![[’83-]ホンダ CBR400F:CBRシリーズの始祖にして最後のホンダ空冷スポーツ【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/03/097-A.jpg?v=1678258075)
’80年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。本記事では、CBXの系譜を継ぎ、多数の耐久レーサーモデルに派生したホンダ CBR400Fを取り上げる。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
ホンダの”R”だ! 可変バルブだ‼〈ホンダ CBR400F〉
‘80年代に入ると、市販車400㏄をベースにしたTT-F3やSS400といった敷居の低いプロダクションレースの人気が高まってきた。ベース車として空冷直4のCBX400Fが人気を集めていた’83年、ホンダがさらにハイパフォーマンスなマシンを投入する。
CBR400Fは、CBXベースのエンジンに、低回転では2バルブ、高回転では4バルブに変化するREV機構を採用。そして最高出力は驚きの58ps。CBXが48ps、’82年に登場した水冷のVF400Fが53psだったことを考えれば凄まじいハイスペックである。
車体もレースを意識したもので、角パイプスチールフレームに軽量&高剛性なNSコムスターホイール、リヤには路面追従性に優れるプロリンクサスを組み合わせた。ブレーキのノーズダイブを抑制する、当時最新のTRACも装備している。
レースでは、既にホンダワークスはVF400Fを使用していたが、CBRも高い人気を誇り、負けじと好成績を収めた。後に、F3レプリカや耐久マシンをイメージしたフルカウルのF3とハーフカウルのエンデュランスも追加され、400レプリカ熱をより加速させた。その一方、スパルタンなスタイルと軽快な乗り味で、ストリートでの人気も高かった。
400Fの登場後、GSX-RやFZなど水冷のライバルが猛威を奮う。CBRは奮闘を見せるも、ついに’86年、水冷のCBR400Rにバトンタッチ。ホンダ最後の空冷スーパースポーツ、そして最初に「CBR」の名を冠したモデルとして歴史に名を残す1台である。
【’83 HONDA CBR400F】■空冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 399cc 58ps/12300rpm 3.6kg-m/11000rpm ■176kg ■タイヤサイズF=100/90-16 R=110/90-18 ●価格:53万9000円
【高回転では4バルブ‼】8500rpm超で2→4バルブに切り替わるREV。CB400SF/SBも搭載するVTECの元祖だ。
【高回転&高出力化の先駆け】イエローの指針がレーシー。レブリミットは1万3300rpmと可能な限り高回転に設定されている。レプリカながら実用的な燃料計も装備。
CBR400Fをベースに、フルカウル化したレーサー(右)。宮城光や太田浩一の活躍が有名。
ホンダ CBR400Fの系譜
’83 ホンダ CBR400F
’85 ホンダ CBR400F :バネ下軽量化&REV設定変更
ホンダ CBR400F 兄弟車:ああ憧れの耐久レプリカ
角1眼のノーマルに対し、耐久レーサーの定番である2眼ヘッドライトにカウルを追加したバージョンが多数登場。8耐を頂点に、250&400で競う鈴鹿4耐といった耐久レースが人気を集めた時代だった。
’84 ホンダ CBR400F エンデュランス
【’84 HONDA CBR400F ENDURANCE】ノーマル登場から半年後、デュアルライトにハーフ&アンダーカウル付きが登場。エンデュランス=耐久が示す通りのイメージだ。
’85 ホンダ CBR400F エンデュランス
【’85 HONDA CBR400F ENDURANCE】ホンダ初のアルミ3本キャストホイールや直管型マフラーなど、’85STDと同様に進化。車重は2kg軽量になり、アンダーカウルを廃止。
’84 ホンダ CBR400 エンデュランス F-3
【’84 HONDA CBR400F ENDURANCE F-3】エンデュランスにフルカウルを装備した特別仕様車。車重はSTDから7kg増で、価格は7.6万円高。1代限りのラインナップとなる。
’85 ホンダ CBR400 エンデュランス フォーミュラ3
【’84 HONDA CBR400F ENDURANCE FORMULA-3】’85では、エンデュランスにシングルシートを標準装備したフォーミュラ3を追加。トリコと白フレームも専用。5000台限定。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー” 1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。 しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R2[…]
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ライバルとは一線を画す独自の手法で効率を追求 妥協の気配が見当たらない。GS400のメカニズムを知れば、誰もがそう感じるだろう。 フレームはGS750と同様の本格的なダブルクレードルだし、気筒数が少な[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
随所に専用部品を投入したZシリーズ初のR仕様 Z1000の派生/上級機種として’78年に登場したZ1‐Rは、評価がなかなか難しいモデルである。まず当時の流行だったカフェレーサーの手法を取り入れながら、[…]
“思い出の1台”に乗りたい バイクメーカーがニューモデルを開発する際は、ユーザーがそれを受容できるか、あるいは新たなマーケットを作り出せるかが重要。レーサーレプリカもネイキッドも、それがウケると分かっ[…]
日本の免許制度を考慮してナナハン4気筒と同時開発 GS750の弟分。世間にはそういう見方をする人がいるけれど、’76年から発売が始まったGS400を弟分と呼ぶのは、少々語弊があるのかもしれない。なんと[…]
人気記事ランキング(全体)
125ccクラス 軽さランキングTOP10 原付二種は免許取得のハードルも低く、手軽に楽しめる最高の相棒だ。とくに重要なのは「軽さ」だろう。軽ければ軽いほど、街中での取り回しは楽になるし、タイトなワイ[…]
コンパクトで使いやすいワイヤーロック ヘンリービギンズの「デイトナ ワイヤーロック DLK120」は、質量約90gの軽量設計で、ツーリング時の携行に適したポータブルロックです。ダイヤルロック式のため鍵[…]
日本仕様が出れば車名はスーパーフォアになるか ホンダの名車CB400スーパーフォアが生産終了になって今年ではや3年目。入れ替わるようにカワサキから直列4気筒を搭載する「Ninja ZX-4R」が登場し[…]
どうする? スクーターのエンジンがかからない ※これはまさに、筆者が直面した実話です。我が家のスクーター(TODAY)に乗ろうと思って、車庫から引っ張り出しました。ちょっと久しぶりですね。エンジンをか[…]
50レプリカのフルサイズからミニバイクレースを経てデフォルメフルサイズへ! VR46カラーのTZR50……実はヨーロッパで1997年から2012年まで生産されていたイタリアのミナレリ製エンジンで、現地[…]
最新の投稿記事(全体)
本物のMotoGPパーツに触れ、スペシャリストの話を聞く 「MOTUL日本GPテクニカルパドックトーク」と名付けられるこの企画は、青木宣篤さんがナビゲーターを務め、日本GP開催期間にパドック内で、Mo[…]
ライバルとは一線を画す独自の手法で効率を追求 妥協の気配が見当たらない。GS400のメカニズムを知れば、誰もがそう感じるだろう。 フレームはGS750と同様の本格的なダブルクレードルだし、気筒数が少な[…]
車重217kgに600ccクラスの動力性能 2週間前の9月2日に、欧州で「EV FUN Concept」の走行テスト映像を公開したばかりのホンダが、その量産バージョンのブランニューモデルを発表した。ホ[…]
250cc2気筒の水冷Newエンジンだけではないテクノロジーによる軽量化! 1980年、世界中を震撼させたRZ250がリリースされた。 排気ガス規制で1970年代中盤を過ぎると軽くてシンプルな高性能と[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
- 1
- 2