【ホンダGB350のルーツ】GB250クラブマンのツインキャブを燃調キットでメンテナンス

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ホンダGB250クラブマン|ツインキャブレター|キースター燃調キット

2021年に発売開始されたホンダGB350は、空冷単気筒エンジンを搭載したベーシックなロードスポーツモデルとして人気を集めています。そんなGBの歴史をさかのぼると、たどり着くのが1983年末に発売された「GB250クラブマン」です。バイクブーム全盛期において、伝統的なデザインと当時最新のメカニズムを組み合わせた250シングルは、その後マイナーチェンジを繰り返しながら1990年代後半まで発売され続けるロングセラーとなりました。旧車や絶版車人気の中でも注目度が高まる1980年代モデルが続々と掘り起こされて復活する中、鬼門となる純正キャブレターのメンテナンスアイテムとしての燃調キットもまた、多くの絶版車ユーザーに愛用されています。

●BRAND POST提供:KEYSTER(岸田精密工業)

バイクブーム時代に登場して10年以上販売されたGB250クラブマン

各メーカーから毎月のようにニューモデルが発売され、それらが軒並みヒットした1980年代のバイクブーム。なかでも1980年代中盤以降、レーサーレプリカブームが到来する前に発売されたものの中には、個性的なモデルが数多く存在します。

1983年12月に発売されたホンダGB250クラブマンもそんな1台です。同年に登場したCBX250RSの基本骨格を流用しながら、トラディショナルな外観をまとったクラブマンは、スポーツモデル一辺倒だった風潮に一石を投じました。

車検制度や保険料率の違いによって400ccクラスとの差が顕著だった当時の250ccクラスは、ビギナーや女性ライダーにとって親しみやすさがあり、その分メーカーとしては選択肢=機種数をできるだけ多くして間口を広げることが重要でした。ちなみにGB250クラブマン発売時のメーカー資料によれば、クラブマンの登場により当時のホンダ250ccクラスのスポーツバイクは11機種となったそうです。

バイクブームがピークを過ぎてバイクメーカーが機種の見直しを進めてからも、GB250はマイナーチェンジを繰り返しながら、結果的に1997年モデルまで販売が継続されました。これはトラディショナルなデザインと必要十分な動力性能を兼ね備えたバランスの良さが評価された結果と言えるでしょう。

バイクブームの中、スーパースポーツ路線を突き進んでいたホンダがテイストフルモデルとして発売したGB250クラブマン。当時はすでにヤマハSR400が存在していたが、250ccクラスでここまで作り込まれたモデルは他になかった。GB400TT/GB500TTTが登場したのは1985年のことなので、GBシリーズのルーツといえる。初期型は2キャブ2本出しマフラー→マイナーチェンジにより1キャブ1本出しマフラーとなり、1990年代後半まで新車販売された。写真は初期のE型だが、中古購入時にはL型のタンクやウインカーに変更されていた個体。

デュアルインテークキャブレターは初期モデル最大の特徴

10年以上にわたって販売されたホンダGB250クラブマンは、1987年のマイナーチェンジによってエンジンが大きく変化します。独特な放射状4バルブDOHCという基本構成に変わりはありませんが、キャブレターがピストンバルブのデュアルタイプから負圧式のシングルタイプに変更されたのです。

初期型(E型)のデュアルタイプキャブは、インテークポート/インテークマニホールドも独立した2連タイプで、低中速のレスポンスの良さと高速域でのハイパワーを両立できる利点がありました。その一方で、スロットルワイヤーとスロットルバルブが直結しているがゆえに、スロットル操作に気を遣わなくてはならない面もありました。

それに対してマイナーチェンジ後は、スロットル操作が多少荒くても穏やかに追従する負圧キャブ(CVキャブ)を1個装備することで、バイク経験の少ないビギナーにも扱いやすい特性になりました。

それに伴って大きく変わったのがシリンダーヘッドです。キャブレターが2個から1個になることでインテークマニホールドも1個になり、マニホールド取り付け部分の形状がまったく異なっています。そのため初期型(E型)の2キャブを1キャブに、または中期以降の1キャブを2キャブに変更するのは容易ではありません。

同一構造のボディを2連装したPH02型キャブレター。単気筒2連キャブではヤマハSRX250や400/600の例もあるが、それらはプライマリーがピストンバルブでセカンダリーが負圧キャブの組み合わせで、GB250クラブマンはどちらもピストンバルブなのが特徴。

スロットルドラムを回すと、プライマリー側スロットルバルブ(右)がある程度開いてもセカンダリー側は閉じたままなのが分かる。スロットル開度が小さくエンジン回転数が低いうちはプライマリー、一方で吸入流速を稼いで混合気の霧化を促進し、エンジン回転数が高まると吸入流量を増やして高回転域のパンチ感を出せる利点がある。

ロングセラーの仕様変更に合わせて3タイプの燃調キットを設定

同じ機種で年式によってまったく異なるキャブレターを装備するGB250クラブマン。旧車や絶版車を維持する際の鬼門であるキャブレターが年式や型式によって変更されているのは、ユーザーにとっては厄介です。

現在も1980年代の絶版モデルの人気は高く、長期間不動状態だった車両を発掘/整備して、再び路上復帰させるバイク好きも少なくありません。エンジンや車体に致命的なダメージを負っている場合は諦めざるをえませんが、そうでなければ劣化したガソリンがドロドロに詰まったキャブのオーバーホールによって息を吹き返す車両が想像以上に多いのです。

モデル途中でキャブレターがガラリと変わったGB250クラブマン向けに、キースターはピストンバルブのPH型キャブ用を1種類とCVキャブ用を2種類、計3種類の燃調キットを用意しています。

先述したとおり、デュアルタイプのPHキャブを装着した初期型が登場したのは、今から40年前の1983年です。スロットルバルブやボディ自体が摩耗/変形している場合は燃調キットでも対応できませんが、ジェットニードルとニードルジェットの摩耗やフロートニードルの摩耗は、燃調キットを活用することで改善できます。

またオイル漏れや異音がなくても、経年変化によってエンジンコンディションが変調したり、カスタムでマフラー交換している場合にも、燃調キットに含まれる純正とは異なる番手(口径)のパイロットジェットやメインジェットが役に立ちます。

フロートチャンバーガスケットや燃料ジョイントパイプOリングなど、経年変化でカチカチに硬化してシール性を失っている40年もののゴム部品が入っているのも、燃調キットの魅力です。ジェット類やガスケットなどを純正部品で入手するには、すべての部品番号をリストアップが必要で、そのためには部品番号を検索するためのパーツリストが不可欠です。

絶版車は車両自体がレアなだけでなく、サービスマニュアルやパーツリストも希少で簡単に手に入らないことも多く、オーバーホールが必要なことは分かっていても、部品番号が分からず手配に手間取ることも少なくありません。

そんな場合でも、燃調キットなら機種名や型式ごとに必要なインナーパーツをまとめてセットしているので、購入ミスや購入漏れの心配はありません。

今回作業を行うのはE型と呼ばれる初期ツインキャブモデルで、自社品番FH-5657Nが該当します。

GB250クラブマン初期型(E型)用燃調キット。通常の燃調キットは1気筒分(キャブレター1台分)が1セットだが、単気筒2連キャブの初期型GB用は、キャブレター2機分(1台分)のオーバーホール&セッティングパーツが入って4400円。

プライマリーキャブ(左)用には6個のメインジェット/3個のパイロットジェット/4本のジェットニードルがあるが、セカンダリーキャブ(右)はメインジェットもジェットニードルも1サイズのみ。パイロットジェットがそもそも付いていないのも、キャブとしてはかなり異質。

同形式ながら仕様が異なるプライマリー/セカンダリーの扱いに要注意


1983年に発売されたE型と呼ばれる初期モデルは、PH02と呼ばれるピストンバルブ(スロットルワイヤーで直接ピストンを開閉する)キャブレターを2個並べて装備しています。ボディ自体は同じですが、プライマリー/セカンダリーと呼ばれ、働きや内部の構造はかなり異なります。

作動上の特徴は、プライマリーとセカンダリーのスロットルバルブの動きがシンクロしていない点です。スロットル開け始めは吸入流速を稼ぐためプライマリーキャブだけを作動させて、エンジン回転数が上がってきたらセカンダリーキャブも開いて吸入流量を確保するという2段構えを狙ったセッティングが施されています。

また、セカンダリ側はプライマリー側で作られた混合気を追うようにバルブが開くため、低開度領域を担当するスロー系は不要との考え方から、エアースクリューやパイロットジェットが付いていないのも特徴です。

燃調キットのセット内容もこの特徴に即しており、複数サイズのメインジェット/パイロットジェット/ジェットニードルはプライマリー用だけに用意されており、セカンダリー用のメインジェットとジェットニードルは1サイズのみの設定です。

一方で、原則的に1セットで1キャブ用の設定となっている他機種用の燃調キットと異なり、フロートチャンバーガスケット/トップカバーガスケット/ニードルバルブ/ドレンスクリューは2個ずつ含まれます。これはプライマリーキャブ用とセカンダリーキャブ用を別々にして販売した際の混乱を避けるためです。

長い年月を経たキャブレターのメンテナンスで不可欠なのが、ボディ同士をつなぐフューエルジョイントパイプのOリング交換です。この部分のOリング交換ではプライマリーとセカンダリーを連結するアームを取り外しますが、ここで要注意ポイントがあります。

スロットルドラム部分には、アイドリング時のエンジン回転数を決めるスロットルストップスクリューと、プライマリーキャブに対してセカンダリーキャブ開き始めを決めるアジャスターがあり、後者は無用に調整しないことが重要です。

先述したとおり、GB250クラブマンのデュアルタイプキャブレターは、プライマリーがある程度開いた後にセカンダリーが開き始める2ステップ式です。セカンダリーが開くタイミングはメーカーが新車時に設定しており、メインジェットやジェットニードルのサイズは開き始める開度に合わせてセッティングが固定されています。そのため、純正の開閉タイミングが変わると流入空気量が変化するタイミングが変わり、エンジンのコンディションに影響を与えるリスクもあります。

2気筒用や4気筒用など、一般的な多連キャブではスロットルバルブの動きを合わせる同調調整がつきものですが、GB250クラブマンのデュアルキャブに限っては、スロットルバルブが開き始めるタイミングがずれていることが重要なのです。

こうした機種固有の注意点はあるものの、オーバーホールやセッティングによって絶版車のキャブレターのコンディションは確実に良くなります。燃調キットがあれば、個性的な1980年代の絶版車をこれからも大切に乗り続けていくことが可能です。

屋内で長期不動状態で保管されていたキャブレターは、フロートチャンバー内のガソリンがワニス状に変質しているが、湿度の変化が少ない場所だったのか、腐食していないのは幸いだった。

左側のプライマリーキャブにはバイスターターパイプやパイロットジェットがあるが、右側のセカンダリーキャブにはそれらの部品がない。さらにアイドリング時は全閉状態になっているため、エアースクリューも装備されていない。

パイロットスクリュー先端部分にも、ネットリとしたワニスが付着している。この状態から推測できるのは、ジェットだけでなくボディ内部の通路も相当詰まっているだろうということ。万全を期すなら、ガソリンで希釈して漬け込むタイプのキャブレタークリーナーを使った徹底洗浄を行いたい。

真っ黒に変色したメインジェットやジェットホルダーの横穴(ブリード穴)は、ガソリンや空気を計量するための重要な穴なので、むやみに突いて拡大してはいけない。キャブクリーナーに漬けて汚れを落とすが、腐食により穴径が拡大している際は交換が必要。ニードルジェットは、吸入空気の脈動によりジェットニードルで叩かれて、穴径が拡大して混合気が正しく計量できなくなる場合があるので、走行距離が多い場合は交換したい。

絶版車用キャブで必ず交換しておきたいのが、ボディ同士をつなぐジョイントパイプのOリング。画像はエアベントパイプだが、フロート室をつなぐフューエルジョイントのOリングが劣化すると、ガソリン漏れに直結するため要注意。ガソリンが付着している間は、膨潤によってシール性が確保されていたのが、長期不動の期間にカラカラに乾いて収縮して亀裂が入り、再度ガソリンを注入した際に漏れ始めるといったトラブルも多い。

上がフューエルジョイント、下がエアベントパイプでどちらのOリングも燃調キット内に含まれている。連結されたボディを分割する必要はあるが、キャブレターホーバーホール時にこの部分のOリングを交換しておくと絶大な安心感がある。

40年近くの年月を経ているが、走行距離が少ないため、スロットルバルブの摩耗は皆無。ジェットニードルの表面にはワニスが付着しているが、ニードルを取り外すにはスロットルシャフトを抜かなければならず、交換は容易ではない。

冷間始動時に使用するスタータープランジャーは、先端のゴムシールでガソリン通路を断続する。閉じた状態が基本なので、時間経過とともに変形グセがつき、シール性が低下すると、チョークレバーを戻した状態でもガソリンが流れてしまい、アイドリング領域で混合気が濃くなる不具合の原因となることもある。このプランジャーも燃調キットの中にある。

フロートバルブ(ニードル)が収まるバルブシートは着脱できない仕様(ボディ自体にシート加工が施されている)なので、金属磨きケミカルをつけた綿棒で丁寧に磨く。シートの当たり面に傷を付けるとオーバーフローの原因になるので、作業は慎重に。

エタノールを含有するバイオガソリンでも影響を受けにくいアンチアルコールニードル(AAニードル)は、キースター独自の技術。油面の要となるニードルとバルブシートは重要なパーツである。

ニードルを交換すると、フロートの調整板との当たり方が変化してフロートの高さが変わる場合があるので、フロートレベルゲージやノギスで測定を行い、必要であれば調整を行う。精密マイナスドライバーで調整板の曲げ具合を変えるが、支点となるフロートピン間近のわずかな曲げ具合が、フロートレベルでは大きな変化になる。

キャブボディを洗浄した際に、フューエルジョイントやベントパイプが入る穴の中の汚れもしっかり落としておく。内部が汚れていると、挿入時にOリングに傷がつき、漏れの原因になることがある。また、Oリングがねじれないようシリコングリスを薄く塗布しておくと良い。

プライマリーとセカンダリーを連結する樹脂製ジョイントをはめる際は、ジョイント内部のストッパーの破損に注意する。またスロットルドラム側のレバーのストッパー部分にあるアジャストスクリューは、セカンダリーが開き始めるタイミングを決める重要な部分なので、むやみに触れないこと。

ボディの漬け込み洗浄と合わせて、リンク周りに付着したホコリや油汚れも落として、オーバーホール完了。中期(H型)以降の1キャブ仕様なら、TMRやCR等のスペシャルキャブへの交換も可能だが、初期型の2キャブは純正以外の選択肢が皆無なので、大切に使い続けたい。燃調キットがあれば、多くの純正キャブのコンディションが回復するはずだ。


※本記事はKEYSTER(岸田精密工業)が提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。