
カワサキは欧州で、世界初の量産型ストロングハイブリッドを搭載するモーターサイクル「ニンジャ7 ハイブリッド」を発表した。並列2気筒エンジンは、北米などで発売されたエリミネーターに搭載される451ccをベースとしており、ハイブリッドの力により1000cクラスの瞬発力を発揮するという。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
650~700ccクラスの性能を備え、1000ccスーパースポーツに匹敵する瞬発力!!
つい最近、125ccクラスに相当する欧州A1くライセンスクラスの電動バイク「ニンジャ e-1」および「Z e-1」を発表したばかりのカワサキが、またしてもやってくれた!
上記に続いて欧州で発表したのは、モーターサイクルとして世界初の量産型ストロングハイブリッドを導入い、カーボンニュートラル時代への新たな扉を開ける「ニンジャ7 ハイブリッド(Ninja 7 Hybrid)」だ。すでにプロトタイプが公開されていたこともあって、一部ディテールは以前の情報の通りだが、今回は製品版の発表である。
ゲームチェンジャーとしての使命を帯びたニンジャ7ハイブリッドは、早くも2024年1月にショールームフロアに並ぶ予定(欧州)といい、発売間近な状態での発表となる。正式車名に追加された『7』は、700ccクラスに匹敵するマシンという意味だろうか。
ニンジャ7ハイブリッドの心臓部には、輸出仕様エリミネーターにも採用される451cc並列2気筒エンジンを採用し、マニュアルまたはオートマチックのギヤボックスを備える。φ36mm電子制御スロットルを採用し、ZX-10Rなどが採用するスリーブレスタイプのシリンダーを25°前傾して搭載する。これにトラクションモーターと最新のバッテリーを組み合わせ、59psのエンジン出力を最大で69psまでパワーアップするという。つまり、ハイブリッド機構を燃費だけでなく加速力の強化に使用しているわけだ。
この“加速装置”的なハイブリッド駆動をカワサキは「eブースト」と名付けており、これは先に登場した電動バイク「ニンジャ e-1」と「Z e-1」にも見られたもの。カワサキによれば、マシンのパッケージは650cc~700ccクラスの総合性能を備えているが、eブースト併用による瞬時の加速力では1000ccクラスのスーパースポーツモデルに匹敵するというから驚きだ。ちなみに、ニンジャe-1/Z e-1のeブーストは15秒という作動限定条件があったが、ニンジャ7ハイブリッドは5秒限定になることが明らかになった。また、ゼロ発進でも有効にすることができ、停止時に作動ONにしておくとスタートの際に加速力を強化してくれる。
それでいて、回生システムも備えていることから燃費は同社のニンジャ250と同等を確保し、さらに3つのライディングモード「スポーツ・ハイブリッド/エコ・ハイブリッド/EV」を備えるニンジャ7ハイブリッドは、3モードそれぞれに異なるキャラクターを提供、さまざまなライディング状況に対応する。ちなみにEVモードは、静けさが求められる深夜の住宅地などに最適なモードで、使用できる速度にも上限があるという、一般的なクルマのハイブリッドと同じような位置づけとなる。
ギヤシフトは左手側のボタン操作で行い、エコハイブリッドモードのATに設定しているときでも手動による介入が可能。油圧クラッチシステムはマシン側でコントロールされ、クラッチレバーは存在しない。
これらのほか、アイドリングストップ機能や、何速で停止しても発進時に自動的に1速を選択してくれる“オートマチック ローンチ ポジション ファインダー(ALPF)”、ニンジャ e-1などと同様の前進(3km/h)/後進(2km/h)可能な”ウォークモード”も備えている。
10月10日に欧州で追加公開された各モードの比較表。スポーツハイブリッドモードではMTのみでエンジンをフル活用かつeブーストが有効としているのに対し、エコハイブリッドモードはMT/ATが選べ、バランスよく使用しながらエネルギーを無駄遣いしないよう抑制している。MT設定の場合でもALPFのON/OFFは任意で選ぶようだ。ウォークモードはいずれの走行モードでも選択可。
車体は、ニンジャ400などでおなじみのスチール製トレリスフレームに、ガソリンエンジンと最大出力9kwの駆動モーターをパッケージング。理想的な前後重量配分を実現するために、車体の中心近く(具体的にはシート下)に48Vリチウムイオンバッテリーを搭載する。これらを包む外観は、マット仕上げのライムグリーンを施したアンダーカウルと、シルバー×グラックのボディワークを組み合わせた。
フルカラーTFTメーターにはライディオロジーアプリのカスタムバージョンを介したスマートフォン接続機能を採用している。
ニンジャ7ハイブリッドは、世界初の量産型ストロングハイブリッド・モーターサイクルであり、ICE(内燃機関)モデルとEVモデルの両方の要素を兼ね備えた、まったく新しいバイクとして誕生した。日本での登場も確実視されており、ジャパンモビリティショー2023などで実車を拝む機会が得られると思われる。日本仕様はエリミネーターやニンジャ400と同じ398ccになる可能性も……なくはない……?続報、早めにお願いしますカワサキさん!!!
カワサキ ニンジャ7ハイブリッド(欧州仕様)のスペック
※後日追加公開されたスペックを10月13日に追記
車名 | Ninja 7 Hybrid |
全長×全幅×全高 | 2145×750×1135mm |
軸距 | 1535mm |
最低地上高 | 130mm |
シート高 | 795mm |
装備重量 | 227kg |
エンジン型式 | 水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ |
総排気量 | 451cc |
内径×行程 | 70.0×58.6mm |
圧縮比 | 11.7:1 |
最高出力(エンジン) | 59ps/10500rpm |
大トルク(エンジン) | 4.4kg-m/7500rpm |
モーター | 水冷 永久磁石同期モーター |
定格出力(モーター) | 9.5ps/2800rpm |
定格トルク(モーター) | 2.4kg-m/2800rpm |
最高出力(モーター) | 12ps/2600-4000rpm |
最大トルク(モーター) | 3.7kg-m/0-2400rpm |
システム最高出力 | 69ps/10500rpm |
システム最大トルク | 6.2kg-m/2800rpm |
変速機 | オートメイテッドマニュアル6段リターン |
バッテリー | リチウムイオン(54V/27.2Ah)/重量13kg |
燃料タンク容量 | 14L |
WMTCモード燃費 | スポーツハイブリッド(MT)=25km/L(クラス3-2) /エコハイブリッド(AT)=27km/L(クラス3-2) |
キャスター/トレール | 25°/104mm |
タイヤサイズ前 | 120/70ZR17 |
タイヤサイズ後 | 160/60ZR17 |
ブレーキ前 | φ300mmディスク+2ポットキャリパー |
ブレーキ後 | φ220mmディスク+2ポットキャリパー |
価格 | 未発表 |
発売時期(英国の場合) | 2024年4月 |
カワサキ ニンジャ7ハイブリッド のスタイリング
ニンジャ7ハイブリッドのディテール
ニンジャ7ハイブリッドのアクセサリー
詳細は未発表ながらアクセサリー類の写真も公開されている。
【動画】24MY Ninja 7 Hybrid Studio video
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
スタートダッシュは400ccクラス並み?! 車重はわずか140kg/135kg 国産初のモーターサイクル型電動バイクをカワサキが正式発表した! まだ欧州での出来事に過ぎないと思うかもしれないが、続いて[…]
車名の後ろに排気量の数字が入るのは欧州仕様が初めて カワサキは、北米やインドネシアに続き、欧州でも451cc版エリミネーターを発表した。正式名称は「エリミネーター500」「エリミネーター500 SE」[…]
”PREPARE FOR TAKE-OFF”って……オイ! 最初に言っておきたい。これは光栄にもバイク界の東●ポと呼ばれるヤングマシンが、妄想力を逞しく発揮した記事である。カワサキが直列6気筒ターボ搭[…]
兵庫県西明石発、エンジニアリングの宝石がここに まだまだ続くよ北米で! 国内では2021年モデルの予約受注をもって販売終了が宣言されたニンジャH2/H2カーボン、およびクローズドコース専用のモンスター[…]
国旗を模した赤と白で左右非対称に塗り分ける 最新のニンジャZX-10RとニンジャZX-6Rが見たことないカラーリングに!? と思いきや、これはインドネシアが1945年8月17日に植民地支配から独立を果[…]
最新の関連記事(カワサキ [KAWASAKI])
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
スマホ連携機能で魅力を増した、ボッシュ製ARASを備える最高峰ツアラー カワサキは「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルを11月1日に発売する。カラー&グラフィックの変更およびスマートフィンア[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
Z H2 SEが進化! スマホ連携ナビが利用可能に スーパーチャージドネイキッドのフラッグシップ「Z H2 SE」の2026年モデルが9月27日に発売される。カラーリングが「メタリックマットグラフェン[…]
青ベース、白ベースそれぞれのツートーンが登場 カムシャフトの駆動にベベルギヤを用いた、美しい外観の空冷バーチカルツインエンジンを搭載(バーチカルは垂直に立ったシリンダーを指す)するW800は、360度[…]
最新の関連記事(新型EV/電動バイク)
Honda CUV e:(2025) Hondaが「2050年カーボンニュートラル社会の実現」に向けた取り組みの一環として進めている、2輪車の電動化。その歴史は1994年の「CUV-ES」から始まり、[…]
車重217kgに600ccクラスの動力性能 2週間前の9月2日に、欧州で「EV FUN Concept」の走行テスト映像を公開したばかりのホンダが、その量産バージョンのブランニューモデルを発表した。ホ[…]
両手を自由に使うことができる、新パーソナルモビリティ ホンダが2025年9月24日より、法人向けに販売を開始したのがパーソナルモビリティの「UNI-ONE(ユニワン)」です。 法律的には「移動用小型車[…]
ホンダ初の本格的電動モーターサイクルが間もなく……? 2024年秋のEICMAで世界初公開された電動二輪車のコンセプトモデル「EV Fun Concept(イーヴィー ファン コンセプト)」は、202[…]
50ccクラスは16歳から取得可能な“原付免許”で運転できるほか、普通自動車免許でもOK バイクを運転するための免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大[…]
人気記事ランキング(全体)
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
お手頃価格のヘルメットが目白押し! 【山城】YH-002 フルフェイスヘルメットが38%OFF コストパフォーマンスと信頼性を両立させた山城の「YH-002」フルフェイスヘルメット。大型ベンチレーショ[…]
後発のライバルとは異なる独創的なメカニズム 近年では、日本製並列4気筒車の基盤を作ったと言われているCB750フォア。もっとも細部を観察すると、この車両のエンジンには、以後の日本製並列4気筒とは一線を[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
世界初公開のプロトタイプ&コンセプトモデルも登場予定! ホンダが公式素材として配布した写真はモーターサイクルショー展示車および鈴鹿8耐時点のもの、つまりミラー未装着の車両だが、JMS展示車はミラー付き[…]
最新の投稿記事(全体)
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
「世界初の量産250ccDOHC水冷4気筒エンジン」が生み出す最上の乗り味 1983年3月。デビューしたてのGS250FWに乗った印象といえば「速い!というよりすべてがスムーズ。鋭い加速感はないけど必[…]
スマホ連携機能で魅力を増した、ボッシュ製ARASを備える最高峰ツアラー カワサキは「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルを11月1日に発売する。カラー&グラフィックの変更およびスマートフィンア[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
- 1
- 2