![[自分だけのバイク選び&最新相場情報] カワサキW800ファイナルエディション(2017) 試乗レビュー](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
中古車を選ぶ際、なかなか悩ましいのが何を持って完調の状態といえるかわからないこと。そこで役に立つのが、劣化や不具合のない新車当時の試乗レビューだ。自分が中古車を試乗して、それぞれの個体の状態を確かめる際の参考にしてみて。この記事では、レトロな見た目と味わい深いエンジン特性が魅力的なカワサキW800の2017年モデルについて紹介するぞ。当時ディスコンのアナウンスが出ており、これがファイナルエディションということだった。 ※以下、2018/11公開時の内容に基づく
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:長谷川徹 ●取材協力:富津漁業協同組合 ●外部リンク:カワサキ
カワサキW800(2017) 試乗レビュー
この鼓動感は唯一無二。バイクの原点がここに
1999年2月に発売されたW650は2009年モデルを最後に生産を終了。その2年後の2011年、ほぼ姿を変えずにボアを5mm拡大し、燃料噴射を採用したW800がリリースされた。
十分な性能を維持しつつ来たる排ガス規制をクリアできないことから、2016年7月発売のファイナルエディションを最後にW800も生産終了となったが、うれしいことにまだ流通在庫が入手可能という。いつかはダブルなどと考えていた人にとっては朗報だろう。
まずはエンジン。ロングストロークの773cc空冷並列2気筒は、圧縮比が8.4:1と低く、48psと控えめな最高出力を公称する。ミッションは5段だ。排気音は確かにツインだが、バランサーを組み合わせているおかげで極端な振動はほとんど伝わらず、精度の高い重量級のクランクがスルスルと回っている様子が目に浮かんでくる。
2500rpmで最大トルクを発揮するため、大きくスロットルを開けずとも十分な加速力を見せ、高速道路の巡航も余裕でこなす。また、低回転域から力強く立ち上がれるので、峠道ではシフトチェンジを少々サボってもそこそこのペースで走れてしまう。燃料噴射のレスポンスは穏やかで、ライダーを慌てさせる反応は一切なし。上品かつ味わい深いエンジンである。
ハンドリングは、フロント19インチ/リヤ18インチという大径なホイールと、27度と寝かせ気味のキャスター角、そして柔軟なフレームにより、オフロード車のような挙動を見せる。高剛性なモデルから乗り換えると戸惑うかもしれないが、常用域においては何ら不足なし。
慣れてくるとバンク角の少なさをうらめしく思うほど、ワインディングを走るのが楽しくなってくるはずだ。ちなみに、ホイールトラベル量はフロントが130mmと長めなのに対し、リヤは106mmしかない。高速で大きなギャップを通過した際に底付き感が出ることもあるが、常用域ではむしろ乗り心地がいいと感じられる。
試乗したファイナルエディションは、タンクの塗装をはじめ各部の仕上げが美しく、眺めているだけでも心を満たしてくれる。こんな作品はもう二度と出ないかもしれない。
【KAWASAKI W800 Final Edition [2017model]】主要諸元■全長2180 全幅790 全高1075 軸距1465 シート高790(各mm) 車重216kg(装備)■空冷4スト並列2気筒SOHC4バルブ 773cc 48ps/6500rpm 6.3kg-m/2500rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量14L■ブレーキF=ディスク R=ドラム■タイヤF=100/90-19 R=130/80-18 ●色:オレンジ ●価格:92万5560円
ブレーキ、車体ともに限界性能は高くはない
ブレーキの絶対制動力はそれなりなので、前後を同時に操作するのが基本だ。また、車体の限界性能も決して高くはないので、峠道で飛ばしすぎると慌てる羽目に。慈しみながら流すのが最も似合うバイクだ。
素材の良さが味わえる最後のチャンスかも
復活の噂も聞こえてくるW800だが、新しい排ガス規制をパスしながらどこまでこの味わいを維持できるかは未知数。素の単車らしさを残した稀有なモデルであり、また長寿なだけにカスタムパーツも豊富。欲しい人は早めにお店へ。
ベベルギヤを介してカムシャフトを駆動する773ccの空冷並列2気筒=バーチカルツインは、360度クランクやバランサー、燃料噴射などを採用。最高出力は48psで、最大トルクは2500rpmという低回転域で発揮する。サイレンサーはキャブトン型。
クラシカルな2眼メーター。速度計内の液晶画面は積算計や距離計、時計を切り替え表示する。左右のスイッチボックスもクラシカルだ。ハンドルはφ22.2mmの通称ミリバーで、レバーはブレーキ側が4段階、クラッチ側が5段階に調整可能。ミラーはラバーマウントだ。
φ39mm正立式フロントフォークは非調整式。リヤショックはプリロードのみ調整可能だ。フロントブレーキはφ300mmのシングルディスク。
【ファイナルエディションの専用装備】塗装と焼き付けを4回ずつ行う特別塗装をはじめ、白いパイピングとオリジナルパターンの表皮を採用したシート、ハンマートーン塗装のFIカバー、サイドカバーの立体エンブレム、タンク上面にあるファイナルエディションのロゴなど、専用装備が随所に見られる。
シート高は790mmと低く、両ヒザが軽く曲がるほど足着き性は良好。ニーグリップパッドが適切な位置にあってホールドしやすい。(身長:175㎝/体重:62㎏)
シンプルなダブルクレードルフレームにリヤ2本サス、カットガラスレンズ採用のヘッドライトなどがクラシカルな雰囲気を演出。リムはアルミ製で、前後のフェンダーはスチール製のメッキ仕上げだ。W650時代から姿をほぼ変えずに歩んでいる。
カワサキW800の最新相場情報
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(W800シリーズ)
2019年モデル:2本立てで復活 一時は2017年モデルのファイナルエディションを最後に、一部マーケット(インドネシア等)向けを除き、生産が終了していたが2019年モデルから国内でも復活。 空冷773[…]
2025年モデル概要:インパクト大なシリーズ初カラー カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載。360度クランクによる鼓動感や等間隔爆発ならではの整ったエ[…]
カワサキW800(2020) 試乗レビュー この記事では、レトロな見た目と味わい深いエンジン特性が魅力的なカワサキのW800の2020年モデルについて紹介するぞ。 [○]フロント19インチの味わい。こ[…]
カワサキW800(2022) 試乗レビュー カワサキW800(2022) 概要 ■全長2190 全高1075 軸距1465 シート高790(各mm) 車重226kg ■水冷4スト2気筒SOHC4バルブ[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
最新の関連記事(自分だけのバイク選び)
ヤマハNMAX155試乗レビュー この記事では、ヤマハの原付二種スクーターから、NMAX ABS(125)の2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年7月公開時の内容に基づく 【NMAX[…]
ホンダPCX/160(2020/2021)比較試乗レビュー この記事では、ユーロ5に対応するため全面的に刷新し、第4世代となった2021年モデルと前年にあたる2020年モデルについて比較して紹介するぞ[…]
ホンダ CB400スーパーフォア(2018) 試乗レビュー この記事では、平成28年度排出ガス規制に法規対応するなどモデルチェンジを実施した2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月[…]
ホンダ CB1300スーパーボルドール(2018)試乗レビュー この記事では、平成28年度排ガス規制に対応しモデルチェンジを行った2018年モデルについて紹介するぞ。 ※以下、2018年6月公開時の内[…]
ホンダ「モンキー125」(2024)試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2024年モデルについて紹介するぞ。初期のモンキー125に近い、シンプ[…]
人気記事ランキング(全体)
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
シリーズ累計で約3万台を生産したW1の系譜 約9年に及んだ販売期間の中で、W1シリーズの人気が最高潮に達したのは、ペダルの配置が左:シフト/右:リヤブレーキに改められたW1SA。それに次ぐのはツインキ[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤングマシン電子版2025年9月号[Vol.634] 【海外超速報】◆ついに本気のネオクラ来た!! スズキGSX-8T/TT◆待望のゴリラ125登場? ホンダGORILLA125(MONKEY125 […]
1位:直4ネオクラシックZ400RS最新情報/予測 最強400ccモデルであるニンジャZX-4Rをベースとした直列4気筒のヘリテイジネイキッド「Z400RS」(仮称)が開発されているという噂。77ps[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
トリックスター初となるハーレー用マフラー トリックスター初となるハーレー用マフラーが、X350向けにリリースされた。今回、初の試みとして“ツインタイプ”のサイレンサーが採用されている。 X350の特徴[…]
ライディングポジション変更のおかげで操縦性も大幅アップ! 私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、5月下旬にシーズン初戦を迎え、私自身も今季のさらなる走りの進化に期待しているのですが[…]
- 1
- 2