
かつてバイク乗りのロマンをかき立てた「最速」の2文字。メーカーは威信をかけ、ライダーはプライドをかけてこの戦いに挑んだ。未知の速度域を手中に収めるため、新たな技術が次々に開発されてゆく時代だ。本記事ではZ1の次世代機に相当し、今なお「ニンジャ」のペットネームで現行モデルにもその名を残す、カワサキのGPz900Rを取り上げる。 ※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
- 1 Z1から11年、新基準を打ち立てた【カワサキ GPz900R】
- 2 カワサキ GPz900Rの系譜
- 3 [連載]青春名車オールスターズに関連する記事
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Z1から11年、新基準を打ち立てた【カワサキ GPz900R】
カワサキが水冷6気筒のZ1300を発売したのは’79年だったが、この頃からすでにZ1系に代わる次世代フラッグシップが模索されていた。Zに改良を加えて世代交代を進めてはいたが、それだけではいつかライバルに追いつかれる事は明らかだったからだ。
直6、直4、V4、空冷、水冷…。様々なエンジンが検討されるが、カワサキが最後に選んだのはやはり直4だった。排気量は原点に帰って900ccに決定。最速マシンに要求される出力を達成するには、4バルブと水冷が必然だった。
また、振動対策の1軸2次バランサーの採用でダウンチューブが不要となり、旧来のクレードルフレームから、後部メンバーにアルミ材を採用した鋼管ダイヤモンドフレームへの移行も果たした。前輪は流行の16インチ、リヤサスは当然リンク式モノショック。空冷GPzのスタイリングをさらに進化させた鋭角フォルムのフルカウルを装着し、最高速度はついに250km/hの領域へ──。
ニンジャの愛称が与えられたGPz900Rは、その卓越した動力性能で発売と同時に大人気を呼ぶ。マン島TTではプロダクションクラスで1-2フィニッシュを達成、その実力の高さを証明して見せた。円高の影響もあって日本にも相当数が上陸し、国内販売の750版とともに多くのニンジャフリークを生むに至った。
【’84 KAWASAKI GPz900R[A1]】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 908cc 115ps/9500rpm 8.7kh-m/8500rpm ■228kg ■タイヤF=120/80V16 R=130/80V18 ※輸出仕様車
水冷4バルブやサイドカムチェーン、1軸2次バランサーなどは今でこそ当たり前だが、それを20年以上前に実現していた。このエンジンは最終的にZZR1200まで進化していく。
最高速だけではなく、900ccクラスの車体を生かした軽快なスポーツ性もニンジャシリーズの魅力だった。
カワサキ GPz900Rの系譜
【’84 KAWASAKI GPz900R[A1]】初期型は赤×ガンメタと青×銀の車体色を用意。最高出力はフルパワー115ps(欧州仕様)、110ps(北米仕様)、69ps(スイス仕様)と異なっていた。
【’85 KAWASAKI GPz900R[A2]】基本的にカラー変更のみだが、後期生産分ではシリンダーヘッド周辺を改良。映画に登場して話題になったのはこの年式だ。またこの年の南アフリカ仕様だけにライムグリーンも設定された。
【’88 KAWASAKI GPz900R[A5]】ホイールが赤と白の2タイプ、車体色は黒×灰と赤×銀、青×銀の計3タイプ。前輪のディスクプレートをGPZ1000RXと同型の、穴の数を増やした改良型に変更。
【’90 KAWASAKI GPz900R[A7]】フロントタイヤを16→17インチとし、フロントフォークはφ39→41mmへ。フロントブレーキキャリパーも4ポット化され、足回りを強化。翌年のA8から国内900も登場した。
【’99 KAWASAKI GPz900R[A12]】6ポットキャリパーとラジアルタイヤを標準装備とし、リヤショックも改良。逆輸入車はA16まであったが、国内仕様はこのA12が最終となった。
カワサキ初の750専用
【’86 KAWASAKI GPX750R】軽量コンパクトな750専用設計車で、その実力には定評あり。試験車両も存在した。■水冷4スト並列4気筒 748cc 77ps 7.0kg-m ■車重195kg(乾)
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