【スーパーカブのキャブレターオーバーホール】超ロングセラーモデルゆえに多彩なバリエーションあり。OHに最適な燃調キットにAA01モデル用登場!

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キースター|燃調キット|スーッパーカブAA01モデル用

1958年に発売されて以来、ホンダスーパーカブは単一機種として世界でもっとも多く製造された機種として、世界中で愛用されてきました。現行モデルのエンジンはフューエルインジェクション仕様ですが、市場ではまだまだキャブレターモデルが多数存在します。何度もモデルチェンジを繰り返す過程で、キャブレターの仕様も変遷を重ねており、オーバーホールやセッティングで燃調キットを使用する際には車両型式やキャブレター品番の照合が欠かせません。今回はスーパーカブに新たに加わったAA01モデル用をベースに、オーバーホールの手順を紹介します。

●BRAND POST提供:KEYSTER 岸田精密工業

排出ガス規制の変更によって登場したAA01型スーパーカブ

キースターでは初代C100用から先頃新発売したAA01用まで、9種類のスーパーカブ燃調キットを製品化しています。単一機種でこれほど製品種類が多いのは、それぞれの年代ごとに熱心なユーザーがいて燃調キットに対するニーズが高いためです。

モンキー/ゴリラ/ダックス/シャリィなど、スーパーカブと同じ横型エンジンを搭載する機種はカスタムベースとなり、キャブレターを社外品に交換するユーザーも珍しくありませんが、スーパーカブの場合は純正キャブをメンテナンスし、エンジン仕様を変更しても純正キャブをセッティングして対応するライダーが多いようです。

今回燃調キットを開発したAA01型スーパーカブは、新たな排出ガス規制施行に対応するため1999年に登場したモデルです。キャブレターに注目すると、搭載されたAA01E型エンジンに合わせて「PB3LA」と呼ばれるモデルに変更されています。

スーパーカブは、複数のオーナーがさまざまに手を加えながら乗り続けることも珍しくありません。キースターの燃調キットのジェット/ニードル/ガスケット類は、キャブレターの型番に応じて開発されており、車体の型式がAA01であったとしてもキャブレターがPB3LAでなければ使用できません。

間違いなく新車当時のキャブレターであれば問題ありませんが、純正仕様か否かが怪しい時は、必ずキャブレター本体の刻印でPB3LAであることを確認してください。

環境に配慮して、クランクケース内で発生したブローバイガスをエアークリーナーボックスに還元するデバイスが装着された、AA01型スーパーカブ。レッグシールドとエアークリーナーボックスのインテークパイプを外せば、キャブレター本体が簡単に着脱できるのがスーパーカブの特長。

キャブレター時代最終となるAA01型スーパーカブ用に新規開発された燃調キット。最終モデルといっても登場は1999年なので、絶版車としての貫禄は十分。

燃調キットはキャブレターの型式(号機)に応じて開発しており、スーパーカブ用といってもOHV時代を含めて9種類もある。ジェット/ニードル/ガスケット類などのインナーパーツを正しく活用するには、キャブ本体の刻印でPB3LAであることを確認する。

パイロットジェットは、スタンダードの#35を中心に#34/#38の3サイズ。メインジェットは、スタンダードの#75を中心に#70/#72/#78/#82/#86の6サイズ。ジェットニードルはスタンダードを中心に4サイズあり、この組み合わせによってセッティングを行う。

燃調キットには、セッティング要素だけでなく、ニードルジェット/パイロットスクリュー/フロートニードルバルブといったメンテナンスや、オーバーホールで重宝する部品も含まれている。

経年劣化やパーツクリーナーとの相性で膨潤/収縮することもある、ゴム製のガスケット類も揃っている。フロートチャンバーのビスをどれだけ締めても合わせ面からガソリンが滲む時は、ガスケットを交換するしかない。

キャブレターを取り外す際は燃料ホースの取り扱いに要注意

レッグシールドやエアーインテークパイプを取り外せばキャブレターに簡単に到達できるスーパーカブは、オーバーホールでもセッティングでもエンジンから取り外してキャブレター単体にした方が作業がスムーズに進行しますが、燃料ホースの取り扱いに注意が必要です。

スーパーカブのメンテナンスを何度も行っているユーザーはご存じでしょうが、キャブレター本体の燃料コックにつながったホースを引き抜くと、燃料タンクのガソリンがすべてホースから流れ出します。タンクとコックが直結状態だからです。

したがって、キャブレターを取り外す際にタンクにガソリンが入っているなら、先に灯油ポンプなどでなるべく多くのガソリンを抜いておくことが重要です。タンク底にはそれでもいくらかのガソリンが残りますが、満タンのガソリンが垂れ流しになることを考えれば、その量は限定的です。

また、燃料コックの2カ所のホース差し込み口とホースの位置関係を正しく把握しておくことも大切です。差し込み口の根元には「O(ONの略)」と「R(RESの略)」の浮き文字があります。一方、燃料タンクにつながっている2本のホースにもONとRESの区別があります。この組み合わせが正しければ、ONで走行中にガス欠状態になっても、RESに切り替えれば引き続き走行してガソリンスタンドに向かえますが、RES側ホースをコックのONにつなぐと、コックONの状態でタンク内のガソリンをすべて使ってしまいます。

ホースの位置関係でおよその見当は付きますが、不安であれば、コックから抜く前にマークを付けたりテープを巻いて書き込むなどの識別を行っておくと良いでしょう。

キャブレター本体の燃料コックに差し込まれた2本のホースは、シート下の燃料タンクに直接つながっている。コックにつながるホースの先端まで、常にガソリンが流れてきているので、不用意にホースを抜くと大騒動になる。

燃料タンクにガソリンが入っている場合は、タンクキャップ部分から灯油ポンプなどで吸い出しておくか、コックのR側のホースを抜いて適切な容器で受け取る。タンク容量は4リットル程度あるので、ガソリン残量と容器のサイズを考慮しなくてはならない。

燃料コックにはフィルターが内蔵されており、タンク内部のサビやゴミはドレンカップ内に溜まるようになっている。カップ内にサビの粉がある場合は、サビ取りを行う。

純正パイロットスクリューを取り外すには専用ドライバーが必要

オーバーホールやセッティングを問わず、キャブレターをいじる際にもっとも重要なのが、パイロットスクリューやエアースクリューの調整です。AA01型スーパーカブの場合、混合気の量を調整するパイロットスクリューが備わっています。

旧車や絶版車であれば、パイロットスクリューは頭にマイナス溝が刻まれているのが一般的ですが、PB3LA型キャブレターのスクリューの頭はDタイプと呼ばれる特殊な形状で、調整や着脱には専用のドライバーが必要です。

これは、むやみにパイロットスクリューをいじって排気ガス中のCO/HC濃度を変化させないようするための仕様ですが、オーバーホールやセッティングを行う際には調整が必須なので、作業前に必ず用意しておきましょう。

スクリュー頭部がDタイプのパイロットスクリューと、それを回すための専用ドライバー。スクリューを取り外す際は、その前に現状の戻し量を把握しておく。燃調キットのパイロットスクリューは一般的なマイナス溝なので、マイナスドライバーで調整できる。

長期放置車両の再生時にはパイロット系とスロー系の徹底洗浄が重要

Dタイプのパイロットスクリュードライバーが必須工具となる最大の理由は、キャブレターの不調、特に長期間放置した後に始動性が悪い場合には、パイロット系やスロー系が原因となることが多いからです。

始動時やアイドリング時にはパイロット系、スロットル開度が小さい領域ではスロー系、開度が大きくなるとメイン系と、キャブレターはスロットル開度によって内部の経路を使い分けながら混合気を作っています。

スロットル開度が小さい領域では、必要となる混合気量も少なく、空気もガソリンも少量となり、必然的にガソリンを計量するパイロットジェットの口径もメインジェットに比べると小さくなります。

バイクに乗らない期間が長くなると、フロートチャンバー内のガソリンが変質/劣化します。すべて揮発してしまえばまだ幸いですが、ワニス状の固形物になることもあり、こうした異物は狭い場所から詰まり始めます。

AA01型用キャブのパイロットジェットとメインジェットの穴径を比べると、パイロットジェットの直径はメインの半分以下しかないため、同じようにガソリンが劣化すればパイロット側の方が早く詰まるリスクがあります。

パイロット系やスロー系に汚れや異物が詰まると、始動性が悪化し、スロットルを開け気味にして始動できてもアイドリングできないといった不具合が生じます。4気筒エンジンのマルチキャブでこうした症状が発生すると、アイドリング時だけ2気筒や3気筒になることもありますが、単気筒のスーパーカブの場合は、始動性の不調がより顕著に現れます。

こうした状況を改善するには、パイロットスクリュー/パイロットジェット/ジェットニードル/ニードルジェットなど、外れるパーツはすべてキャブレターボディから取り外して、キャブレタークリーナーをたっぷりスプレーして汚れを洗い流すのが効果的です。

エンジン仕様やマフラー交換に伴ってキャブセッティングを行う際も、プラグの焼け具合から混合気の濃い薄いを判断して、ジェットやニードルを交換する前にキャブクリーナーで洗浄することで、余計なトラブルを避けることができます。

スーパーカブは2007年のモデルチェンジでフューエルインジェクションを採用し、それからすでに15年を経過しています。しかし現在もなおキャブレター仕様車が数多く生き残っています。キャブ世代の中でも後期にあたるAA01型をこれからも長く乗り続けていこうと考えるのであれば、ぜひとも燃調キットを活用いただければ幸いです。

フロート室内の部品構成は画像の通り。メインジェットよりパイロットジェットの穴径の方が小さいため、汚れによって詰まりやすい。フロートチャンバー内のガソリンによってフロートが浮き上がると、バルブシートにニードルバルブ先端の円錐部分でガソリン通路が閉じて、油面が安定する。

パイロットスクリューの先端部分には、混合気の霧化を促進するブリード穴がある。この穴が詰まるとエンジン不調の原因になるが、硬い針金やドリルの刃で穴を拡大すると混合比に影響するので要注意。詰まっていたら燃調キットのパイロットジェットに交換するのがベスト。

キャブレターボディ内部にも細かな通路があり、汚れが詰まると不調の原因となる。ガソリン汚れに浸透するキャブレタークリーナーをたっぷり吹き付け、エアーブローやパーツクリーナーをスプレーしてすべての通路が通っていることを確認する。

ニードルジェットにも小さなブリード穴がある。穴の数や高さによって混合比に影響するので、燃調キットのニードルジェットは純正部品と同様に製作されている。

マフラー交換やエンジンチューニングを行っている場合はジェット類の番号を変更した方が良いが、純正仕様でオーバーホールを行う際は、パイロット/メインジェットともノーマルサイズのジェットで組み立てる。

Dタイプからマイナス溝に変更となるパイロットスクリューには、回り止めのスプリング/Oリングの傷付きを防止するワッシャー/スクリュー部分からの二次空気吸い込みを防止するOリングが組み込まれる。パイロットスクリューは閉じきり状態まで締め込み、取り外し前のD型スクリューと同じ回転数だけ戻しておく。実際の調整はエンジンを始動しスクリューをわずかに開閉して、エンジン回転数が一番上昇する位置に合わせる。

ニードルバルブの円錐部分が摩耗すると、ガソリンを止めきれずオーバーフローの原因となるため、燃調キット内の新品部品に交換する。なお、このキャブのフロートは調整板がないタイプなので、油面調整はできない。

フロートチャンバーは2本のビスで固定されているため、経年変化でガスケットが潰れて硬化するとガソリン滲みの原因になる。燃調キットのガスケットに交換すれば安心だ。

吹き返しによるカーボンが付着したジェットニードルもキースター製に交換する。クリップ溝は5段あり、エンジンやマフラーがノーマルであれば、クリップは3段目にセットして様子を見てみよう。

スロットルバルブのすり割りとキャブボディ内部の凸部を合わせて組み付ける。ジェットニードルとニードルジェットの位置がずれるとスムーズに収まらないので、ベンチュリー内部を覗いて確認しながら組み付ける。

完成したキャブレターは、エンジンに組み付ける前にスロットルを操作し、スロットルバルブがスムーズに動くかどうか、スロットル全開でバルブが上がりきるかを目視で確認する。


※本記事はキースターが提供したもので、一部プロモーション要素を含みます。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。