“普通車の半額”を多くのライダーが望んでいる!

バイクの高速道路料金、“普通車の半額”を目指して【令和5年度 バイクの課題はどうなるPART①】……〈多事走論〉from Nom

令和5年度(2023年度)がはじまりました。バイクブームと言われるほどの伸長を見せたここ数年ですが、これまでの勢いをどうやってキープしていくのか──。大きなテーマになりそうなものが2つあります。今回はそのうち、高速道路料金についての考察をお届けします。

令和5年度、バイクを取り巻く環境を整備していくために必要なこととは

4月1日、エイプリルフールではなくて、ここ日本においてはさまざまなものの1年が始まる日です。

学校もそうだし、官公庁、多くの一般企業でも4月1日から令和5年度という新しい「年度」、「期」がスタートしました。

この令和5年度を迎えるにあたり、バイクの世界では今年度にはどんな課題が横たわっているのか、あらためて考えてみようと思います。

コロナ禍でライダーが増え、バイクの販売台数も増加し、パーツやウエアも新規需要を取り込んで大きく伸長した過去数年でしたが、どうやらその勢いも底を打ち始めたようで、先日開催された東京モーターサイクルショーでも「今年が正念場」、「これまでの勢いをキープできるよう必死にやる」という関係者の声が多く聞こえました。

バイク関連企業でできることはそちらにお任せするとして、バイクを取り巻くさまざまな課題にはそういう民間企業ではどうにもならないものもあります。

その中でも、令和5年度に何らかの新たな動きを見せてもらいたいものが2つあります。

ひとつは、長年の課題であるバイクの高速道路料金の適正化と、2025年10月に施行される予定の新排ガス規制によって絶滅の危機に瀕している原付の問題です。

どちらもバイクの世界にとって大きなことですが、方向性があまりに違うため一緒に論じるわけにもいかないので、2つに分けて考察したいと思います。まずは、このコラムでも何度も取り上げてきた高速道路料金から始めましょう。

いつでも、どこでも普通車の半額の実現を望む!

誰もがご存知のように、現在、バイクの高速道路料金は軽自動車と同じになっています。高速道路料金の起算基準は、道路に与える負荷が主な要因となっていて、車体が大きい、重量が多いなど、道路に対する攻撃性によって5つの区分があります。

ただ、この区分の中で車重が700kg近い軽自動車と、重いものでも300kg程度のバイクが同じ区分になっているということが、普通に考えておかしなことだというのがそもそもの出発点です。

高速道路料金が100kmを超えると適用される定率割引(トップ画像参照)と、高速道路を定額料金で自由に乗り降りできるツーリングプランのふたつが4月1よりスタートした。

バイク業界はこの不公平な高速道路料金を是正するために長年にわたり抗議行動を行ってきて、オートバイ議連という政治の力も借りながら、一昨年に土日休日・ETC装着車限定、片道100km以上の走行というハードルを課せられながらも軽自動車の8分の5=普通自動車の半額という、多くの人が納得できる料金を実現することになりした。

昨年の4月2日から実施されたこの「二輪車定率割引」は、おそらく国交省や各高速道路会社が予想するよりも積極的にライダーに利用され、ほぼ同時に行われた、こちらも使い用では普通車の半額の高速道路料金になる「ツーリング割引」をはるかに超える利用実績を残しました

この事実を受けて、バイク業界側も、そして大きな力になってくださったオートバイ議連側も、二輪車ETC定率割引に課されているさまざまなハードルを取り払い、1年365日、いつでも普通車の半額という高速道路の二輪区分の新設を推し進める動きが出てきました。

本誌でインタビューした、自民党オートバイ議連で座長を務める三原じゅん子参議院議員も、「年内に、PT(自民党オートバイ議連プロジェクトチーム)で2022年の定率割引についての総括を行い、2023年4月からの新たな定率割引の形を提言したい」とおっしゃっていましたが、残念ながらいまのところ大きな動きはなく、PT内での細かな調整にとどまっているようです。

その代わりとはならないにしても、例年、4月下旬からスタートしていた「ツーリング割引」と、2年目になる「二輪車定率割引」が新年度早々の4月1日から開始されることになりました。これも業界側から早く始めて欲しいという強い働きかけの効果とのことです。

定率割引の利用は25万4000件、対してツーリングプランは半分以下の11万2080件

ではあらためて、このふたつの高速道路料金の割引サービスについて見てみましょう。

まず、NEXCO3社と宮城道路公社管轄の道路で実施されるETC限定の「二輪車定率割引」は、ETCを搭載したバイクで土日休日に対象道路を走行する場合、事前にNEXCOの中日本のウェブサイトで利用日を申し込み、利用日当日に対象道路を片道100㎞以上走行した場合に高速道路料金が普通車の半額に割引されるというものです。

二輪車定率割引を利用する際は、NEXCO中日本のサイト内の「早旅」にアクセスして必要事項を記入して事前申し込みをする必要がある(上左図)。定率割引が適用されるには片道100kmの走行が必要だが、上右図のように必ずしも連続走行ではなく、合計走行でも適用になる場合があるので、走行ルートを事前によく確認したい。

定率割引が適用されるのは、高速道路に流入(乗る)、あるいは流失(降りる)がいずれも土日休日である場合に加え、流入またが流失のどちらかが土日休日にかかる場合も対象となる。

昨年の「二輪車定率割引」がスタートした日に、筆者は事前申し込みをして実際に試してみましたので、そちらのレポートを参考にしていただきたいのですが、片道100㎞というのは意外にも高いハードルであることが分かりましたが、同時にこの事前申し込みというのが、高速道路に乗って目的のICで降りるまでの間に行えばOKというフレキシブルさも持っていることが判明。

うっかり事前申し込みをするのを忘れて高速道路を走り始めても、申込み忘れに気づいた時点で(ただし、高速道路を降りる前に)前述のウェブサイトで申し込みをすれば定率割引が適用されます。

ツーリングするのは土日休日が多い方は、使わないともったいない割引です。

もう一方の「ツーリングプラン」ですが、こちらは対象エリアの高速道路が最大2日間または3日間の間、定額で乗り降り自由となる割引で、今年もNEXCO3社合わせて全20コースが4月1日から11月30日(北海道は10月31日まで)まで用意されています

ツーリングプランは平日も利用可能なので、フレキシブルに休暇が取れる方はこちらを利用するのも手。ただ、人気ツーリングエリアである北海道の昨年の利用件数が680件、同じく九州が4900件という数字を見ると、やはり使い勝手があまりよくないことが分かる。

こちらは定率割引とは異なり、平日も利用可能となっていますが、あらかじめ設定されているルートに自分が行きたいコースがないこともあるなど、使い勝手がいまひとつ。

そのため、定率割引の利用者が昨年はNEXCO3社合わせて25万4000件だったのに対し、ツーリングプラン利用者は同じくNEXCO3社合わせて半分以下の11万2080件にとどまっています。

とはいえ、令和5年度に関しては、ご自分のツーリングの仕方に合わせて、この2つの割引プランを上手に使って、少しでもお得にバイクライフを楽しんでください。

高速道路料金の自民党PTの動きがあれば、当WEBでお伝えすることにします。

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