効果を実感できたパーツを紹介。いずれもパフォーマンスアップするものばかりだ。 コスパ◎乗り味が劇的に変化するYSSサスペンション! […]
人気記事ランキング(全体)
タイや欧州、北米で先行発表済みのW230とメグロS1 カワサキモータースジャパンは、新型モデル「W230」と「メグロS1」をタイ、欧州、北米に続き日本でも2024年11月下旬に発売すると発表。これと併[…]
先代譲りの緻密さは最新電脳で究極化?! 旧CB400はハイパーVTECやABSこそあったものの、従来型(NC42)の登場は2007年だけに、近年の最新電脳デバイスは皆無だった。しかし新型CB400は電[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
エンジンもシャーシも一気に時代が進む 第1回の記事では、新型CB400がトータルバランス路線を取り、77psを発揮するカワサキZX-4Rのような高性能路線には踏み込まない…という情報に対し、プロは「バ[…]
水冷GVシリーズのGV125S/GV300Sに加え、250モデル×3機種を追加 ヒョースンモータージャパンは、新型水冷250cc・V型2気筒エンジンを搭載したクルーザーモデル「GV250」シリーズ3機[…]
最新の投稿記事(全体)
“初心に帰る”ゼッケン27番でRTLエレクトリックをデビューウィンに導く 10月13日に開催された全日本トライアル選手権の第6戦 和歌山・湯浅大会で、フジガスこと藤波貴久さんが電動トライアルバイク「R[…]
株式投資の本当って何? 株式投資とは、簡単に言ってしまえば「株を売り買いしてお金をふやすこと」です。この売り買いには2つのパターンがあって、短期(1日とか1週間とか)で売買する方法と、企業の成長に寄り[…]
江戸回廊とは、千葉県流山本町にある行灯が灯る町並みのこと 利根川と江戸川を結ぶ、全長約8.5kmの利根運河は人工の河川で、オランダの技術者ムルデルの力を借りて、明治23年(1890年)に開通しました。[…]
みなさんこんにちは、靴磨きしながら愛車のヤマハボルトで日本一周中のいとです! まだ暑さが残る日も続いていますが、涼しい日も多くなり、ツーリングシーズン到来となりました。この時期のおすすめは、なんといっ[…]
各国の手本となるマザー工場・磐田ファクトリー 2024年10月現在、ヤマハ発動機は世界各国に2輪の生産拠点を有しており、その多くが需要伸長の著しい東南アジアに集中している。2023年、ヤマハが全世界で[…]
- 1
- 2