
昭和50年代は、免許制度の改正により人気が中型に集中し始めた時代だ。ここではレプリカブーム以前、中型黎明期のヒット作を紹介する。’80年10月(昭和50年)、中免誕生とともに国産各社は中型のラインナップを整えることになったが、その最初のモデルと言えるのがこのCB400FOURだ。 ※ヤングマシン2009年9月号掲載記事をベースに再構成
●文:ヤングマシン編集部 ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU
あの頃の中型 青春名車録「元祖中型限定」(昭和51年)
CB400FOUR(CB400フォア)は、CB350フォアをベースとしたリニューアルバージョンとして’74年12月(昭和49年)に発売。クラス唯一のSOHC4気筒エンジンを登載、海外で流行の兆しのがあったカフェレーサーのスタイリングを取り入れ、低いコンチハンドルや管楽器のように美しい集合マフラーを備えて話題となった。当初は、408ccの排気量だったが、’75年10月(昭和50年)の免許制度改正により、’76年3月(昭和51年)からは398cc仕様も用意された。
あの頃の中型をテーマにした試乗として、最後に取り上げたのがこのCB400フォア-I。動画のテスターは丸山浩さんだ。
【HONDA CB350FOUR 1972年5月(昭和47年)】CB400フォアの前身がこの350。兄貴分のCB750/500フォアをのままスケールダウンしたかのような構成だった。最高出力は34ps。
HONDA CB400FOUR-I/II
’72年に発売されたCB350フォアは、当時、クラスで唯一の4気筒で、4本出しマフラーを採用するなど豪華装備を誇ったが、より安価で軽快な2気筒モデルや上級機種に挟まれ販売は苦戦した。何しろまだ中型免許がなかった時代である。その打開策として、排気量に関係なく魅力的なデザインを盛り込んだモデルとしてCB400フォアが企画された。そこで取り入れられたのが、当時海外で流行していたカフェレーサーのスタイリング。デザイナーに佐藤允弥(まさひろ)氏、プロジェクトリーダーに寺田五郎氏を迎えて開発が進められた。燃料タンクはできる限り長くデザインされ、ダブルシートは側面に鋲をあしらった。
そして、408㏄だったヨンフォアに’76年3月(昭和51年)に追加された398㏄仕様が、CB400フォア-IとCB400フォア-II となる。従来のスタイルを維持するモデルがIで、グリップ位置が高くなるセミアップハンドルのIIも用意し、ユーザー層の拡大を意識。しかし、さすがにその走りは2サイクル勢には及ばず、加えていささか高価だったこともあって、スタイルの評判とは裏腹に大ヒットを放つには至らなかったのである。
主要諸元■全長2050 全幅705[780] 全高1040 軸距1355(各mm) 車重184kg■空冷4スト並列4気筒SOHC2バルブ 398cc 36ps/8500rpm 3.1kg-m/7500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量14L■ブレーキF=ディスク R=ドラム■タイヤF=3.00-18 R=3.50-18■新車当時価格:32万7000円 ※[ ]はII
【HONDA CB400FOUR 1974年12月(昭和49年)】初代ヨンフォアは、写真のバーニッシュブルーとライトルビーレッドの2色。■408㏄ 37ps/8500rpm 3.2kg-m/7500rpm 新車当時価格:32万7000円
【HONDA CB400FOUR-I 1976年3月(昭和51年)】従来のヨンフォアに追加された398ccの中免仕様は、エンジンのストロークが1.2㎜短縮された。また、タンデムステップがフレームマウントでサイドカバーが黒となるのも398㏄の特徴。
【HONDA CB400FOUR-I 1976年3月(昭和51年)】Ⅱはセミアップハンドルとなる。398cc仕様は、ライトルビーレッドと写真のパラキートイエローの2種類となる。1977年5月(昭和52年)に生産終了。
「あの頃の中型 青春名車録」はパート1~5までの連載で、中型モデルが輝き始めた昭和50年代の人気車を5回に分けて動画とセットで紹介し、これにて完結。「自二車は中型二輪に限る」と運転免許証の条件に記載された最初の世代に送る「あの頃」のバイク特集だ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
昭和50年(1975)10月1日に免許制度が改正され、401cc以上のバイクに乗るためには大型免許(=限定なしの自動二輪免許)が必要になった。しかも、大型免許は教習所で取得することができなくなり、運転[…]
俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.2 ヤマハ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.3 スズキ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.[…]
俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.1 ホンダ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.3 スズキ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.[…]
俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.1 ホンダ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.2 ヤマハ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.[…]
俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.1 ホンダ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.2 ヤマハ編】はこちら俺たちの青春バイク!【ヨンヒャクが熱かった!Vol.[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
レーサーポジションでもツーリングするカルチャーを育んだGSX-R1100! 1985年、サーキット最速を目指した新世代の油冷エンジンに超軽量なアルミ製ダブルクレードルのスーパースポーツ・GSX-R75[…]
同時代の旗艦とは異なる改革の旗手としての資質 新技術はビッグバイクから。昨今の2輪業界ではそれが常識になっているけれど、’80年代は400ccが改革の旗手となるケースが珍しくなかった。CB[…]
ライバルを突き放す90°Vツインと高剛性に低重心の新次元を構築! ヤマハRZ250の切り開いた2スト復活劇から、レーシングマシンのレプリカブームへとエスカレートさせたのは、1983年のスズキRG250[…]
売上げ増大のためにあえて小型マシンを発売 ハーレーダビッドソンは1969年に経営難から株式を公開し、AMFという機械メーカーの傘下に入ったことがあります。ハーレー/AMF時代が1984年まで続いたこと[…]
250でもビッグバイクと同じレベルのクオリティを! ヤマハは1988年に250ccのアメリカンクルーザー、空冷60°VツインのXV250 Viragoをリリースした。 それは250ccの片側125cc[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
同時代の旗艦とは異なる改革の旗手としての資質 新技術はビッグバイクから。昨今の2輪業界ではそれが常識になっているけれど、’80年代は400ccが改革の旗手となるケースが珍しくなかった。CB[…]
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転可 バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原[…]
テールデザインでトラディショナルから新世代を意識させる! 1992年に発表後、実に30年間という史上まれにみるロングセラーだったCB400 SUPER FOUR。 その経緯にはいくつか節目となるモデル[…]
過渡期に生まれながらもマシン全体の完成度は抜群 ’59年にCB92を発売して以来、各時代の旗艦を含めたロードスポーツの多くに、ホンダはCBという車名を使用してきた。そして昨今では、ネイキッド:CB、カ[…]
人気記事ランキング(全体)
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
※走行写真は欧州仕様 航続距離はなんと362km! ヤマハは、2025春に開催された大阪モーターサイクルショーにて「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のコンセプトモデルをサプライズ展示。従来型の[…]
125ccクラスは16歳から取得可能な“小型限定普通二輪免許”で運転可 バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原[…]
500km/hの速度の鉛玉も防ぐ! SHOEIがキャリーケース事業をスタートする。これまでに培ってきたヘルメット製造技術を活かした新規事業で、GFRPを用いた質感と堅牢性、強固なフレーム構造による防犯[…]
充実してきた普通二輪クラスの輸入モデル この記事で取り上げるのは、日本に本格上陸を果たす注目の輸入ネオクラシックモデルばかりだ。それが、中国のVツインクルーザー「ベンダ ナポレオンボブ250」、英国老[…]
最新の投稿記事(全体)
何でもありルールに世界のメーカーが飛びついた WRCグループBカテゴリーは1982〜86年まで続いたラリー競技。レース好きならご存じの通り、レギュレーションはほぼ「何でもあり」的なニュアンスでした。レ[…]
レーサーポジションでもツーリングするカルチャーを育んだGSX-R1100! 1985年、サーキット最速を目指した新世代の油冷エンジンに超軽量なアルミ製ダブルクレードルのスーパースポーツ・GSX-R75[…]
タフネスと優しさを両立した水冷エンジン「シェルパ450」 インド北部にそびえるヒマラヤ山脈は、ロイヤルエンフィールドにとって、ひいてはインド人にとって、いつでも憧れの旅路だ。そんな憧憬が表れているモデ[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
同時代の旗艦とは異なる改革の旗手としての資質 新技術はビッグバイクから。昨今の2輪業界ではそれが常識になっているけれど、’80年代は400ccが改革の旗手となるケースが珍しくなかった。CB[…]
- 1
- 2










































