
低価格かつ高機能で日本のアパレル業界を牽引する存在の一つとなったワークマンが、企業や大学とのコラボ製品を生み出す「快適ワーク研究所」を設立。そのラインナップの中から、ライダー向きのアイテムを紹介する。本記事では、”アイス&ヒーターペルチェベスト”の製品概要と冷感/温熱効果について取り上げる。
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:山内潤也 柴田直行 ●外部リンク:ワークマン
冷却も温熱もこれ1着でOK! ワークマンの”アイス&ヒーターペルチェベスト”
ワークマンは2023年2月、労働寿命の延伸を目的とした「快適ワーク研究所」を設立し、同時にいくつかのラインナップを発表した。中でも大注目のアイテムがこのアイス&ヒーターペルチェベストだ。
パナソニックホールディングスの完全子会社であるシフトールと、ワークマンとのコラボによって誕生したこのペルチェベスト。シフトール社はすでにメタバース内で温度を感じられるウェアラブルサーモデバイスを商品化しており、そのテクノロジーを応用したのがペルチェベストなのだ。
商品名の由来となっているペルチェ素子は、電極の入れ替えにより冷却と温熱の両機能を持つのが特徴で、実際の製品ではアルミプレートを通じて冷たさや温かさを体へ伝える。
スイッチはアイスモード、ヒーターモードともオンオフのみで、細かな温度調整はできないが、付属以外のモバイルバッテリーが予備電源として使える点は大きなアドバンテージと言えるだろう。
【ウィンドコア ICE×HEATER ペルチェベスト】●価格:1万9800円 ●アイスモード:最大約10℃ ●ヒーターモード:最大約43度 ●サイズ:F ●付属品:ベスト/ペルチェデバイス/USBケーブル/モバイルバッテリー/取扱説明書/保証書
これがデバイス本体で、実測サイズは約90×99×39mm。アルミ製の温調プレートが冷却&温熱する仕組みで、76cm²というプレートの面積はこの種では最大級だ。電源スイッチからモバイルバッテリーまでが1本の配線でつながっているという、非常にシンプルな構成となっている。付属バッテリーによる持続時間は、アイスモードで約5.5時間、ヒーターモードで約10時間が目安となっている。
ペルチェデバイスは3本のベルトで背中側にフローティングマウントされており、高さが微調整できるようになっている。これはフルハーネス型安全帯との干渉位置を調整する狙いもあり、ワークマンならではの配慮と言えるだろう。
ペルチェデバイスの厚みはこの程度で、背面プロテクターとの干渉が気になる場合はベルトで高さを調整しよう。アイスモード使用時は通気性のいいジャケットを着用のこと。
5V10000mAhのON-LIFE製モバイルバッテリーが付属する。収納場所は左胸のこの位置だ。なお、動作保証外とはなるが、市販のモバイルバッテリーで駆動することも可能だ。
電源のオンオフを兼ねたシンプルな操作スイッチ。どちらかを長押しすれば電源オンとなり、反対側の短押しでオフに。ランプが点灯するので夜間でも操作しやすい。
アイスモード時は内部のヒートシンクが高温となるため、それを外部へ逃がすための空冷ファンが内蔵されている。その音量は極めて小さく、ほとんど気にならない。
ベストの前身頃は2本のベルトで閉じる仕組みだ。両肩にあるベルトはデバイスとつながっており、ベストを着用した状態でも高さをアジャストできるのはうれしい。
ベストの後ろ身頃とサイドには伸縮性に優れるメッシュ生地が使われており、デバイスがうまく体に密着するよう優しくサポート。各部のロゴは生地と同色とされる。
赤外線サーモグラフィーでペルチェベストの冷却/温熱効果を可視化!
このペルチェベスト、アルミプレートが冷たさや温かさを伝える直冷方式なので、アンダーウエアのすぐ上に羽織ると効果を実感しやすい。
アイスモードはゴム製の氷枕を押し当てられているようなヒンヤリ感、ヒーターモードは使い捨てカイロを思わせる優しい温かさで、どちらもスイッチを入れてから10数秒でそれを実感できる。
夏日の某日、炎天下のアスファルトにペルチェベストを広げてテストを決行。アルミの温調プレートが直射日光に照らされるという悪条件の中、果たして実力やいかに…。
アイスモードのスイッチを入れてわずか10数秒でアルミプレートの表面温度が18度台まで低下し、触ると明らかに冷たかった。ちなみに室内では10度まで下がったことを確認。
続いてヒーターモード。中心部からみるみる温度が上がり、こちらも10数秒でほぼスペック通りの42度に到達した。一般的な電熱ウエアのミドルモードぐらいの温かさだろう。
テストで使用したのはフリアーシステムズの赤外線サーモグラフィー。-20度から120度まで測定することができるほか、温度分布や温度差がカラーパターンで分かるという優れものだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(夏の暑さ対策)
Paceプロジャケット 豊富な安全装備と快適な着心地を高次元でバランスした、ワインディングやロングツーリングに最適なライディングジャケット。腕と肩のトリムには、スチールとプラスチックを組み合わせたコン[…]
電子の力で瞬時に冷却する「ペルチェ素子」を採用 このベスト最大の売りは、その冷却システムに「ペルチェ素子」を採用していること。これは、半導体の一種で、電気を流すと素子の片面が熱を吸収(冷却)、もう片面[…]
夏も活発に過ごしたいライダーに役立つ機能満載 この「バグクリア アームカバー」には、夏の活動を快適にするための複数の機能が備わっている。 蚊を寄せつけない防蚊機能 生地の染色段階で、天然の殺虫成分「ピ[…]
最新ペルチェ素子搭載の冷暖両用ベスト ライダーの体温管理に革命をもたらすかもしれない画期的な新商品が、おたふく手袋が手がけるBODY TOUGHNESSブランドから登場。それが、「BT アビリティ ペ[…]
2層構造ポリエステル生地が生み出すドライ性能 「ドラスティックドライ」シリーズの最大の特徴は、独自に開発された2層構造のポリエステル生地にある。この特殊な生地構造は、肌に接する内側の層と、外側の層で異[…]
最新の関連記事(ワークマン)
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
コーデュラ(R)ユーロ3Dメッシュジャケット:プロテクションと通気性を両立 ライダーの安全と快適を追求した一着。腕部分には耐摩耗性に優れたコーデュラ(R)素材を採用。万が一の転倒時にもダメージを軽減す[…]
インフレの今、価格破壊王のワークマンがまたやってくれた! 春から初夏にかけ、ツーリングのシーズンがやってきた。爽やかな空気を全身に浴びてのライディングは最高だ。しかし…この期間はジメジメ・シトシトの梅[…]
コラボモデルは継続販売、新作も生地は同スペックだ 昨年、Honda二輪デザイナー監修の「イナレムプレミアム レインジャケット ライディングモデル(4900円)」を発売したワークマン。これが大好評だった[…]
もう文句は言わせない!? 黒の6LサイズをWEB限定で販売 昨年、Honda二輪デザイナー監修の「イナレムプレミアム レインジャケット ライディングモデル(4900円)」を発売したワークマン。これが大[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
『ヤングマシン電子版7月号』WEBマガジンの閲覧も読者プレゼント応募も”無料”! 現在、当サイトのトップページに掲載中の『ヤングマシン電子版7月号』において、豪華商品が当たる読者プレゼントを実施中だ![…]
Paceプロジャケット:高い安全性と通気性を両立 前面のMロゴがスポーティな印象を与える新作ジャケット。伸縮性と耐摩耗性に優れたアウター素材が、ワインディングからロングツーリングまであらゆるシーンで動[…]
ドリームはホンダ初の本格バイク 1947年のA型からプロトタイプのB型(1948年)、エンジンに加え自転車フレームも初めて自社製としたC型(1949年)を経て1949年8月に登場したのがドリームD型と[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
- 1
- 2