「CBRはここから始まった」1983ホンダCBR400F:最後のホンダ空冷スポーツ【ニッポン旧車列伝】

「CBRはここから始まった」1983ホンダCBR400F:最後のホンダ空冷スポーツ【ニッポン旧車列伝】

1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回はCBXの系譜を継ぎ、多数の耐久レーサーモデルに派生したホンダCBR400Fを取り上げる。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。


●文:ヤングマシン編集部

ホンダの“R”だ! 可変バルブだ‼

1980年代に入ると、市販車400ccをベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。

ベース車として空冷直4のCBX400Fが人気を集めていた1983年、ホンダがさらにハイパフォーマンスなマシンを投入する。

CBR400Fは、CBXベースのエンジンに、低回転では2バルブ、高回転では4バルブに変化するREV機構を採用。

そして最高出力は驚きの58ps。CBXが48ps、1982年に登場した水冷のVF400Fが53psだったことを考えれば凄まじいハイスペックである。

車体もレースを意識したもので、角パイプスチールフレームに軽量&高剛性なNSコムスターホイール、リヤには路面追従性に優れるプロリンクサスを組み合わせた。ブレーキのノーズダイブを抑制する、当時最新のTRACも装備している。

【1983 HONDA CBR400F】■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 399cc 58ps/12300rpm 3.6kg-m/11000rpm ■176kg ■タイヤサイズF=100/90-16 R=110/90-18 ●発売当時価格:53万9000円

【高回転では4バルブ‼】8500rpm超で2→4バルブに切り替わるREV。CB400SF/SBも搭載したVTECの元祖だ。

【高回転&高出力化の先駆け】イエローの指針がレーシー。レブリミットは1万3300rpmと可能な限り高回転に設定されている。レプリカながら実用的な燃料計も装備。

レースでもVF400Fに負けじと好成績

レースでは、すでにホンダワークスはVF400Fを使用していたが、CBRも高い人気を誇り、負けじと好成績を収めた。

後に、F3レプリカや耐久マシンをイメージしたフルカウルのF3とハーフカウルのエンデュランスも追加され、400レプリカ熱をより加速させた。

その一方、スパルタンなスタイルと軽快な乗り味で、ストリートでの人気も高かった。

400Fの登場後、GSX-RやFZなど水冷のライバルが猛威を奮う。CBRは奮闘を見せるも、ついに1986年、水冷のCBR400Rにバトンタッチ。

ホンダ最後の空冷スーパースポーツ、そして最初に「CBR」の名を冠したモデルとして歴史に名を残す1台である。

CBR400Fをベースに、フルカウル化したレーサー(右)。宮城光や太田浩一の活躍が有名。

ホンダCBR400Fの系譜

1983 ホンダCBR400F

攻撃的なスタイルとライト下のオイルクーラーに注目。ヘッドライトはフレームマウントでハンドリングは実に軽快だ。初代は3色設定。

1985 ホンダCBR400F :バネ下軽量化&REV設定変更

ステンレス集合管やアルミ製スイングアーム&ホイールの採用などで2kgの軽量化に成功。REVは中速寄りに設定を変更した。

ホンダCBR400F 兄弟車:ああ憧れの耐久レプリカ

角1眼のノーマルに対し、耐久レーサーの定番である2眼ヘッドライトにカウルを追加したバージョンが多数登場。8耐を頂点に、250&400で競う鈴鹿4耐といった耐久レースが人気を集めた時代だった。

1984 ホンダCBR400F エンデュランス

【1984 HONDA CBR400F ENDURANCE】ノーマル登場から半年後、デュアルライトにハーフ&アンダーカウル付きが登場。エンデュランス=耐久が示す通りのイメージだ。

1985 ホンダCBR400F エンデュランス

【1985 HONDA CBR400F ENDURANCE】ホンダ初のアルミ3本キャストホイールや直管型マフラーなど、1985STDと同様に進化。車重は2kg軽量になり、アンダーカウルを廃止。

1984 ホンダCBR400 F-3

【1984 HONDA CBR400F F-3】エンデュランスにフルカウルを装備した特別仕様車。車重はSTDから7kg増で、価格は7.6万円高。1代限りのラインナップとなる。

1985 ホンダCBR400 フォーミュラ3

【1984 HONDA CBR400F FORMULA-3】1985では、エンデュランスにシングルシートを標準装備したフォーミュラ3を追加。トリコと白フレームも専用。5000台限定。

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。