
ヤマハモーターUKが、英国で開催されるグッドウッドフェスティバルにて「XSR900 DB40 Prototype」を初披露したのは7月のこと。プロトタイプの名は付いているが、これが「XSR GP」に結びつくとの情報も聞こえてくるが──。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
欧州Yamaha Motorが投稿したのは──
“Finish this sentence: The XSR900 DB40 Prototype is ………………
”
欧州ヤマハがこんな文言を「XSR900 DB40 Prototype」の画像に沿えて投稿したのは2023年9月11日午前2時台(日本時間)。翻訳すれば「以下の文章を完成させなさい:XSR900 DB40 Prototypeとは○○である」というクイズ形式だ。以前からこれこそXSR GPになるのではと追いかけてきた我々としては、“The XSR900 DB40 Prototype is XSR GP”とアンサーせずにはいられない。
そんな「XSR900 DB40 プロトタイプ」とは何者か。以下に7月14日付の記事を再掲するので、もう一度復習してみよう。
デルタボックスフレームの40周年を記念したスペシャルモデルというが……
ヤマハのスポーツヘリテイジ最新作か?! とザワつくこと必至のスペシャルモデルが登場した。ヤマハUKが、グッドウッド フェスティバル オブ スピードでお披露目した「XSR900 DB40 プロトタイプ」は、デルタボックスフレームの登場から40周年を記念して名付けられた車名が特徴だが、これがどう見ても1980年代のWGPマシンYZR500、もしくは市販された名車TZR250あたりによく似ていて、ヤマハが商標出願しているXSR GPとの関連性を疑わずにはいられない。そこで探ってみたところ、どうやらこの姿を基本としたものになる可能性が高そうとの情報があったのだ。
どう見ても、“あの頃のヤマハ”のディテールだ。ヘッドライトは収まっていないが、造形は四角眼を連想させる。
最新のXSR900は、1980年代のWGPマシンの歴史へのリスペクトを込めたデザインとされ、初登場時にもヤマハはそれを謳う映像を多数投下している。
今回のXSR900 DB40プロトタイプは、ヤマハのカスタマイズブランドでもあるヤードビルトから発表された鈴鹿8耐マシン似の「CafeRacersofInstagram Yard Built for Good special」に続く1980年代・GPインスパイアの1台で、なんとニール・マッケンジー元GP選手(1989年にマルボロヤマハ所属、以降3年間ヤマハに乗った)のライディングによって走るシーンも一般に披露されるという。
1980年代、ヤマハはWGPシーンにデルタボックスシャーシを導入し、プレス材による特徴的な外観から、これがヤマハの高性能アルミフレームの代名詞となってきた。三角形で表されるギリシャ語アルファベットの4番目の文字「デルタ=Δ」と、箱を表す「ボックス」を組み合わせた名前で、その名の通り側面から見るとヘッドパイプとスイングアームピボットを結ぶ三角形を形成し、断面は箱型になっている。
このフレーム形状、もう最初から狙っていたとしか思えない(希望的観測含む)。右は1982年のYZR500(0W61)で、同年第2戦オーストリアGPにてケニー・ロバーツのライディングでデビューし3位入賞。第4戦スペインGPで1勝を挙げたが、タイトルには届かなかった。
ステアリングヘッドとピボットポイントの位置関係により、ライダーが必要とする剛性と優れたフィードバックが得られ、軽量化も達成できるというデルタボックスフレームは、1982年のYZR500(OW61)で最初に投入され、3年後には市販車TZR250に採用して公道へ展開された。もちろん、1998年に登場した初代YZF-R1もデルタボックスを採用していた。
XSR900 DB40 プロトタイプは、こうしたレガシーに敬意を表しながら、最新の3気筒エンジンを搭載するXSR900をベースに制作されたカスタムモデルだ。YZR500イメージのハーフカウルを装着し、フレームはアルミの地色を生かすことで存在感をアピール。スクリーンやカウルステーの造形も当時の雰囲気を感じさせるものだ。そして何より、“プロトタイプ”というからには本番モデルがあるということ、とも解釈できる。そう、冒頭でも触れた「XSR GP」に繋がるのではないか。
このほか、XSR900をカフェレーサースタイルに変身させられる純正アクセサリーも発表された模様で、バイクシェッドで発表されたRZV500R似のカスタマイズ車に続き、次々とインパクトのある発表を行っているヤマハ。これは期待しちゃうでしょう!
こちらは6月に発表されたカフェレーサースタイルのXSR900。スクエアな感じはケニー・ロバーツが駆った8耐マシンを思わせる!
「新型XSR900 デザイン開発思想」の動画はこちら↓
「ヤードビルト XSR900カフェレーサー」の動画はこちら↓
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
グッドウッドに試作機登場! XSR GPは発表間近か 1982年のWGPレーサー、YZR500に初めて採用され、衝撃を与えたアルミデルタボックスフレーム。その3年後、公道市販車のTZR250に初導入さ[…]
900F/900LC/700LCの写真をまとめて見る XSR900('22)をRZV500R/RD500LC/RZ500風に! RZV500Rはともかくとして、RD500LCやRZ500という車名をご[…]
そりゃあプロのCGアーティストのようには作れないけどさ これから掲載する写真やCGはまったく根も葉もないものであり、噂にすら上っていない。カスタムの素材としての新型XSR900の魅力に迫りたいという思[…]
日本と世界のチャンピオンによる夢のペア――走る前から期待は高まるばかり。実際、走り出せばキング・ケニーは他を圧倒。しかし――もしそのまま順調に勝っていたら、これほど語り継がれることはなかったかもしれな[…]
エンジンの命脈を繋ぎ、その利点を活かせる1台を! 電気に水素、ハイブリッドと次世代系で2輪界の先頭を走るカワサキだが、2022年のミラノショーで「30機種のエンジン車導入」をカワサキモータースの伊藤浩[…]
最新の関連記事(XSR900)
日本限定カラーの「アイボリー」のスタイング&主要諸元 新型2025年モデルXSR900のトピックスはなんといっても、日本市場だけの限定カラー「アイボリー(正式名称:セラミックアイボリー)」である。往年[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
”XSR900”の登場によりカジュアル寄りに回帰 2024年モデルまでのXSR900は、初代モデルに対し“レーシングヘリテイジ”を標ぼうすることで1980年代のレーシングマシンカラーをまとい、走りもス[…]
“Neo Retro”ロードスポーツ:2016年モデル 発売は2016年4月15日。現代的ストリートファイターのMT-09をベースに、アルミタンクカバーなど金属の質感を活かした専用外装などでネオレトロ[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能 ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最[…]
ヤマハの社内2stファンが復活させたかったあの熱きキレの鋭さ! 「ナイフのにおい」R1-Z の広告キャッチは、ヤマハでは例のない危うさを漂わせていた。 しかし、このキャッチこそR1-Zの発想というかコ[…]
空冷ビッグネイキッドをヤマハらしく時間を費やす! 1998年、ヤマハは空冷ビッグネイキッドで好調だったXJR1200に、ライバルのホンダCB1000(Big1)が対抗措置としてCB1300を投入した直[…]
TMAX生誕25周年! 特別装備満載の記念モデルが登場! ヤマハは、”オートマチックスポーツコミューター”という独自のジャンルを築き上げた「TMAX」の誕生25周年を記念し、特別仕様車「TMAX560[…]
インホイールモーターなど車体のベースはホンダ製 ヤマハが原付一種の電動スクーター「JOG E」を市販する。2002年に量産初の電動二輪車「パッソル(Passol)」を日本国内で発売して以降、原付一種E[…]
人気記事ランキング(全体)
400で初のV4でもホンダ・ファンは躊躇なく殺到! 1982年12月にリリースされたVF400Fは、このクラスでは12,500rpmの未経験な超高回転域と0-400mを13.1secという俊足ぶりもさ[…]
快適性とスタイルを両立するスクリーン&バイザー 長距離ツーリングの快適性を求めるライダーにとって、風防効果の高いスクリーンは必須アイテムだ。「ブラストバリアー 車種別キット(スモーク)」と「エアロバイ[…]
バイクはお兄さんの影響 メグミさんは昔からバイクに興味があったのだと言います。 「兄が二人いて、どちらもバイクに乗っていたんです。小さいときからその様子を見ていたので、自然に自分も乗りたいと考えるよう[…]
世界のバイクメーカーをビビらせた初のアドベンチャーモデル オールドファンならご存じのBSAはかつてイギリスで旋風を巻き起こしたバイクメーカー。ですが、1973年には一旦その幕を下ろし、2016年にイン[…]
APトライク250って高速道路で通用するの? チョイ乗り系トライクとして知られるAPトライク125は、125ccという排気量ながら「側車付き軽二輪」という区分のおかげで高速道路を走れます。しかしながら[…]
最新の投稿記事(全体)
67年前に独自の車体構成で誕生したスーパーカブ 今から67年前の1958年に誕生したスーパーカブC100は、ホンダ創業者の本田宗一郎氏と専務の藤澤武夫氏が先頭に立って、欧州への視察などを通じて新機軸の[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
電子制御CVTがもたらすワンランク上の加速性能 ヤマハ軽二輪スクーターのNMAX155は、ʼ25年型で大幅進化。パワーユニットの熟成、リヤのストローク5mm延長を含む前後サスペンションのセッティング最[…]
ヤマハの社内2stファンが復活させたかったあの熱きキレの鋭さ! 「ナイフのにおい」R1-Z の広告キャッチは、ヤマハでは例のない危うさを漂わせていた。 しかし、このキャッチこそR1-Zの発想というかコ[…]
BSA復活を世界の二輪市場に知らせる2台の新型車 BSAブランドが再び動き出したのは2016年。自動車や二輪車、物流や不動産など多角的に事業を展開するインド/マヒンドラ・グループが、新たに起ち上げたク[…]
- 1
- 2










































