![[高校生のバイク問題]カーボンニュートラルへ向けた確かな一歩:電動二輪車講習会レポート【熊本県立矢部高校】](https://young-machine.com/main/wp-content/themes/the-thor/img/dummy.gif)
2024年10月15日、熊本県立矢部高等学校にて”電動二輪車技術&安全運転講習会”をホンダが主催した。二輪業界や自治体のカーボンニュートラル(CN)へ向けた取り組みを含め、EVについて高校生に知ってもらうきっかけとなることを目指したものだ。今回はその模様をレポートしよう。
●文:田中淳麿(ヤングマシン編集部)
「乗せて指導する教育」を実施、バイク通学者が多い熊本県立矢部高校
熊本県の県立矢部高等学校は、原付免許取得とバイク通学を2年生以上の生徒に許可している。「乗せて指導する教育」を、長年にわたり続けているのだ。
実際に数を見てみると、2年生は学年47名のうち39名(83%)が原付免許を取得、そのうち90%の35名が通学に利用している。3年生は学年37名のうち22名(59%)が免許を取得、その77%となる17名が原付通学という状況である。
今回レポートする講習会は、そんな同校の全生徒が参加し開催されたものだ。
矢部高校の全生徒。1年生を含めた原付免許を持たない生徒も参加した。
講習会はCN/EVの講義からスタート
それでは実際の内容をお伝えしていこう。
午前中はホンダの電動スクーター”EM1 e:”の開発責任者である後藤香織さん、開発責任者代行の内山一(はじめ)さんにより、「CN(カーボンニュートラル)とモビリティの電動化」「電動バイクの構造と仕組み」という2本の講義が行われた。
CNに向けた世界の流れと二輪業界の取り組み、加えて矢部高校のある山都町と熊本県の施策について説明された。
続いて電動バイクの構造や特徴、モーター/バッテリーの仕組みといった技術面にも話は及ぶ。壇上で後輪をまわし、静粛性を確認するひと幕もあった。
EV体験や安全運転セミナーも同日に実施
午後は場所をHSR(HONDA SAFETY&RIDING PLAZA)九州 交通教育センターレインボー熊本へ移し、EV体験、安全運転セミナーが実施された。
免許あり/なしのグループに分かれ、免許ありグループはEM1 e:とタクトを使った比較試乗も体験。
生徒からは「振動がなくて乗り心地がよい」「走り出しが静か」といったメリットとともに、「消えているのかわかりにくいからウィンカーの音は出してほしい」という要望もあった。
そのほか、駐車車両により見通しが悪い道路での合流方法など、具体的な運転指導もされた。
見通しが悪い道路での合流方法を指導。多段階停止を行うこと、3回確認しながら止まり自車両を相手に発見させること、駐車車両の脇を通る際は車間距離を取ることなどが伝えられた。
矢部高校の交通安全活動については公益財団法人から表彰も
ちなみにであるが、2024年9月には公益財団法人国際交通安全学会(IATSS)から、矢部高校”二輪車競技部”の長年の交通安全活動に対して表彰が行われた。
そして副賞のEM1 e:3台、NX400L教習車仕様1台の贈呈式が、本講習会の開催前に実施された。
特にEM1 e:へ生徒が乗車する際は、今回の講習内容を活かし、安全かつ快適なEVスクーター通学を行なってほしいものだ。
IATSSの橋居賢治常務理事(右)と、学校を代表して目録を受け取った二輪車競技部部長さん(左)。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載] 2輪車利用環境改善部会)
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
100万都市・千葉市のバイク駐車場問題 上総台地の平坦地に位置する千葉市は、人口98万人強の大きな自治体で、現在も増加中であることから「最後の100万都市」とも呼ばれている。 高度経済成長期には大規模[…]
原付バイク安全運転スキルアップ講習会について 本講習会は原付バイクに特化した安全運転講習会で、原付利用者の交通安全意識と安全運転技能の向上を図り、交通事故を防止しようという狙いで2024年から開始され[…]
熊本市繁華街、バイク駐車場の実態 熊本一の繁華街である下通(しもとおり)商店街の周辺を歩いたが、目につくのは自転車駐輪場への125cc以下の受け入れが進んでいること。とくにアーケードから1本入った路地[…]
最新の関連記事(交通/社会問題)
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
「危険なら道路を改善しないの?」との疑問を感じるが…… 市中の道路を走っていると「事故多発交差点」と書いた立て看板を見かけることがあります。 その交差点で交通事故が多発しているので気を付けて運転してほ[…]
情熱は昔も今も変わらず 「土日ともなると、ヘルメットとその周辺パーツだけで1日の売り上げが200万円、それに加えて革ツナギやグローブ、ブーツなどの用品関係だけで1日に500万円とか600万円とかの売り[…]
EVは脱炭素社会実現と移動課題の改善に寄与するか 「バイクラブフォーラムin南国みやざき」で実施されたパネルディスカッション、「電動二輪車利活用による社会課題(脆弱な二次交通)解決」において、次のトー[…]
100万都市・千葉市のバイク駐車場問題 上総台地の平坦地に位置する千葉市は、人口98万人強の大きな自治体で、現在も増加中であることから「最後の100万都市」とも呼ばれている。 高度経済成長期には大規模[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う 四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。 スタートは自転車用補[…]
2024年モデル概要:XSRらしさを受け継いだ末弟 海外で先行して展開されていたXSR125の国内導入が明かされたのは、2023年春のモーターサイクルショーでのこと。発売は同年の12月8日だった。 X[…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
実績豊富なディーラーによる絶妙なバランス感覚 全国のハーレーダビッドソンジャパン販売網がカスタムの腕とセンスを競うコンテスト『バトルオブザキングス』にて2年連続で日本一になった実績を持つワタナベモータ[…]
- 1
- 2