GSR250をベースに’17年4月に発売されたフルカウルスポーツ、スズキGSX250R。’23年3月20日に新排ガス規制に適合した新型が発売されているが、その直前に仕様変更前のモデルに試乗していたので紹介しよう。
●まとめ:大屋雄一 ●写真:柴田直行 ●外部リンク:スズキ
[◯] 常用域特化の動力性能、高い接地感は感動モノ
激化する一方の250スポーツカテゴリーにおいて、一服の清涼剤とも言える存在がスズキのGSX250Rだ。国内ライバル3車がいずれも35psを超えるのに対して、GSXは10ps以上も低い24psを公称。さらに車重も、170kgを下回るライバルたちに対して181kgと重い。
このように、スペック的に秀でる部分はほとんどないが、走らせての満足度は非常に高い。最大トルクはニンジャ250と並んで最も少ないのだが、それを6500rpmという低めの回転域で発生するので、市街地で多用する常用域ではむしろ力強く感じられるのだ。8000rpmから上での伸び上がりはライバルに一歩譲るが、普段使いならそれに不満を覚えることはないだろう。
そして、ハンドリングもこうしたエンジン特性に合ったものだ。舵角の付き方が穏やかで、なおかつバンク角を保持する力が強いので、車体を傾けてさえしまえばバイク任せでグングンと向きを変えてくれる。こうした特性は、外径の大きな80偏平のフロントタイヤによるところが大きいように思う。また、派生モデルのアドベンチャー、Vストローム250と比べてみても、前後のタイヤサイズと銘柄は同じだがホイールベースは5mm長く、キャスター角もわずかに寝ていることから、GSX250Rが安定指向なのが分かる。
加えて、レイヤードカウルによる空力も効いているのか、高速巡航時に外乱を受けにくいのも特徴と言えるだろう。一方、車線変更や切り返しは重い傾向にあるが、これは慣れの範疇だろう。スクリーンが小さくて低いため、防風効果はそれなりだが、上半身を軽く伏せるだけで胸元へ当たる風はだいぶ軽減できる。
ブレーキは、前後ともペタルタイプのディスクとニッシン製のキャリパーを採用する。車重やエンジンパワーに対して十分以上の制動力を発揮してくれ、コントロール性についても特に不満はない。’21年モデルからABSが標準装備されており、これの介入レベルも問題なし。ブレーキレバーにアジャスターがあるというのは大きなアドバンテージだ。
[△] 見た目とのギャップを理解したうえで購入を
試乗したエクスターカラーは、ライバルに引けを取らないほどの存在感あり。ただし、性格はスポーツツーリング系なので、それを理解したうえで選択した方がいいだろう。優秀な実燃費もこのエンジンの美点であり、経済性重視の人にもぜひ。
[こんな人におすすめ] 存在は唯我独尊。スポーティさと快適性が融合
CBR250RR/YZF-R25/ニンジャ250/ZX-25Rと、国内フルカウル250スポーツが先鋭化する中、外観こそスポーティながらツーリング路線を維持してきたGSX250R。気になる人は色が選べるうちに買うべし。
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