
●文:ヤングマシン編集部(ピーコックブルー)
バイクに積載義務のあるものとは?
車検証や自賠責保険証等の書類
積載義務違反で重い罰則が科せられるものの代表は“書類”です。バイクには使用時に以下の書類を備え付けなくてはなりません。
- 車両登録書(車検証/軽自動車届出済証)
- 自賠責保険証(自動車損害賠償責任保険証明書)
車両登録書とは、“車検証/軽自動車届出済証”などの、車両登録情報や所有者情報などが記載された書類を指します。
道路交通法第66条に基づき、車検がある排気量251cc以上のバイクを運転する際は“車検証”が必須。車検のない250cc以下のバイクの場合は“軽自動車届出済証”が車両登録書に当たり、バイクの使用時はこれらの書類を積載もしくは携行していないと50万円以下の罰金刑が科せられる恐れがあります。
また、50cc〜125cc以下の原付一種および原付二種の場合は、“標識交付証明書(登録票)”が車両登録書に該当し、登録票には「原動機付自転車を使用する場合常に携帯するように」と記載されています。
ただし、登録票の紙面には「徴税吏員から請求があったときに提示してください」とも記載されているとおり、あくまで税金に関しての提示要求です。そのため原付の場合は登録票を携行していなくとも道路交通法違反には問われません。
なお、自賠責保険証に関しては、自動車損害賠償保障法第8条に記されているとおり、排気量を問わず積載や携行していない状態でバイクを運転してはいけません。自賠責保険証の不携帯で検挙された場合は30万円以下の罰金刑が科せられます。
ここで注意したいのは、こうした積載や携行が義務とされる書類の不携帯で検挙された場合は、青キップによる反則金での処理ではなく、赤キップが発行されて罰金刑が科せられる点。起訴されて有罪となれば重い刑罰に加え、犯罪歴(前科)がついてしまいます。
緊急停止用の発煙筒/三角表示板は?
ちなみにクルマの場合は、これらの書類に加えて、非常時に周囲へ緊急事態であることを知らせる“発炎筒”の積載も義務づけられています。しかしバイクの場合、発炎筒の積載は任意となっており、備えていることに越したことはありませんが、積載義務はありません。
また、高速道路を走行中に故障などが発生し、やむをえず停車しなくてはならない場合、“三角表示板/停止表示灯”が必要となるのは、クルマもバイクも同様です。
高速道路上での停車に際して三角表示板等を掲示しなければ、“故障車両表示義務違反”として、反則点数1点/反則金6000円の罰則が科せられます。
車検証や自賠責保険証はコピーや画像データではダメ?
さて、バイク乗りの間では、書類の紛失や汚損の懸念/書類を収納する場所の確保しにくさから、書類のコピーや画像データを携行したり、書類を携行せず自宅保管しているケースも多いようです。
しかし、各書類は必ず原本を備え付けることが義務づけられているため、コピーや画像データでは義務を果たせません。
コピーや画像で所持していれば、盗難車/車検切れ/自賠責切れでないことの証明はできますが、明確な備付義務および提示義務違反になります。書類の不携帯で多額の罰金命令を受けたとしても文句は言えません。
ただし自賠責保険証に関しては、2023年6月1日から自賠責保険証明書の画像データをスマートフォンなどで保持していれば、備付義務および提示義務を果たすものとして認められるようになりました。
このように変更された理由は、電動キックボードへの書類積載が困難なため。しかし条件として「210mm×148mm以上の密閉できる収納がない場合に限られる」と定められています。
多くのバイクには、小さいながら書類入れが設けられているため、その条件に合致しない場合があります。この法改正は、あくまで電動キックボードや電動自転車向けのものと捉えたほうがよいでしょう。
では、バイクの書類はどこに入れればよいのでしょうか?
バイクの使用時は必要書類の備え付けが義務なので、たかが書類の携行と軽く見ていると重い刑罰が科せられる恐れがあります。
しかし実際問題として、書類の収納に無理があるバイクが多いのも事実。
とくに電子車検証に変わってからは、ICタグの箇所を曲げることができないため、バイクによっては書類の積載が難しい現実があります。また、積載した書類ごとバイクを盗難される心配もあります。
警察側もそういった事情を理解してか、バイクの場合はコピーの提示/書類不携帯でも見逃すケースが多いようです。地域や警察官によっても対応は異なりますが、悪質性がなければ書類の備付義務違反で検挙されるケースは多くないと言えるでしょう。
とはいえ、余計なトラブルを避けるためにも原本を携行するのが無難です。
積載場所の確保が難しい場合は、小さく薄い防水バッグなどに書類を入れ、シート下やパネル裏に貼り付けるなどの工夫をしましょう。
積載や備付とはいうものの、常にバイクに積載しておく必要はなく、バイク使用時に携行して警察官に求められた際に提示できれば問題ありません。
バイク盗難に遭った時のことも考えると、バイクに備え付けるよりも、バッグなどに入れて免許証などと一緒に管理し、常に携行するのがベストと言えそうです。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(交通/社会問題)
偵察用KLX250、救命救助のセロー250などが登場 東京都北区の浮間舟渡駅の真ん前にある浮間公園。「釣りのできる公園」として周辺住民から人気で、池に向かって釣り糸を垂らす人の姿が多数見られます。 そ[…]
規制の根拠は「道路法・第46条第3項」 高速道路などを走っていると、時折インターチェンジの手前などで「危険物積載車両ここで出よ」という表示を目にすることがある。この表示を見かけた場合、その先に危険物積[…]
地域活性化ツーリングを開催、移動課題改善への提言も 2024年9月29日に開催された地域活性化・ライダー誘致イベント“伊豆ライダー誘致ツーリング”。 主催は若年層を中心に構成。バイクやクルマ、特定原付[…]
バイク駐車場の拡充に取り組む千葉市 千葉市内には6区で50の鉄道駅がある。中でも千葉駅は千葉県の中心駅として、JR東日本の在来線6線と京成電鉄、さらに千葉都市モノレールが乗り入れている。 都心や成田空[…]
「危険なら道路を改善しないの?」との疑問を感じるが…… 市中の道路を走っていると「事故多発交差点」と書いた立て看板を見かけることがあります。 その交差点で交通事故が多発しているので気を付けて運転してほ[…]
人気記事ランキング(全体)
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
シリーズ累計で約3万台を生産したW1の系譜 約9年に及んだ販売期間の中で、W1シリーズの人気が最高潮に達したのは、ペダルの配置が左:シフト/右:リヤブレーキに改められたW1SA。それに次ぐのはツインキ[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の投稿記事(全体)
トリックスター初となるハーレー用マフラー トリックスター初となるハーレー用マフラーが、X350向けにリリースされた。今回、初の試みとして“ツインタイプ”のサイレンサーが採用されている。 X350の特徴[…]
ライディングポジション変更のおかげで操縦性も大幅アップ! 私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、5月下旬にシーズン初戦を迎え、私自身も今季のさらなる走りの進化に期待しているのですが[…]
2024年モデル概要:赤×黒の熱いカラーリング 「エキサイティング&イージー」をコンセプトに掲げるZ900は、カワサキのフィロソフィーを体現したかのような、先鋭的な「Sugomi」デザインが特徴。エン[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]