
’21年3月、インドのロイヤルエンフィールドがクロスオーバー「スクラム411」を発表。ついに日本にも上陸した。ベース車両はアドベンチャーモデルのヒマラヤで、フロントホイールを21→19インチ化し、ヘッドライトをハンドルマウントに。果たしてその走りは?
●まとめ:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド
【ROYAL ENFIELD SCRAM 411】■全長2210 全高1165 シート高795(各mm) 車重194kg ■空冷4スト単気筒SOHC2バルブ 411cc 24.3ps/6500rpm 3.2kg-m/4250rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=120/90-17 ●色:黒×青 黒×黄 白×赤 銀×青 黒×赤 黒×赤金 青×銀 ●価格:83万8200円~85万3600円
【ライディングポジション】シート高はヒマラヤより5mm低い795mm。ハンドル幅は840mmで共通だ。このクラスとしてはやや大柄な印象か。[身長175cm/体重68kg]
[◯] 癒やし系単気筒が絶品。ハンドリングも優秀だ
ロイヤルエンフィールド初のアドベンチャーモデルであり、’18年から日本でも販売がスタートしたヒマラヤ。これをベースにフロントホイールを21インチから19インチとし、都会的な外装を与えられたのがスクラム411だ。燃料タンクや灯火類を流用しながらも、完全に別のモデルへと昇華させた手腕には脱帽だ。
まずはエンジンから。ロングストロークの411cc空冷SOHC2バルブ単気筒は、フライホイールの重さを感じさせる粘り強さと、牧歌的な吹け上がりが特徴だ。ローでレブリミットまで引っ張ると50km/hをわずかに超えるが、トルクの盛り上がりを感じるのは30km/hぐらいまでで、そこから先はパワーカーブが横ばいになるイメージだ。特に気に入ったのは、高回転域まで回しても微振動が過大にならないこと。歯切れのいい排気音とは裏腹に、体に伝わるのは重いクランクが生むスムーズな回転フィールだ。早めにポンポンとシフトアップし、低中回転域でそれを感じながら流すのが、スクラム411の粋な楽しみ方だろう。
続いてハンドリングだ。フロント21インチのヒマラヤは、50km/h付近から上の速度域で操舵が重くなる傾向にあり、それもあってヘッドライトをフレームマウントにしたのかと勘ぐるほどだった。これに対してフロント19インチのスクラム411は、そうしたネガは一切なく、穏やかな舵角の付き方と柔軟なフレームが生む接地感の高さは、バランスのいい旧車を彷彿させるものだ。ホイールトラベル量はヒマラヤ比でフロントのみ200mmから190mmへとわずかに短縮されているが、リヤは180mmのままであり、未舗装路での走破性を捨てていないことが分かる。また、これにより乗り心地がいいことも見逃せないポイントだ。
ブレーキ性能は、前後キャリパーにバイブレ製を採用していることもあってかコントローラブルで、ABSの介入も特に不満はなかった。単なるバリエーションモデルの域を出た完成度の高さに感心。カラバリが豊富なのも魅力と言えよう。
[△] 11ccオーバーのために大型二輪免許が必要だ
ヒマラヤ登場時にも指摘されていたが、このスクラム411も排気量が400ccを超えるため、普通二輪免許では公道を走れない。それと、メーターやスクリーンなど機能部品のいくつかが省略されているのに、日本での価格はヒマラヤより高いというのも気になるところ。
[こんな人におすすめ] 最新シングルは味でも語れる名機が多いぞ!
以前試乗したベネリのインペリアーレ400やホンダのGB350など、最新技術で設計された空冷シングルの味わいに感心しきり。このスクラム411はエンジンだけでなく、ハンドリングも旧車好きのベテランの心に刺さりそうだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ロイヤルエンフィールド)
そもそもボア×ストロークって? 最近ロングストロークという表現をみる。エンジンのピストン往復が長いタイプのことで、バイクのキャラクターを左右する象徴として使われることが多い。 これはエンジン性能で高い[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]
そもそも”アメリカン”バイクとは? 一般にクルーザーとも呼ぶが、車体の重心やシート高が低く、長い直線をゆったり走るのに適した設計のバイク。ハーレーダビッドソンなどのアメリカ車に代表されることから、アメ[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc 400ccクラスは、普通二輪免許を取ってから間もないビギナーも選ぶことができる排気量帯で、16歳から乗ることができる。 そんな400cc[…]
アメリカンカラーの特別モデル 英国にルーツを持つロイヤルエンフィールドと、北米発で独自の存在感を示すアイコン・モータースポーツがコラボレーション。世界限定100台/アジア太平洋地域限定25台/日本限定[…]
最新の関連記事(試乗インプレッション/テスト)
純正以外では世界では初のゴールドウイング専用品 GL1800・ゴールドウイング専用にサイズ展開 そして2つ目の画期的な要素は、ゴールドウイングに適合する既存のアフターマーケット製タイヤが、あくまでもク[…]
車格は250ccクラスと同等 CB125Rは250ccクラスと同等の車格を持つMTの125ccです。言われなければ125ccには見えず、大きなバイクと一緒に走っても遜色のない迫力を持っています。 エン[…]
街限定ではもったいない、意外なほどのツアラー性 10月下旬に鈴鹿サーキットで開催された全日本ロードレース選手権の2024年最終戦で、初めて表彰台に立つことができました。トップ争いが最終ラップに混乱して[…]
“スキニープロポーション”が際立つスリムなデザイン YZF-R7を前にして改めて驚かされるのは、そのスリムなプロポーションだ。同じエンジンとメインフレーム(フレームの違いについては後述)を共用するMT[…]
SC77のエンジンを搭載しながら134万2000円、オーリンズ&ブレンボのSPでも158万4000円 エンジンが抜群に気持ちいい! ホンダが2025年1月23日に発売した新型モデル「CB1000ホーネ[…]
人気記事ランキング(全体)
エンジン積み替えで規制対応!? なら水冷縦型しかないっ! 2023年末にタイで、続く年明け以降にはベトナムやフィリピンでも発表された、ヤマハの新型モデル「PG-1」。日本にも一部で並行輸入されたりした[…]
伸び伸びとテストできるサテライト、開発が大変なファクトリー 前回は、「自分に合ったマシンを作ってもらえるかどうか」という話からずいぶん脱線してしまいました(笑)。「自分に合ったマシンを作ってもらえるか[…]
復活第1弾はヤマハXSR900GP用! 日本を代表するレーシングコンストラクター・モリワキエンジニアリング。彼らがオリジナルのアルミフレームにホンダ製エンジンを搭載した“モリワキ・ゼロ”で全日本選手権[…]
いざという時に役に立つ小ネタ「結束バンドの外し方」 こんにちは! DIY道楽テツです。今回はすっごい「小ネタ」ですが、知っていれば間違いなくアナタの人生で救いをもたらす(大げさ?)な豆知識でございます[…]
94モデル(MC28)から採用された「カードキーシステム」 電気(電装関係)にまつわる秘密や伝説が多いのも、ホンダNSR250Rの面白さである。「ハチハチでは配線を1本抜けばリミッターカットできる」と[…]
最新の投稿記事(全体)
塗装の仕上がりは段取り次第。作業前と作業後に必要な用品にも注目 塗装するパーツが小さなエンジンカバーなのか、ガソリンタンクなのかで、難易度や緊張感は異なるものの、作業に必要な道具には大差はない。エアコ[…]
空冷エンジンのノウハウを結集【カワサキGPz1100】 航空機技術から生まれたハーフカウルと、レース譲りのユニトラックサスを装備。 さらに、Z-GP以来の燃料噴射装置を採用。インナーシム化や多球形燃焼[…]
純正以外では世界では初のゴールドウイング専用品 GL1800・ゴールドウイング専用にサイズ展開 そして2つ目の画期的な要素は、ゴールドウイングに適合する既存のアフターマーケット製タイヤが、あくまでもク[…]
そもそもボア×ストロークって? 最近ロングストロークという表現をみる。エンジンのピストン往復が長いタイプのことで、バイクのキャラクターを左右する象徴として使われることが多い。 これはエンジン性能で高い[…]
16歳から取得可能な普通二輪免許で乗れる最大排気量が400cc! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外[…]