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●文/写真:ヤングマシン編集部(佐藤寿宏)
中須賀克行から王座をもぎ取った岡本裕生は来季WSSPへ
全日本最終戦鈴鹿レース2では、レース中盤から岡本裕生(#2)がレースをリード。これについていけたのは#3水野涼のみ。#1中須賀克行は#32野左根航汰と3位争いを繰り広げる展開だったが、セーフティーカーが入ったことで、その差はなくなり、リスタートで勝負に出た中須賀は転倒リタイアとなる。
全日本ロードレース選手権最終戦鈴鹿(10月26日・27日)を終えてから、アッという間に12月となり、2024年も終わりを告げようとしています。全日本ロードレースに関した、来シーズンに向けての話題も入って来ていますが、まだ書けないことが多いですかね。
先日行われたハルク・プロ感謝の夕べでは、2025年のチーム体制が発表されました。SDG HARC-PRO. Hondaは名越哲平がJSB1000継続、ST600に濵田寛太が継続で、新加入の小田喜阿門が走ります。阿部恵斗はアジアロードレース選手権(ARRC)ASB1000にフル参戦となりましたが、全日本ST1000へのスポット参戦もあると見ています。MFJ CUP JP250にはSDG永遠のエース、赤間清が継続参戦します。中野真矢氏率いる56 RACINGとジョイントし、若手育成チームとしてSDG Jr. 56 RACINGを立ち上げ富樫虎太郎が全日本J-GP3クラスの特別参戦枠でフル参戦します。若手ライダーの成長も楽しみですね。
國井勇輝が世界に戻り、阿部恵斗と小田喜阿門が新加入したSDG HARC-PRO.。2025年も全日本とARRCで王座を狙っていく。
結局、2025年のカレンダーは、4月19日・20日の、もてぎ(2&4)で開幕することになりました。暫定カレンダーに入っていた3月8日・9日の鈴鹿2&4は大人の事情で消滅。まぁエントラントも今年の惨状を考えると走りたいというのは少なかったですからね。これは賢明だったと思います。その後、4月に全クラスを、もてぎで開催するという案もあったのですが、こちらは実現せず、JSB1000クラス以外は、5月開幕というスケジュールになってしまいました。J-GP3クラスは6月に筑波がありますが、ST1000クラスとST600クラスは、5月のSUGOのみが前半戦で、8月のもてぎ(絶対酷暑でしょう)から後半戦が4戦となり、鈴鹿8耐に出ないライダーにとっては、かなり間延びするシーズンになります。
黒船襲来、DUCATI Team KAGAYAMAの水野涼が話題を振りまく
2024年の全日本ロードレース選手権もいろいろなことがありました。JSB1000クラスは、DUCATI Team KAGAYAMAの水野涼がドゥカティワークスマシンで参戦する話題から始まり、これを迎え撃つヤマハファクトリーの中須賀克行と岡本裕生との戦いになりました。水野の走りが起爆剤となり、ヤマハファクトリー3年目の岡本の成長、絶対王者・中須賀の意地がぶつかり合い、毎戦コースレコードを更新するレベルの高いレースを繰り広げました。この3人以外で表彰台に上がったのは、第6戦オートポリスレース2・3位の高橋巧と最終戦鈴鹿レース2・2位の野左根航汰のみと、3人が、いかに突出していたのかが分かるでしょう。
絶対王者・中須賀を破りチャンピオンとなった岡本裕生。表彰式ではスピーチすることを聞いていなかったそうだが、堂々と新チャンピオンとして務めを果たしていた。2025年はR9でスーパースポーツ世界選手権(WSS)にフルエントリーする。
最後はヤマハファクトリーのチームメイト同士のタイトル争いとなり、これを岡本が制しました。岡本は、来シーズンよりスーパースポーツ世界選手権(WSS)にフルエントリーします。何でワールドスーパーバイクじゃないのかという意見もあると思いますが、現状シートの空きはなかったですし、ちょうどYZF-R9がWSSにデビューするのでタイミングとしてはよかったかもしれませんね。初テストの感想は「意外に速い」でした。年明け、1月13日に渡欧しテストに参加。アッという間に、2月21日-23日のオーストラリア・フィリップアイランドの開幕戦を迎えます。ぜひ結果を残してSBKへのステップアップを果たしてもらいたいものです。
世界という舞台で揉まれ、芯のある強いレーシングライダーに成長した古里太陽。来シーズンも楽しみな存在だ。
Moto3で活躍中の古里太陽を久しぶりに取材する機会がありました。それこそ全日本J-GP3では現場で見ていましたが、ここ数年、日本GPの仕事は写真が主だったこともあり、最後に話を聞いたのはMoto3フル参戦を開始する2022年シーズンの開幕直前でした。このときは、電話取材で太陽は、お母さんの運転で移動中だったのですが、その最中に一時停止違反で警察に止められてしまっていました。大丈夫? と言いつつも、こちらも、この機会を逃すといつ(太陽を)捕まえられるか分からないので、そのまま話しを聞かせてもらって以来でした。覚えてくれている? と聞くと「もう全日本のころのことは覚えていないんですよ」と太陽。電話取材の件を話すと思い出してくれましたが、15歳から19歳になり、世界を3シーズンも戦った太陽は、大きく成長していました。
2024年シーズンは、3度の表彰台を含むランキング10位と日本人ライダーでは最高位の成績を残しましたが、初優勝まで、あと一歩というレースもありましたし、シーズン中盤にはモトクロストレーニングでの負傷の影響で欠場もありました。
「もっと上位に行けたはずだったのですが、自分自身のミスもありました。結果的にランキング10位でしたけれど、ランキング5、6位には行けたと思うので、内容的によくないシーズンでした」
KTM勢に対し、Honda勢は劣勢を否めない状況ながら、常にトップグループにつける走りは大きく評価を上げています。所属するIDEMITSU Honda Team ASIAは育成チームでもあるため、4年目となる2025年は、ラストシーズンとなるでしょう。Moto2に上がるか、他チームに移籍するか、その先のチャンスをつかむためにも結果を残さなければならないシーズンになります。
「やっぱり目標は一番しかないですね。いいスタートを決めて、まずは初優勝を目指します」と最後に来シーズンの抱負を語ってくれました。早くも4年目のシーズン、7月には20歳となる太陽に期待しましょう。
来季は芳賀健輔と青木拓磨、松戸直樹が四輪の耐久レースに?!
26年振りのサーキット走行を楽しんだ芳賀健輔と青木拓磨。4輪でもセンスのある走りを見せていた。
最後に芳賀健輔から連絡があり袖ヶ浦フォレスト・レースウェイまででかけてきました。青木拓磨が主幹しているハンドドライブレーシングスクール(HDRS)に誘われ、実に26年ぶりにサーキットを走りました。最初はパドックにパイロンで区切られたコースで練習してからサーキット走行を3本行いました。最初はオートマでしたが、3本目はマニュアルを走らせ、久しぶりのサーキットを楽しんでいました。健輔も拓磨もワークスライダーとして活躍していた1998年に負傷し車イスでの生活となりましたが、2人とも本当に努力家で様々なことにチャレンジしてきました。奇しくも同級生でもあり、このHDRSで使っている車両のメンテナンスを同じく同級生の松戸直樹が行っています。松戸もMotoGPマシンのテストで負傷し、足を切断する寸前の大ケガを負いました。来年は、この同級生、元ワークスライダーで筑波の耐久レースに出ようと盛り上がっていました。
2024年MotoGPロードレース世界選手権Moto2クラスで15年振り7人目の日本人世界チャンピオンとなった小椋藍。来シーズンは、ついにMotoGPクラスにチャレンジ!
2024年は、MotoGPロードレース世界選手権Moto2クラスで小椋藍が世界チャンピオンを獲得しました。2009年の青山博一以来、15年振りの快挙で、来シーズンは、アプリリアからMotoGPクラスにステップアップします。Hondaでないのが、今の時代を物語っているところですが、ヨシムラSERT MOTULもEWC世界耐久選手権でチャンピオンを獲得するなど、日本のロードレース界は頑張っています。ヨーロッパに行くと、モータースポーツ認知度の高さを感じますが、日本も脈々と続く歴史があります。今も国内外で活躍している、すごいライダーたちがいることを、もっと知っていただきたい。私ことぶきも微力ながら、そのお手伝いをもう少ししていこうと思っています。國井勇輝インタビューに続き、年明けに小椋藍インタビューをお届けする予定なので、目を通していただければ幸いです。
それでは皆様、よいお年を~。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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