
スズキは、大型アドベンチャーモデル「Vストローム1050」を一部仕様変更し、新たに「Vストローム1050DE」を設定して2023年2月28日に発売した。価格は標準モデルが162万8000円、DEが171万6000円だ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ) ●外部リンク:スズキ
双方向クイックシフト搭載、クルーズコントロールは30km/hから設定可能に、そして新登場のDEは打倒アフリカツインの本格派!
スズキは、国内向け2023年モデルとして、一部仕様変更を実施した「Vストローム1050」および新バリエーションモデルの「Vストローム1050DE」を発売した。
スタンダードモデルの一部仕様変更では、クラッチやスロットルを操作せずにシフトアップ/ダウンが可能な双方向クイックシフトシステムを新たに採用したほか、クルーズコントロールシステムが設定可能な速度域やギヤポジションの範囲を広げるなど、様々な走行シーンに対応する電子制御システムS.I.R.S(スズキインテリジェントライドシステム)の機能がさらに充実。S.I.R.S の設定状況を含む様々な情報を表示する5インチ大画面カラーTFT液晶メーターを採用し、長距離ツーリングに求められる使い勝手や利便性を向上させている。
その他の電子制御としては、スズキトラクションコントロールシステム(STCS)、モーショントラックブレーキシステム、スズキドライブモードセレクター(SDMS)、ヒルホルドコントロールシステム(坂道発進用に役30秒間リヤブレーキを自動的に作動)、ロードディペンデントコントロールシステム(車両の荷重状態に合わせてブレーキを自動補正)、スロープディペンデントコントロールシステム(下り坂で状況に合わせてABSの作動を最適化)を備える。ワンプッシュで始動可能なスズキイージースタートシステム、発進時などにエンジン回転数の落ち込みを緩和するローRPMアシストなど、スズキ車に共通する装備も。
新たに設定した「Vストローム1050DE」は、ロングツーリングの過程で未舗装路まで足をのばすことを想定し、トラクションコントロールシステムに専用のGモード(グラベルモード)を設定したほか、リヤブレーキのABS解除を可能とし、未舗装路での操縦安定性を高めた。また、サスストロークの伸長など専用のディメンションを採用し、フロントには大径の21インチホイールを装着、前後タイヤにセミブロックパターンのタイヤを採用している。さらに、標準車よりも全幅を左右に20mmずつ広げ、衝撃吸収性能を向上させたハンドルバーや、アクセサリーバー、地面の飛び石等からエンジン下部を保護するアルミ製エンジンプロテクターを採用した。剛性を高めたシートやショートタイプのスクリーンなども専用装備だ。
従来はスポークホイール仕様のVストローム1050XTをラインナップしていたが、電子制御の充実などが主で、装着するタイヤサイズ自体は同じだった。新たに設定されたDEは前輪21インチとして走破性能を向上しているが、電子制御の差別化は最小限。オフロード走行に適したアンダープロテクターやアクセサリーバー、センタースタンドの装備がDE専用となっている。
実績のあるVツインエンジンは、電子制御スロットルやスズキクラッチアシストシステム(SCAS)、デュアルスパークテクノロジーなどを搭載。サスペンションはフロントにφ43mmKYB製倒立フロントフォーク(フルアジャスタブル)を採用し、リヤには工具なしでプリロード調整が可能なKYB製モノショックを備える。USBソケット/12V電源ソケット、ヘルメットホルダーなどの装備も嬉しい。
スタンダードモデルとDEの主な装備の違い。
SUZUZKI V-STROM 1050 / DE[2023 model]※写真は欧州発表時のもの
Vストローム1050/DE共通の主なアップデート
・中空の排気バルブ採用で燃焼室温度を低減
・ギヤボックスを変更
・ライドバイワイヤのセッティング
・双方向クイックシフト装備
・クルーズコントロールの設定レンジ拡大
・シートレール変更
・新型5インチTFTマルチファンクションメーターパネル
Vストローム1050DEの主な専用装備
・強化したドライブチェーン
・グラベルモード
・リヤABSオフが可能
・ジオメトリー変更
(ホイールベース延長、寝かせたキャスター角、最低地上高アップ)
・21インチのフロントホイール(セミブロックパターンタイヤ装着))
・前後サスペンションストロークの拡大
・高剛性ロングスイングアームに換装
・ハンドルバー変更(幅広タイプ&肉厚のテーパーアルミ)
・スタンディングしやすい形状のソリッドマウントシート
・ワイドステップ
・ショートタイプのスモークスクリーン
・3ピースタイプのフロントフェンダー
・アルミ製エンジンプロテクター
・センタースタンド標準装備
・アクセサリーバー標準装備
SUZUKI V-STROM 1050 DE[2023 model]
SUZUKI V-STROM 1050[2023 model]
車名 | Vストローム1050 | Vストローム1050DE |
認定番号/型式 | 19567/8BL-EF11M | ← |
全長×全幅×全高 | 2265×940×1470mm | 2390×960×1505mm |
軸距 | 1555mm | 1595mm |
最低地上高 | 165mm | 190mm |
シート高 | 850mm | 880mm |
キャスター/トレール | 25°40′/110mm | 27°30′/126mm |
装備重量 | 242kg | 252kg |
エンジン型式 | 水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ | ← |
総排気量 | 1036cc | ← |
内径×行程 | 100.0×66.0mm | ← |
圧縮比 | 11.5:1 | ← |
最高出力 | 106ps/8500rpm | ← |
最大トルク | 10.1kg-m/6000rpm | ← |
変速機 | 常時噛合式6段リターン | ← |
燃料タンク容量 | 20L | ← |
WMTCモード燃費 | 19.3km/L(クラス3、サブクラス3-2、1名乗車時) | ← |
タイヤサイズ前 | 110/80R19 | 90/90-21 |
タイヤサイズ後 | 150/70R17 | ← |
ブレーキ前 | 油圧式ダブルディスク(ABS) | ← |
ブレーキ後 | 油圧式ディスク(ABS) | 油圧式ディスク(ABS リヤキャンセル機能付き) |
乗車定員 | 2名 | ← |
価格 | 162万8000円 | 171万6000円 |
発売日 | 2023年2月28日 | ← |
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
'23 スズキGSX-8S '22年のミラノショーでVストローム800DEとともに登場したGSX-Sシリーズの新型、GSX-8S。惜しまれつつ生産終了となった4気筒モデル「GSX-S750」を継ぐ立ち[…]
大型アドベンチャーのいいところを残したままスリムダウンしたかのよう 筆者はスズキの大型二輪アドベンチャー「Vストローム650/XT」について、あまり目立たない存在ではあるが傑作の1台だと思っている。こ[…]
全色ともホイールにストライプ入り スズキは、GSX250Rとベースを共有するエンジン&車体からアドベンチャーツアラーに仕立てた「Vストローム250」をモデルチェンジし、2023年モデルとして3月20日[…]
2022年8月には新世代GSX-R1000と思われるエンジンの特許情報が公開され…… スズキは国内の公式HPで、リッタースーパースポーツ「GSX-R1000R」および軽二輪スクーター「バーグマン200[…]
スズキ GSX-8S 世界初のバランサーが武器だ! スズキ GSX-8S〈エンジン/マフラー〉 完全新設計のエンジンは、スズキのビッグバイクでは非常に珍しい並列2気筒。'80年代にはGS400、現行モ[…]
最新の関連記事(スズキ [SUZUKI])
※同記事は、別冊オールドタイマー21号(2016年7月号)掲載の記事に加筆し、再構成したものです。 10年後を見据えた近未来モデル モーターショーは、各メーカーが登場間近の注目モデルや、自社の現状の技[…]
スズキRE-5 概要:”スズキの本気度”が伝わる高出力モデル ドイツの発明家ヴァンケル氏が考案したロータリーエンジンは、ピストンの往復運動により動力を生み出す従来方式のエンジンに対して、ローターが回転[…]
扱いやすさ重視のターボエンジン【1982 スズキXN85】 GS650Gをベースにスズキが作り上げたターボ車、XN85。 後に油冷へと発展するオイルクーラーや、ピストンジェットクーリング/フューエルイ[…]
249cc/26psのスポーティな油冷単気筒エンジンを搭載 スズキは、油冷シングルのフルカウルスポーツモデル「ジクサーSF250」にニューカラーを設定し、2025年モデルとして3月25日に発売する。マ[…]
250ccフルスケールで断トツの安さ! 低燃費やスズキ独自の油冷単気筒も魅力 スズキは、独自の油冷単気筒エンジンを搭載した軽二輪ネイキッドスポーツ「ジクサー250」にニューカラーを設定し、2025年モ[…]
最新の関連記事(新型アドベンチャー/クロスオーバー/オフロード)
ラインナップ豊富な新生KLX230シリーズ カワサキは、KLX230シリーズをモデルチェンジするとともに、KLX230Sとしては3年ぶり(その他の無印やSMは2~5年ぶり)に復活させた。 KLX230[…]
BMWが打ち出すベテラン用オートマチック 違和感はなく、慣れという意識も必要なかった。走り出して10分もすると、僕はASA(オートメイテッドシフトアシスト)のコツを掴み、その機能をより効率良く活用する[…]
“カスタマイズコンセプト”というわりにはライトカスタムで…… ヤマハは、大阪モーターサイクルショーで「オフロードカスタマイズコンセプト」なる謎のサプライズ展示を敢行。これがさまざまな憶測を呼んでいる。[…]
シェルパの名を復活させたブランニューモデル カワサキは、KLX230シリーズのモデルチェンジ時点で、トレッキングモデル「KLX230シェルパ」をラインナップに加えた。シェルパの名を冠したバイクとしては[…]
排ガス規制に適合しつつ細部をアップデート アプリリアが販売する原付二種クラスにして、車体/エンジンを共有する兄弟車であるRX125/SX125。その2025年モデルが国内でも受注開始した。いずれもフレ[…]
人気記事ランキング(全体)
まず車間が変わることを理解しておこう! ツーリングでキャリアのある、上手なライダーの後ろをついてゆくのが上達への近道。ビギナーはひとりだと、カーブでどのくらい減速をすれば良いかなど判断ができない。そう[…]
ヤンマシ勝手に断言。これでレースに出るハズだ!! 「CB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング(以下モリワキCB)」は、見ての通り、ホンダCB1000Fコンセプトをレーサーに仕立てたカスタムモ[…]
ナンバー登録して公道を走れる2スト! 日本では20年以上前に絶滅してしまった公道用2ストローク車。それが令和の今でも新車で買える…と聞けば、ゾワゾワするマニアの方も多いのではないか。その名は「ランゲン[…]
モバイルタイプでも水の勢いは十分。洗車での活躍は間違いなし 今回発売されるケルヒャー「OC 5 Handy CB」は、もっと手軽に、どこでも洗浄したいというユーザーの持ち運びニーズに対応した、ガンタイ[…]
タイホンダ創立60周年を記念したスペシャルエディション 特別仕様車の製作に旺盛なカブハウスは、タイホンダの創立60周年を記念した「New Monkey Chrome Legacy Limited Ed[…]
最新の投稿記事(全体)
【岡崎静夏 おかざき・しずか】ルックスはキュートなバイク女子。走りは全日本ロードレース選手権J-GP3クラスでシリーズランキング4位を獲得する実力!! E-クラッチがもたらす超スムーズな変速に感動 今[…]
QBRICK(キューブリック):据え置き/持ち運びどちらもOK。多彩なボックスを連結して自分仕様の収納ができる 共通のジョイント機構により、多様な形状や容量のボックスを自由に連結、分割できるQBRIC[…]
新5色ラインナップとなった2022年モデル 2022年モデルが発売されたのは、2022年6月23日のこと。2021年のフルモデルチェンジの際には、新設計の水冷エンジンが4バルブの「eSP+(イーエスピ[…]
15番手からスタートして8位でフィニッシュした小椋藍 モナコでロリス(カピロッシ)と食事をしていたら、小椋藍くんの話題になりました。「彼は本当にすごいライダーだね!」と、ロリスは大絶賛。「ダイジロウ・[…]
筑波サーキット向けにカスタム中 「X350ウィズハーレー編集部号」は、2024年12月現在、サーキット、とくに筑波サーキットでタイムを削るためのカスタムを進めている。過去、全日本選手権に出場し、筑波サ[…]
- 1
- 2