原付自分でつくってみた! 自転車に取り付ける「モペット用エンジン」購入録〈自作モペット製作記 #1〉

本記事では、バイクメンテナンス系YouTuberのDIY道楽テツ氏が思わず衝動買いした「モペット用エンジン組み立てキット(3万8980円)」をレポート。原動機付き自転車の自作=DIYに向けて連載を開始する。
●文:[クリエイターチャンネル]DIY道楽テツ
【YouTubeクリエイター:DIY道楽テツ】バイク雑誌の編集に携わったのち、20年以上の溶接の経験を活かしてDIYに勤しむYouTubeクリエイター。「バイクを元気にしたい!」というコンセプトで定期的に動画を配信している。最近では徒歩旅に目覚めたという。’76年生まれの2児の父。[URL]DIY道楽(メインチャンネル) / のまてつ父ちゃんの日常(サブチャンネル)
「原付バイク」ってDIYで作れちゃうのって…知ってましたか?
突然ですが、ネット通販のAmazonでエンジンを買いました。エンジンといってもバイク用ではありません。実はコレ…自転車に取り付ける”モペット”用のエンジンなのです!
“モペット”とは、自転車としても、またペダルを漕がずにオートバイとしても走れるという乗りもの。自転車にエンジンを取り付けて動力とする古式ゆかしいジャンルのバイクですが、実は21世紀の現代でもモペット用のエンジンは販売されています。
試しにネット通販のAmazonで「モペット用 エンジン 組立てキット」で検索してみると…出てくる、出てくる! 下は30ccから上は80ccまで。2サイクルもあれば4サイクルも出てきました。
つまり、いつも乗っているママチャリに、このモペット用エンジンを載せて、ガソリンタンク付けて、マフラーやらキャブレターやらチェーンを接続すれば、バイクとして走れるということ?? 電動アシスト自転車ではない。れっきとしたオートバイ。本物の「原動機付自転車」を自分で作れるなんて、ワクワク以外の何物でもないでしょ!! 後先考えず、とりあずポチってしまいました。
自分のママチャリがモペットにできちゃう! 想像しただけでニヤニヤが止まりません!
“モペット”の見た目はほとんど自転車。しかし日本の法律ではオートバイとして扱われるので、公道で走るためには保安部品の装備とナンバー登録、そして保険の加入が義務づけられています。エンジンの動力を使わないペダル走行時にも車両として扱われるのでご注意を!
「原動機付き自転車」は補助エンジンを取り付けた自転車から始まった
買ってからナンですが、ここでハタと考えてしまいました。そもそも、ママチャリにエンジンを積んだところで、それをクローズドなサーキットならともかく、ナンバー登録して一般公道を走っちゃっていいのでしょうか? 自作バイクなんて法律に触れないのでしょうか?? そこで、オートバイの歴史を紐解いてみます。
皆様もこれまでに一度は「原動機付き自転車」という言葉に疑問を持ったことはあるんじゃないでしょうか?? これはつまり「原動機付き自転車」とは、そもそも”原動機”を後”付け”した”自転車”ということ。
ホンダの創業者である本田宗一郎氏も、戦後すぐは不要になった軍用無線機の発電用エンジンを元に自転車用の補助エンジンを開発/販売を行い、ユーザーは自身の自転車に取り付けて走っていたそうです。
つまり、元々原付バイクというのは原動機を買ってきて、自転車に取り付けるのが本来の姿なわけです。…なぁんだ、スクーターやスーパーカブ買うよりも、こうやってまずはエンジン買うのがむしろ王道だったのですね!?(←本当か??)
本田宗一郎が生み出した自転車用取り付けエンジン「カブF型」。後輪側面にマウントして動力を与える「原動機」でした。本田宗一郎ものづくり伝承館にて展示されています。
大きな荷物は大陸由来。早速開封してみましょう。
というわけで! 長ったらしい前置きはこれくらいにして、さっそく開封の儀式を執り行いましょう~! いそいそと封を切ると…まずは、やたらに印刷がきれいなマニュアルが出てきました! …ただし、こちらはフルイングリッシュ。英語まみれなのでワタシにはチンプンカンプン。だけどもう1冊、日本語マニュアルが入っているのを発見しました。
しかし残念! 日本語マニュアルのほうは写真が白黒な上に、ファックスで送られてきた写真をまたファックスで送り返したような…色が潰れた写真なので、判別が困難な代物でした。う~ん、これは組み立ての時に嫌な予感しかしませんね!
ガソリンタンク、チェーンカバー、何に使うかわからないチューブやらチェーンテンショナー? のような物とか。次から次へと部品が出てきます。気分は、プラモデルですね~。ちなみに、入っていたチェーンは415サイズ。若干(というかかなり)精度に不安な感じがするので、これは買い替えたほうが無難かもしれません…。
内容物は下記の通り。ついにエンジンも出てきました。
謎すぎるエンジン。だけど、ロマンしか感じない!?
ぱっと見ただけで「あ、エンジンだ」ってわかる形状なのですが、よくよく見ると色々と疑問点だらけ。例えば、すべてのねじがマイナスとかね(←ナゼ?)
そんでもって、気になるエンジンのスペックは以下の通りです。中でも注目はそのパワー。なんと1.6馬力! …いってんろくばりき!! 旧モンキーの半分以下。スズキのチョイノリでも2馬力あったのから考えると…こりゃあすごいローパワー。どっちかというと模型用エンジンレベル。なんかもう、ロマンしか感じません。
エンジンスペック
- 形式:2サイクルエンジン
- ボアストローク:40mm×38mm
- 最高出力:1.6馬力/5000回転
ネジはなぜかすべてマイナス。大陸のほうではマイナスがメインなのでしょうか? これだけでノスタルジーを感じます。しかも衝撃の1.6馬力。
そして最後に、エンジンのクランクケースの形状を見てみると、前後にパイプにクランプできそうなステーが二箇所ついてました。
これはつまり、マウンテンバイクやクロスバイクのような三角フレームに取り付けるための形状なようです。海外の取り付け例を見てみると、ビーチクルーザーに載せてる方もいらっしゃるようで、うまくクランプとパイプの太さが合えば、ほぼボルトオンで取り付けられるようですね。
自転車のフレーム形状によってはボルトオン? らしいです
道は険しいけどもワクワクが止まらない。実走までレポートしたいと思うのでよろしくお願いします!
今回買ってみた「モペット用エンジン組立てキット」を、私が今現在乗っているママチャリに搭載してみます。フレーム形状も合いませんし、そもそもうまくチェーンやマフラーを他の部品と干渉せずに取り付けられるのか? まだ分からないことだらけですが、ひとつひとつ楽しみながら改造をしていきたいと思います。
実際に走るところまでの道のりを皆様に共有していきたいと思いますので、長い目で今後もよろしくお願いします。今回もご視聴ありがとうございました~!
動画解説はこちら↓
(↓)YouTube動画のほうでは映像付きで解説しているのでよかったら参考にしてください♪
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]自作モペット製作記)
自作モペット計画の最終回!! これまでのあらすじ↓↓↓ バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買いしてしまったの[…]
付属品が付けば一気に「ママチャリ」から「原付バイク」に大変身! バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買いしてし[…]
いよいよエンジンと後輪をつなぐチェーンを取り付け。しかし…? 今回の作業は、はっきり言って地味です。でもこれがなくては絶対走ることができないアイテムを取り上げます。それは、エンジンの動力を後輪に伝える[…]
前回まで→最難関のステップ「位置決め」 微調整を叶えてくれる魔法のグッズ登場 バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく、中国製の「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジ[…]
いきなりですが問題発覚です。そもそもマシンチョイスが失敗だった? 原付バイクを自分で作る! という、ある種究極的なDIYにトライするべく「自転車に取り付けて原付として登録できるエンジン」を半ば衝動買い[…]
最新の関連記事(DIY道楽テツ)
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
ヤフオクで入手したバイクのフレーム。ネジ穴に折れたボルトが詰まってた!? ヤフーオークションでとあるバイクのフレームを買ったところから話が始まります。 フレーム曲がりや大きな傷もなく、塗装面も小傷があ[…]
エンジンオイルにとって過酷な時期 オイル交換のタイミングって、地味に悩みますよね。「走行距離3000km~5000kmで交換が目安」とか「半年ごとに交換を!」なんて、よく聞くけれど、あくまでそれは“目[…]
なぜ「モンキーレンチ」って呼ぶのでしょうか? そういえば、筆者が幼いころに一番最初の覚えた工具の名前でもあります。最初は「なんでモンキーっていうの?」って親に聞いたけども「昔から決まっていることなんだ[…]
エンジンがかかりにくい→完全停止へ 今回直したのはスズキのZZです。2000年代初頭に登場した50ccスクーターで、「通勤快速」として人気を博し、油圧ディスクブレーキやアルミホイールなど、当時としては[…]
人気記事ランキング(全体)
“次”が存在するのは確実! それが何かが問題だ 2018年に発売されたモンキー125以来、スーパーカブC125、CT125ハンターカブ、そしてダックス125と、立て続けにスマッシュヒットを飛ばしている[…]
カバーじゃない! 鉄製12Lタンクを搭載 おぉっ! モンキー125をベースにした「ゴリラ125」って多くのユーザーが欲しがってたヤツじゃん! タイの特派員より送られてきた画像には、まごうことなきゴリラ[…]
疲れない、頭痛知らずのフィッティング技術! SHOEIの「Personal Fitting System(以下P.F.S.)」は、十人十色で異なるライダーの頭部形状に合わせたフィッティングを行う同社の[…]
セニアカー技術をベースとしながら、誰もが楽しめる乗り物へ スズキがジャパンモビリティショー2023(JMS2023)で出品したのが、16歳の高校生からセニアカーに抵抗のある高齢者まで、誰でも簡単に楽に[…]
40年の歴史を誇るナナハン・スーパースポーツと、兄弟車のR600 1985年当時、ナナハンと呼ばれていた750ccクラスに油冷エンジン搭載のGSX-R750でレーサーレプリカの概念を持ち込んだのがスズ[…]
最新の投稿記事(全体)
レストアでのつまづきはそこかしこに 古いバイクをレストアしていると意外なところでつまずいたりするものですが、今回引っかかったのが8インチのチューブタイヤの「リムバンド」。 こちらのホイール、別にリムバ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
ガソリン添加剤の役割 ガソリン添加剤といってもその用途はさまざまですが、大まかなカテゴリーとしては 洗浄効果 性能向上 の2つに分けられます。 洗浄効果について 現在主流になっているPEA(ポリエーテ[…]
ME125W[1977]:オリジナルフレームの原点 レースが2ストローク全盛の時代に、ホンダCB125JXの空冷4ストローク単気筒SOHCエンジンを大胆にチューン。自然循環式のオリジナル水冷シリンダー[…]
実質年利2.69%のスペシャルクレジットキャンペーン カワサキモータースジャパンでは、2025年7月1日(火)よりカワサキモーターサイクル新車(国内全モデル、年式排気量不問)/オフロードコンペティショ[…]
- 1
- 2