スズキ初のリッターマシンが第1回鈴鹿8耐を制す:スズキGS1000/S【あの素晴らしい名車をもう一度】

GS1000

スズキは1974年より4ストロークエンジンの開発に着手。1976年にGS750をデビューさせ、さらに「750並みの重量で排気量はリッタークラス」のマシンを計画。それがこのGS1000だ。鈴鹿8耐を始め、ヨシムラとのタッグでレースに参戦し出したのもGSシリーズがきっかけだった。それでは開発秘話を振り返ろう。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。


●文:ヤングマシン編集部

スズキGS1000 誕生の背景:750並みの重量でリッタークラスを

1968年のT500、続く1971年のGT750と、それまで2ストを積極的に開発してきたスズキ。だが、米国の排ガス規制法(マスキー法)の成立やオイルショックなどが重なり、排ガス対策と燃費の両面から2ストは不利と見て、新たに4ストエンジンの開発を急いだ。

こうして誕生した4ストのGSシリーズは、結果的に2気筒の400/4気筒の550/同じく4気筒の750の3本立てで登場した。これらはすでに発売されていた他社製品を徹底的に研究し、テストを繰り返した末に誕生したラインナップだ。

全車の空冷DOHC2バルブエンジンには目新しい機構こそ見られなかったものの、重要な点は他社製品を超えたその完成度にある。

すでに世界有数のチューナーであったヨシムラをして「過剰品質」と言わしめ、4ストでは最後発だったスズキが一気に他の3社と肩を並べたのは賞賛に値する。また、乾燥重量もGS750で223kgと比較的軽量であった。

エンジンの耐久性や出力、優れた車体性能も合わせ持つGS750だが、加速性能では排気量の大きなZ1にかなわないとの声も。そこでスズキは「750並みの重量で排気量はリッタークラス」というマシンを計画。それがGS1000だった。

【1978 SUZUKI GS1000】■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 997cc 86ps/8250rpm 8.2kg-m/6500rpm ■234kg(乾) ■タイヤF=3.50-19 R=4.50-17 ※輸出モデル

スズキGS1000 レースでの活躍 :ヨシムラ-スズキ連合の旗印

さてこのGSシリーズ、レースでは他社と単に肩を並べるにはとどまらず、スズキとヨシムラはタッグを組みGS750改944ccでAMAスーパーバイクに1977年秋から参戦。そして見事に初陣を飾ったのだ。

さらに1978年型として投入されたのがGS1000だ。これはシリーズ決定版とも言え、ヨシムラ-スズキ連合はこの年のデイトナ、続く第1回鈴鹿8耐でホンダを退けて優勝するなど快進撃を続けた。

スズキはその後GSX、GSX-Rといったニューモデルを次々に生み出すが、ヨシムラとのパートナーシップはいまも変わらず、成果を上げ続けている。両者の友好関係のすべては、このGSから始まったのだ。

鈴鹿8耐の記念すべき第1回大会(1978年)および第3回大会(1980年)の優勝マシンこそGS1000だった。G・クロスビーとW・クーリーの活躍がヨシムラチームを勝利に導いたのである。

【YOSHIMURA GS1000 REPLICA】上記鈴鹿8耐のレプリカモデル。耐久カウル姿のGS1000に憧れを抱いたライダーも多かったはずだ。

スズキGS1000S:スズキ党の憧れだった、元祖クーリーレプリカ

AMAスーパーバイクレースのほか、耐久レースでもヨシムラが大活躍。

スズキのエースライダーだったウエス・クーリーの活躍もあり、専用ビキニカウルと青×白のワークスカラーを身にまとったモデルが”クーリーレプリカ”と呼ばれるようになった。

【1979 SUZUKI GS1000S】主要諸元■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 1062cc 90ps/8000rpm 8.5kg-m/6500rpm ■車重238kg(乾) ■タイヤF=3.50-19 R=4.50-18 ※輸出モデル

ヨシムラの創始者にして、伝説のチューナー 吉村秀雄氏。彼が手がけたGSは、AMAや鈴鹿8耐で快進撃を見せた。

スズキGS1000/S 兄弟モデル

1976 スズキGS750【レースで活躍、白バイにもなった秀作】

GS1000よりも約1年早く登場、GSシリーズ当初のトップモデル。スタイリングや動力性能に突出した部分は見られないが、トータルバランスの高さや車体の軽さ、耐久性は優秀だった。

【1976 SUZUKI GS750】主要諸元■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 748cc 68ps/8500rpm 6.0kg-m/7000rpm 車重238kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:48万5000円

1980 スズキGSX750E【ハイメカ採用の赤ベコ&黒ベコに進化】

750カタナのベース車。TSCC方式の多球型燃焼室を採用し、出力を向上。Fフォークにはアンチダイブ機構も装備する。外観からベコ(牛)の愛称も。

【1980 SUZUKI GSX750E】主要諸元■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 747cc 69ps/8500rpm 6.2kg-m/7000rpm 車重229.3kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=4.00-18 ●価格:52万円

1977 スズキGS550【750より27kgも軽量だった】

シリーズ中の中堅機種。リヤはドラムブレーキだが、軽量な車体とクラス唯一の6速ミッションで高い運動性能を実現した。ギヤポジションインジケーター付き。

【1977 SUZUKI GS550】主要諸元■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 549cc 51ps/9000rpm 4.2kg-m/7500rpm ■車重196kg(乾) ■タイヤF=3.25-19 R=3.75-18 ●価格:41万9000円

スズキGS1000/S 系譜

1979 スズキGS1000[E]

【1979 SUZUKI GS1000[E]】初期型のマイナーチェンジモデル。グラフィック変更のほか、穴あきディクスクローターやグラブバーを採用していた。

1980 スズキGSX1100[E]

【1980 SUZUKI GSX1100[E]】新開発のDOHC4バルブで100psオーバーを達成。ヘッドライトや燃料タンクなどに角ばったデザインを与え、フォルムにも新機軸を打ち出した。

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