新型ADV160はアドベンチャーに見えるけどスポーティーでした

●文:[クリエイターチャンネル] 相京雅行
発売が予定されているトランザルプやアフリカツイン、ヤマハのトレーサー、カワサキのヴェルシス、スズキのVストロームなどアドベンチャー系バイクのラインナップが拡充しています。
そんな中でも唯一ともいえるアドベンチャースクーターがADV160です。
PCX160をベースにアドベンチャーの要素が追加されたADV160の走行性能とは?使い勝手を含めてレビューしてみました。
ADV160の装備

灯火類には全てLEDが採用されています。ヘッドライト上側にはLEDポジションライトを追加。
更に70km/h以上の走行で急ブレーキをかけた際に、ハザードランプを高速点灯させて後続車に知らせるエマージェンシーストップシグナルも装備されています。

フロントフォークは正立、ブレーキは前後共にシングルディスクですが、フロントはガツンと効きそうな2ポットキャリパーが採用されています。

ステップは足を前に投げ出せるように前方に傾斜がついています。
身長が低い筆者でも膝を直角に曲げてステップに足を乗せていると窮屈に感じることがあるので、高身長の方は特に嬉しいはず。
長距離ツーリングに行く際にもポジションが楽なので疲れにくくなります。

スマートキーを持っていればエンジンの始動やシート、給油口の開閉が可能です。

ハンドルの左下にはグローブボックスがあり、奥にはUSB電源も装備されています。
グローブボックス内にUSB電源があるのは一般的な仕様なのですが、ハンドルにスマートフォンホルダーを設置する人も多いはず。
グローブボックスを開けっぱなしにしないと充電できないのは微妙な気がします。
ADV160の足つき

ADV160のシート高は780mm、車両重量は136kg。
筆者の身長は164cm、62Kgです。
車体に跨ってみると、体重でサスペンションがすっと沈み込みますが、シートが幅広で数値ほど足つきは良く感じません。
シート前方は絞り込まれているので、ストップ&ゴーが多い街中では前方に座ると走りやすそうです。
両足をつこうとするとつま先がしっかりと設置するぐらい、片足はべったりでした。
車体は136kgと軽量なので取り回しは苦労しません。
ADV160のシート下収納力

シート下の収納スペースの容量は29L。
筆者愛用中のSHOEIのZ-7のMサイズはギリギリ収めることできましたが、少しシートを押さないと閉めることができなかったので、傷が気になる人は入れない方が良いかもしれません。

少し大きめなヘルメットだと収納が難しいと思いますが、シート下前側にはヘルメットホルダーが左右にあるので外に掛けておくことは可能です。

普段の買い物がどれぐらい入るのか、試乗後にスーパーによって買い物をしてみました。

スーパーのLサイズ買い物袋3個分の買い物となりましたが、シート下に収納することができました。
ADV160のスクリーン効果

150㏄クラスにはPCX160やNMAX155、トリシティ155などライバル車輛が存在しますが、ADV160のアドバンテージの一つがスクリーンだと思います。
ライバル車両の標準スクリーンはデザイン上の都合で装着されている印象で、実際に効果は体感できません。
ADV160のスクリーンはローポジションでも胸から下ぐらいの走行風が大幅に緩和されている印象です。

スクリーンステー両側のノブを掴みながらスクリーンを引き上げればハイポジションにすることも可能です。
ハイポジションにすれば胸の上ぐらいまでの走行風が大幅に緩和されます。
季節や気温などに合わせて工具なしで高さを変えられるのは嬉しいポイントです。
ADVサスペンションのセッティングはハード

リザーバータンク付きのリアサスペンションはスプリングに3段階レートを採用しています。
乗車1Gで車体はしっかり沈み込みますが、走行中に関しては比較的動きが硬めの印象でした。

シートクッションが厚めですが座り心地としては硬めなこともあり、なおさらに段差を超えた時のサスペンションの動きが気になりました。
ただ高速道路走行では道路の継ぎ目などをクリアする際の突き上げ感がなく調度良い印象を受けました。
見た目はアドベンチャーだけど走りはスポーティー

見た目はスクーター+オフロードのクロスオーバー、アドベンチャーという表現がピッタリですが、実際に試乗してみるとスポーティーな印象です。
オフロードのバイクはサスペンションのストロークが長めに確保され柔らかいのが一般的ですが、ADV160のサスペンションは前述したように硬め。
更に前後のディスクブレーキはカチッとしており、特にフロントブレーキはかけ始めから強力な制動力を発揮します。

エンジンはPCXと共通の水冷OHC4バルブ156ccエンジンが採用されていますが、技術的には力強さと燃費を追求したeSP+が採用されています。
アクセルの開けはじめからパワフルに加速、制限速度が30~40km/hぐらいの道路だと多少窮屈に感じるほど。
制限速度いっぱいの60km/hまでパワフルに加速しますが、高速道路に乗っても100km/hまでよどみなく加速します。
ADV160の燃費

ADV160のフルデジタルメーターは情報量が豊富なので、燃費も表示されます。
今回の試乗での燃費は41.4km/Lでした。
ADV160のガソリンタンク容量は8.1Lなので、満タンなら300km以上走れることになります。
高級感とスポーティーな走りは所有感を満たします

試乗した感想や使い勝手を中心にレビューしましたが、パーツの質感が非常に高いのでオーナーの所有感を満たしてくれるはず。
質感の高い150ccクラスが欲しいならADV160がおすすめです。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
PCX150のリリースがきっかけで人気に火がついた150㏄クラススクーターは、現在ホンダから2車種、ヤマハから3車種が発売され大人気。 今回試乗するNMAX155はTMAX560を筆頭とする「MAXシ[…]
昭和生まれの筆者にとってヤマハのスクーターといえばジョグでした。 海外では原付二種のジョグは存在しましたが、ついに国内でもジョグ125がリリースされました。 スペックを見る限り原付二種クラスで最軽量コ[…]
先日アドレス125に試乗しました。 今までのアドレスシリーズを知っている方だとデザインは賛否両論あるかと思いますが、スペックでは測れないどっしりとした落ち着いた走りが魅力でした。 そんなアドレス125[…]
日本でも人気の原付二種スクーターですが、排気ガス規制対応の問題などで各メーカーラインナップが一時的に減少していました。 とりわけスズキに関しては原付二種スクーターが姿を消す事態に(マニュアルのGSX-[…]
ヤマハがフロント2輪のスクーターを発売するという発表をした際、私は「絶対売れない」と思っていました。 一般的な125㏄スクーターと比べたら価格が高いし、車両重量も重いし、通勤で使うには大きいように感じ[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
Honda E-Clutchに興味津々 バイク漫画『トップウGP』で知られる漫画家の藤島康介さんは、さまざまなバイクを乗り継いできたライダーです。 スポーツバイクを中心にいろいろなバイクを所有していま[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
ホンダCB400フォア:工芸品がごとき秀逸デザイン ヨンフォアことCB400フォアのベースとなったのは、1972年に発売されたCB350フォア。 当時、クラスで唯一の4気筒で、4本出しマフラーを採用す[…]
4ストローク2気筒の『オフ・ザ・ロード』 国産4ストローク2気筒型オフロード車を語る上で外せないバイクが1970年登場のホンダSL350です。SL350は1970年代のホンダ車の中でもレアな存在ですが[…]
完熟した性能に刺激をプラス 発売は、2025年3月6日のこと。2017年の登場以来、2020年モデルの3psのパワーアップ、スリッパークラッチの標準装備や、2023年モデルのさらなる1ps向上、ホンダ[…]
最新の関連記事(新型スクーター)
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
利便性そのままにさらにスタイリッシュに 2025年モデルが発売されたのは、2025年2月6日のこと。おもな変更点は外観デザインで、前まわりでは新形状のヘッドライトの採用やメーターの装飾変更、シルバーの[…]
イエローボディにブラックのロゴ&エンブレム! ヤマハは、水冷124ccのブルーコアエンジンを搭載した原付二種スクーター「CYGNUS GRYPHUS(シグナス グリファス)」にニューカラーのイエロー([…]
平日も週末も楽しめる大排気量エンジンをラージボディに搭載するスタンダードなベスパ GTSシリーズは、ベスパならではのスチール製モノコックボディを、大排気量にふさわしい車格としたラージボディが特徴だ。こ[…]
発進加速をサポートし、燃費も節約 レトロポップなスタイリングの原付二種スクーターが、市販予定車として大阪モーターサイクルショーに登場した。その名も「Fazzio(ファツィオ)」は、タイやインドネシアな[…]
人気記事ランキング(全体)
従来の理念をさらに深化させた「Emotional Black Solid」 今回注目したのは、新たなステップワゴン スパーダ専用に用意された、これまた新たなアクセサリー群です。その開発コンセプトは、従[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。 FXに遅れること約1年、1980年6月に発売され[…]
126~250ccスクーターは16歳から取得可能な“AT限定普通二輪免許”で運転できる 250ccクラス(軽二輪)のスクーターを運転できるのは「AT限定普通二輪免許」もしくは「普通二輪免許」以上だ。 […]
最短2日間で修了可能な“AT小型限定普通二輪免許”で運転できる バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付を除い[…]
レストア/整備/カスタム/販売など絶版車に関するすべての分野でサービスを提供 古いバイクを海外から輸入して販売する場合、車両によって程度の違いはあれ必ず整備が付随する。 元々のコンディション次第ではレ[…]
最新の投稿記事(全体)
B+COM専用キャリングケースをプレゼント! 株式会社サイン・ハウスは、オートバイ用インカム「B+COM SB6XR/ONE」を全国の2輪用品店で購入された方にかぎり、持ち運びに便利なサイン・ハウスの[…]
なぜ大型シートバッグが必要なのか? バイクには様々な種類のバッグを取り付けることができるが、大型シートバッグには、他のバッグにはない魅力がある。 高い積載能力 大型シートバッグは、その名の通り、非常に[…]
Honda E-Clutchに興味津々 バイク漫画『トップウGP』で知られる漫画家の藤島康介さんは、さまざまなバイクを乗り継いできたライダーです。 スポーツバイクを中心にいろいろなバイクを所有していま[…]
フレーム/スタンドの別体構造と自在キャスター装備で自由に移動できる 向山鉄工のオリジナル製品である「ガレージREVO」は、バイクスタンドに自在キャスターを取り付けることで、スタンドアップしたバイクを前[…]
36年の“時間”を感じる仕上がり カウルが紫外線で退色し、くすんだトーンだが、じつは緑青を用いたペイント。擦れて色が剥げ落ちた箇所も塗装だ。車体右側のエンジンケースカバーやサイドカバー、マフラーには転[…]
- 1
- 2