【ビギナーQ&A】“止まれ”のペイント文字に法的効力がないってホント? 実際の意味合いは?

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
“法定外表示”って知ってる?
道路を走行していると、“制限速度”や“車両進入禁止”など、さまざまな標識を目にします。バイクで安全に走行するうえで、標識は言うまでもなく重要な存在です。
標識のなかでもかなりの頻度で目にするのが、赤い逆三角形に白文字で「止まれ」と書かれた“一時停止”の標識です。一時停止は自動車教習所でも厳重に扱われている標識のひとつで、例えば、自動車教習所の卒業試験で一時停止を見落とすと、その時点で試験失格となります。
公道に設置されるすべての標識に重要な意味合いがありますが、一時停止は、特に見通しの悪い交差点や交通量の多い地点など、基本的に事故の発生率が高く見込まれる場所に設置されています。
一時停止を見落とすと、自動二輪では違反金6000円が科され、違反点2点が加点されてしまいます。
街中の至るところで目にする“一時停止”の標識は、見通しの悪い交差点や交通量の多い道路など、事故のリスクが高い場所に設置されています。そのため、確実に一時停止し、周囲の安全確認を行うことが求められます。
一方で、先に述べたような一時停止の標識がなく、代わりに道路の路面に白文字で「止まれ」の文字がペイントされていることもあります。同じ「止まれ」でも、標識と路面のペイントでは意味合いが大きく異なります。
「止まれ」のような路面のペイントは、正式には「路面標示」と呼ばれます。「止まれ」は路面標示のなかでも“法定外表示”というカテゴリーに分類され、基本的には法的効力を持っていません。
法定外標示について、警視庁では「法定の道路標識等による交通規制の効果を明確にし、運転者に対して道路の状況又は交通の特性に関する注意喚起を行うなど、交通の安全と円滑に資することを目的として整備されてきた」と説明しており、標識の内容を運転者によりアピールするためのものとしています。
そのため、法定外表示だけでは実質なんの効力もありませんが、基本的には標識とセットで設置されることになっているため、結果として、法定外表示を無視すると必然的に標識も無視したことに繋がり、道路交通法違反とみなされます。
道路に「止まれ」の文字が見えたときには、一時停止の標識がすぐそばにあるものだと思って、しっかりと一時停止しましょう。
“規制標示”と“指示標示”
なお、標示は“規制標示”と“指示標示”のふたつに分けて考えられます。このふたつは法定外標示とはまったく異なり、法的な効力を持つものです。
規制標示には、“転回禁止”/“最高速度”/“車両通行帯”など、日常的によく目にする標示が数多くラインナップされています。自動車の動きを規制し、安全で円滑な交通を実現する目的があります。
規制標識は、自動車のさまざまな動きを規制するためのもの。安全かつ円滑な交通を守るために重要な役割を担っています。
また指示標示には、“横断歩道”/“進行方向”/“中央線”などが挙げられます。こちらも日常的によく目にする標識で、自動車の流れを整理したり、誘導したりする目的があります。
多くの人にとって馴染みのある横断歩道。歩行者の通行場所を確保して一点に誘導することで、バイクやクルマといったほかの交通との事故の危険性を低減させるうえ、交通全体を円滑に促します。
規制標示と指示標示については、標識の有無にかかわらず標示自体が法的な効力を持っているので、標示の内容を確実に守る必要があります。法定外表示と混同することがないように注意しましょう。
標識にも大きく分けて4つの種類が!
実は標示だけでなく標識にもいくつかの種類があり、大きく分けると規制標識/案内標識/指示標識/警戒標識の4つの種類がラインナップされています。
規制標識には、先ほど述べた一時停止に加え、“一方通行”や“通行止め”など、自動車の動きを規制するための標識が分類されます。標識の形はさまざまですが、円形の標識に赤や青を基調とした記号や文字がデザインされているものが多いです。
案内標識は、目的地までの距離や方角を示す標識です。一般道路でも高速道路でも至るところに適宜設置されているため、バイクやクルマの運転者にとっては非常に馴染みの深い標識のひとつでしょう。
指示標識には、“中央線”や“横断歩道”などが挙げられ、走行する際に必要な指示を表しています。“優先道路”なども示しており、基本的に青地に白で記号や文字がデザインされています。
警戒標識は、黄色を基調とした標識なのが特徴的です。“踏切あり”/“信号機あり”/“すべりやすい”/“動物が飛び出す恐れあり”など、運転する際にあらかじめ注意しておくべき事項が表されています。
また、これら4つの標識のほかにも“補助標識”が存在しており、それぞれの標識に付帯させることで標識の意味合いや具体的な適応範囲をより分かりやすく示しています。
補助標識には、例えば“8-20”といった時間帯を示すものや“この先100m”などの区間を示すもの、“原付を除く”など、適応される車両の区分を示すものがラインナップされています。
各標識の下に白地に黒文字の小さな標識が付帯していることがあります。標識の内容や適応範囲などを補足するものとなっているので、補助標識も必ず確認するようにしましょう。
それぞれの示す意味を知っておくことで、安全かつ円滑なバイクライフを楽しむことができます。“ついうっかり”な違反をなくすためにも、守るべき標識や標示の特徴をしっかりと押さえておきましょう。
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