
カワサキは、2023年11月にイタリアで開催されたEICMA(ミラノショー)にて、「Z7(ゼットセブン)ハイブリッド」を世界初公開した。これは2輪初のストロングハイブリッドとして発表済みのニンジャ7ハイブリッドのネイキッド版。郊外はエンジンで力強く、そして市街地はモーターで静かに走れる…という、既存2輪車にはなかった楽しみをより拡充するものだ。
●文:ヤングマシン編集部
アップハンドルでライディングポジションは快適方向に
先に世界初の2輪ストロングハイブリッド(=エンジンとモーター/エンジンのみ/モーターのみの3モードで走行が可能)車として発表されたカワサキ ニンジャ7ハイブリッド。59psを発揮する451ccのパラツインに最大9kWを発生するモーターを組み合わせ、瞬間的に1000ccクラスの加速力を発揮するこのマシンに、ネイキッド版が誕生した。
このZ7ハイブリッドは、ハイブリッド機構や車体の基本をニンジャ7 HVと共用しつつ、新型Z500と共通の3眼LEDライトを与えてネイキッド化したもの。ハンドルバーはニンジャのセパレート型からパイプ型に換装されており、より上体の起きた快適なライディングポジションとされているようだ。
KAWASAKI Z7 HYBRID(2024model)
最大の特徴となるハイブリッドシステムは、[1]エンジンとモーター/[2]エンジンのみ/[3]モーターのみの3モードで走行が可能なストロングタイプ。[1]では“Eブースト”というスイッチをオンにすれば、5秒間の限定ながら瞬間的に1000cc級の加速を実現する一方、[3]では歩くような速度での前進/後進を可能とし、取り回しを劇的に容易化する“ウォークモード”も有している。
48Vのリチウムイオンバッテリー(重量は13kgとのこと)はシート下に置かれており、それを逃げるためにスイングアームが長いのもこの車体の特徴。その冷却用ダクトがボディ左右に配され、デザインのポイントにもなっているのはニンジャ7ハイブリッドと同様だ(その他の詳細はニンジャ7ハイブリッドの記事を参照)。
KAWASAKI Z7 HYBRID(2024model)
クラッチレバーは存在せず、オートマチック走行も可能
エンジンは6速のトランスミッションを備えるが、クラッチレバーやシフトペダルは存在せず、左側スイッチボックスのパドルシフトによる変速かオートマチックモードを選べるのも特徴。回生システムも備えており、燃費は同社のニンジャ250同等を確保しているという。
カワサキによると、今後、欧州などで都市部への内燃機関車の進入が禁止されたとしても、ニンジャ&Z7ハイブリッドなら、郊外はエンジンやハイブリッドモードで走行し、市街地に進入する際にはモーター走行に切り替えて…といった用途を想定しているとのこと。ニンジャ7ハイブリッドは国内導入を明言(時期は未定)したが、Z7ハイブリッドの導入にも期待したい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
2024年モデル概要:赤×黒の熱いカラーリング 「エキサイティング&イージー」をコンセプトに掲げるZ900は、カワサキのフィロソフィーを体現したかのような、先鋭的な「Sugomi」デザインが特徴。エン[…]
シリーズ累計で約3万台を生産したW1の系譜 約9年に及んだ販売期間の中で、W1シリーズの人気が最高潮に達したのは、ペダルの配置が左:シフト/右:リヤブレーキに改められたW1SA。それに次ぐのはツインキ[…]
零戦と同じサムライ魂が成し遂げた「究極」の直4 時代を決定的に「それ以前」と「以降」に画してしまうエポックメイキングなモデルはいくつか存在する。中でもZ1は紛れもない革命児である。 量産車として世界初[…]
海外の名車を規範とした1960年代初頭以前の日本車 W1シリーズの原点はメグロのスタミナK1で、K1の規範はBSAが1946~1960年代初頭に販売したA7である。ではそもそも、なぜ1923年に創設さ[…]
硬派なライダー向けに180°クランクの高回転ツインを搭載! カワサキがZ750FX系列の末弟としてZ250FTをリリースしたのは1979年2月。 1970年代のはじめから、250ccのスポーツバイクは[…]
最新の関連記事(EICMA(ミラノショー))
V型3気筒ってどんなエンジン? 並列エンジンとV型エンジンの違い 多気筒エンジンは、シリンダーの配置によってさまざまなバリエーションがあります。並列(バイクだと直列とも言いますが)、V型、水平対向とい[…]
発表から2年で早くも外観デザインを変更! ホンダは欧州ミラノショーで新型「CB750ホーネット」を発表した。変更点は主に3つで、まずデュアルLEDプロジェクターヘッドライトの採用によりストリートファイ[…]
スマホ連携TFTやスマートキー装備のDX ホンダがミラノショーで新型PCX125(日本名:PCX)を発表した。2023年には欧州のスクーターセグメントでベストセラーになったPCX125だが、日本でも原[…]
400ccのDR-Zが帰ってきた! モトクロス競技の主導権を4ストロークが握り始めて間もない2000年、公道市販車として産声を上げたのは水冷398cc単気筒を搭載するハイスペックなデュアルパーパスモデ[…]
スポーツ性能を高めたBMWフラッグシップスポーツ BMW S1000RRのおもなスペックとアップデート S1000RRは並列4気筒エンジンを搭載するスーパースポーツで、BMWがWSBK参戦を視野に入れ[…]
人気記事ランキング(全体)
50年の眠りから覚めたBSA、復活のファーストモデルがゴールドスター 世界最古クラスの英国ブランド、BSAが再び日本に上陸した。輸入を手掛けるウイングフットが「BSA ゴールドスター」を取り扱い“ほぼ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
シリーズ累計で約3万台を生産したW1の系譜 約9年に及んだ販売期間の中で、W1シリーズの人気が最高潮に達したのは、ペダルの配置が左:シフト/右:リヤブレーキに改められたW1SA。それに次ぐのはツインキ[…]
懐かしの四角ライトに極太のブロックタイヤ 1987年に発売されたやまは「TW200」は、フロントに130/80-18、リヤには180/80-14という極太タイヤを履いたファットなオフロードスタイルで人[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の投稿記事(全体)
ヤングマシン電子版2025年9月号[Vol.634] 【海外超速報】◆ついに本気のネオクラ来た!! スズキGSX-8T/TT◆待望のゴリラ125登場? ホンダGORILLA125(MONKEY125 […]
1位:直4ネオクラシックZ400RS最新情報/予測 最強400ccモデルであるニンジャZX-4Rをベースとした直列4気筒のヘリテイジネイキッド「Z400RS」(仮称)が開発されているという噂。77ps[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
トリックスター初となるハーレー用マフラー トリックスター初となるハーレー用マフラーが、X350向けにリリースされた。今回、初の試みとして“ツインタイプ”のサイレンサーが採用されている。 X350の特徴[…]
ライディングポジション変更のおかげで操縦性も大幅アップ! 私が参戦する全日本ロードレース選手権のJ-GP3クラスは、5月下旬にシーズン初戦を迎え、私自身も今季のさらなる走りの進化に期待しているのですが[…]
- 1
- 2