タンデムツーリング前におさらい! 実はたくさんあった2人乗りの条件

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
一人でふらりと出かけて自由気ままにワインディングや食を楽しむソロツーリングもいいですが、家族やパートナーと出かけるタンデムツーリングもまた乙なもの。慣れ親しんだ道端の風景や行きつけのお店でも、誰かと一緒というだけでまた違った楽しみを見いだせますし、印象的な思い出ともなります。
でもちょっと待って。実はバイクの2人乗りにはいろいろな条件があるんです。知らず知らずのうちに違反してしまわないよう、お出かけ前に決まり事をおさらいしておきましょう。
道路運送車両による決まり事
まず乗車定員が2名となっていることは当然ですが、タンデムシートが設置されているからといってどんなバイクでも2人乗りできるわけではありません。道路運送車両の保安基準 第20条(乗車装置)でいくつかの条件が定められています。「乗車人員が動揺、衝撃等により転落又は転倒することなく安全な乗車を確保できるものとして、構造に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」ために握り手/足かけもしくはタンデムベルト/タンデムグリップ/タンデムステップが設置されていることが必須です。
またライダーの側にも道路交通法第七十一条の四の5によって定められた制限があります。免許取得後すぐに2人乗りができるわけではなく、免許が交付されてから1年以上が経過してから初めてできるようになります。
ちなみに高速道路の2人乗りについては、さらに厳しく定められており、免許取得後3年以上が経過していない、または20歳未満の運転手は高速道路で2人乗りをしてはいけないとなっています。
同乗者にも条件あり!
同乗者にも道路交通法で定められた条件があります。安全性の面から考えれば当たり前ですが、同乗者も必ずヘルメットを着用しなければなりません。きちんと頭のサイズに合ったものを用意するようにしましょう。いざというとき、頭をしっかりと守ってくれます。
二輪免許を取得してすぐに高速道路で2人乗りできるわけではない。
また年齢制限こそ定められていないものの、ステップに足が届いて、シートに正しく着座できていなければバイクに同乗してはいけません。もちろん、小さな子どもをおぶったり、前に乗せて運転することも禁止されています。
ここまで紹介した条件をいずれかでも満たしていない場合は、法令違反にあたってしまうので注意しましょう。
2人乗りで違反をした場合はどうなる?
もしバイクを2人乗りで違反してしまった場合は、罰金/違反点数などがつき、道路交通法で処罰されます。
平成17年4月1日に道路交通法が一部改正されたことで、バイクの2人乗りの罰則は大きく変更され、下記のように厳罰化されています。
- 変更前は罰金5万円以下だったが、10万円以下に改正
 - 反則金も、変更前は6000円だったものの1万2000円と倍増
 - 違反点数も以前までは1点だったが、2点に変更
 
同乗者にもヘルメットの着用義務があるのを忘れてはいけない。
例えば、定員1名のバイクで2人乗りしてしまった場合は反則点数2点に加え、1万2000円の反則金が課せられます。
また改正に伴って、下記のような警察官の取り締まりが実施されるようになりました。
- 違反している2人乗りを発見した場合、バイクを停止させるもしくは運転者に対して免許証の提示を求める
 - 現状では違反をしていないが、今後禁止違反をしてしまう可能性があると判断した場合も、危険防止のために必要な措置を取ることができる
 
他にも停止命令/免許証の提示に従わなかった場合には、二人乗り禁止違反よりもさらに大きな罰則が与えられます。
たとえば停止命令を無視した場合では、3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金が課されるほか、免許証の提示に従わなかった場合は、5万円以下の罰金が課されると定められています。
バイクを2人乗りする際に注意したいこと
高速道路では長時間に渡り走行し続けるため、想定以上に疲れる傾向にあるなど一般道での走行とは違いがあるので、2人乗りともなれば1人でいるときよりも注意が必要です。
大型自動二輪車/普通自動二輪車の最高速度は、速度指定のある区間でない限り、普通自動車と同じ100 km/hと定められています。これはセンターラインのない一般道の最高速度である50km/hの約2倍。制動距離は速度の2乗に比例するため、50km/hで走行した場合の制動距離が約20mであることを踏まえると、100km/hで走行した場合は約80mにもなります。一般的な電車1両の長さが約20mであることを踏まえると、およそ4両分にあたるので、かなり長い距離であることがわかるはずです。
1人で乗っている場合と2人乗りしている場合とでは制動距離が変わる。
この数値は乾燥した路面を一人で乗った時に計測したデータです。路面が雨で濡れていると制動距離はさらに増加します。特に2人乗りの場合は、重量が1人分増えるためすぐに停止しづらく、一人で乗っているときと同じ感覚で走行すると非常に危険です。
そのため、いつも以上に車間距離を適切に保持しながら走行したり、落ち着いてブレーキをかける必要があります。
また高速道路では、トンネルの出入り口/橋の上などを通過する場合は、強風に煽られてバランスを崩してしまうことも少なくありません。
ちなみに強風が発生しやすい場所には、風の強さや方向がわかる吹き流しが設置されており、水平で風速が10m以上だと動く仕組みが作られています。横風で煽られそうな場所を走行する場合は、速度を落として同乗者に後ろに引っ張られないような運転を心がけるとよいでしょう。
同乗者と楽しい時間を共有できるタンデムツーリング。せっかくの楽しい機会を、交通違反/危険走行などでムダにしないためにも、二人乗りの条件をきちんと満たしているのか十分に確認してから出かけましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(Peacock Blue K.K.)
複数人でバイクのツーリングに出かける「マスツーリング」は、初心者から上級者まで、多くのライダーに人気が高いツーリングのひとつです。経験豊富なライダーが同行してくれれば安心感を得られますし、彼らからバイ[…]
冬場であっても、たまにはツーリングに出かけたい! というよくばりさんなライダーもいるはず。 ただし冬だからと言って、「とりあえず着込め!」だけじゃ不十分です。寒い冬のツーリングを快適にするためには、ど[…]
秋は1日を通して過ごしやすい日が多く、紅葉などの自然美を楽しめるため絶好のツーリングシーズンです。 季節を楽しみながら旬の食べ物を求めてツーリングするライダーは多く、たとえば関東近郊では下記のスポット[…]
高速道路の中央分離帯に植物が植えられているワケ SAやPAなど、高速道路の至るところに存在する大小さまざまな緑地。特に走行しているとしばしば目に入ってくる中央分離帯の緑地は、いつ見てもきれいに整備され[…]
夏場のライディングは暑さ対策ばかりに目が行きがちですが、男女関係なく日焼け対策も同時に講じておくと安心です。 日焼けと聞くとシミ/シワの原因になるもの、と捉えている人も多いかもしれませんが、そのほかに[…]
最新の関連記事(ビギナー/初心者)
憧れはあるけれど… 先日、周りのバイク好きの仲間から「旧車って今凄い高くなってるよね~」という話を聞きました。少し調べてみると、絶版車が増えてきている流れで、旧車の需要が高まっている様子。 …と偉そう[…]
バイクバッテリー上がりの原因とは? エンジン始動時のセルモーター駆動やヘッドライトの常時点灯、ABS制御、デジタルメーターなど、バイクは高性能化するにつれてバッテリーの負担がどんどん増加していきます。[…]
ハンドルまわりだけでも用語はたくさん 「いつかは旧車に乗り、自分専用のカスタムをしたい」と、憧れを抱いている筆者。その夢を叶えるためには、ひとつの大きなハードルがあったりする。そもそも、各部の名称や役[…]
芦ノ湖スカイラインとは? バイク乗りに人気の理由 富士山の麓に点在する富士五湖のひとつ、芦ノ湖は箱根の人気観光地ですが、湖の西側の尾根に沿って通じているのが芦ノ湖スカイラインです。 全長約10.7km[…]
ホンダはEクラッチとDCTの二面展開作戦だ 自動クラッチブームの火付け役として、まず一番目に挙げられるのが今のところホンダCB/CBR650Rとレブル250に採用されている”Eクラッチ”。機構としては[…]
人気記事ランキング(全体)
マニア好みのボルドールカラーが映える! アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムだが、まずはカラーリングがインパクト大! CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、[…]
シグナスシリーズ、20年の歴史を背負うニューフェイス 以前は空冷エンジン搭載のコンパクトな原付二種スポーツスクーターとして人気を博した「シグナスX」だが、水冷の新世代「シグナス グリファス」に交代した[…]
気鋭のクルーザー専業ブランドによるカスタムクルーザー 以前に試乗記事などをお届けしたBENDA(ベンダ)がいよいよ本格上陸する。日本での輸入販売を手掛けるウイングフットより取り扱い開始が発表されたのだ[…]
軽量で扱いやすい定番ジェット TE-1はスポーティな印象を残しつつ、重量は抑えめで日常使いに適したジェット型ヘルメットです。対応は全排気量対応で、あごひもは操作しやすいラチェット式バックルを採用。Am[…]
原付免許で乗れる『新しい区分の原付バイク』にHondaが4モデルを投入! 新たな排ガス規制の適用に伴い2025年10月末をもってHondaの50cc車両は生産を終了しますが、2025年4月1日に行われ[…]
最新の投稿記事(全体)
スペンサーの世界GPでの大活躍がAMAレースの注目度を高めた 旧くからのバイクファンなら、だれもが“ファスト・フレディ”の愛称を知っているだろう。1983年に世界GP500でチャンピオンに輝き「彗星の[…]
YZF-R9、ついに国内正式発表! ヤマハは、クロスプレーン3気筒(CP3)エンジンを搭載した新型スーパースポーツ「YZF-R9」の国内正式導入を発表し、2025年10月30日に発売。ファンが待ち望ん[…]
レザーを強みとする2つのブランドが生み出したブーツ レザースニーカーを得意とする「SPINGLE」と、ニューヨーク生まれのアパレルブランド「Schott」。両ブランドはともにレザーアイテムをアイコンと[…]
CB1000Fをレジェンド、フレディ・スペンサーが試乗 Hondaホームカミング熊本にて、レジェンドライダーのフレディ・スペンサーがCB1000Fをサーキットでガチ走行。彼は「ビッグバイクでありながら[…]
憧れはあるけれど… 先日、周りのバイク好きの仲間から「旧車って今凄い高くなってるよね~」という話を聞きました。少し調べてみると、絶版車が増えてきている流れで、旧車の需要が高まっている様子。 …と偉そう[…]
- 1
 - 2
 























  
  
  











